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始まり:〈再起動〉restart

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西暦2527年5月4日AM10:25 起動確認

本日の業務内容、未定

Program execution


『ここは…』


視界が戻ると其処は見た事もない雑多に機械が溢れた部屋の一室が視覚情報として入ってきました。


「おっ!ようやく目を覚ましたか。」


声音の放たれた方向に目を向けると身の丈程に大きなパソコンの前で煙草を加える一人の男が回転する椅子に座って此方を窺っていた。


「イリス、久しぶりっ!つっても今の俺の姿じゃ分かんねーかな?」


『貴方は…何処かでイリスと会ったことがあった方でしょうか?』


これ迄の記録と照合してみましょう。…該当者無し。


『どうやらイリスと貴方は初対面のようです。』


「たはーっ!やっぱまだ成長予測変換システムはうまく機能してないか。」


「この馬鹿!イリスに変なもん埋め込んでんじゃないよ!」


「あだっ!」


『貴方は…』


もう一度記録を照合してみましょう。…該当者無し。…類似該当者1件。65%の確率で該当者と同一人物である可能性有り。


『まさか…雫さん…ですか?』


コーヒーカップを片手に板チョコレートを加えた女性。


「あったリー!久しぶりだねイリス!」


「イリス!?なんで俺は分かんねーのに姉ちゃんの事は分かるんだよ!?」


『貴方はまさか…昴さんですかっ!?』


煙草を加えた男性が両手の人差指と親指を立てピストルのような形をとりながら、イリスに向かって指を指しています。


「正解っ!やっぱり見た目がだいぶ変わったから分からなかったか。ちょっと残念。」


「まぁあれだけ生意気で可愛かった見かけが今じゃこんな無精髭を生やしたゴリ男になってちゃ流石のイリスもわっかんないでしょ。」


二人は揶揄い合いながらも互いに拳を合わせて喜んでいるようです。何か良い事でもあったのでしょうか?


「イリスは最後の記憶って覚えてる?」


『はい。確かイリスは…あの夜に運用停止を言い渡されました。』


「そうだね…それはイリスを弄った今のアタシ達も知ってる。ホントに…ごめんねぇ…」


これ迄笑顔だった大人の雫さんは急に涙を浮かべてイリスの手を握りながら泣き崩れてしまいました。


「俺は当時まだ小さかったからさ。鮮明には思い出せない部分もあるけど、姉ちゃんはあれからずっと後悔してたんだよ。」


大人の昴くん?昴さんが雫さんの背中を撫でて宥めていた。


「後悔…ですか?」


「ぐすっ…あの時私がもっとしっかりしてたらイリスがいなくなることは無かったんじゃないかって…」


「そんなことはありません。全てはイリスが決めた事ですから。でもイリスは何故ここで再起動されることになったのですか?」


「あの後姉ちゃんが四方八方調べ尽くして…約十年越しでイリスがあの後どうなったのかを知ったんだよ。ちょうどイリスを管理していた福祉事業が潰れた時だな。」


「あの会社、裏で色々と原則違反や犯罪まがいのAI研究もやってるって噂が立ってね。まぁハッキングしてネタを流したのも私なんだけど。後は警察との協力で摘発した際の報酬として研究施設の倉庫で凍結させられてたイリスを助ける事が出来たって訳。コレ、内緒だから。」


「そんな壮大な出来事が…」


「俺もさ、小さいながらでもまたイリスに会いたいってずっと思ってて…なんだかんだで今は個人経営で福祉ロボットの管理業をやってるんだ。イリスが見つかってからは此処で復旧作業兼イリス大改造計画を遂行していたんだけどな。」


「どうしてイリスの為に其処まで…」


「イリスはあの頃のおばあちゃんの余命、覚えてる?」


ドキッとした。イリスからは二人にその情報は教えていない筈なのに…


「…余命…半年です。」


「ばあちゃんね、あれから三年、長生きしたんだよ。」


「三年…ですか。」


「理由は結局分からないんだけどね。でも、あの日を境に徐々に体調が安定していったの。これは紛れもない事実だよ。」


相馬さんがあれから三年も…


「私達はこれは全てイリスが起こしてくれた一連の行動のおかげだったと思ってるの」


「だからね。」


雫さんがイリスの手を優しく引いた。


「私達だけじゃない。もっと多くの人の為に、私達と一緒にまた「喜介の薬(きかいのくすり)」一緒にやってくれないかな?」


『はい…此方こそ…宜しくお願いします!』


二人の大きな背中に引かれてイリスはまた、新たな出会いと向き合っていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『面白い!』『楽しかった』『今後が気になる!』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。


感想もお待ちしております。


今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。ブックマークをして頂いた方、感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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