表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すべての色をなくした世界で  作者: 氷田まりか
7/11

それから、少しだけ彼と親しくなった。

親しくなったといっても毎日連絡をとったり会ったりしているわけではない。

ただ、休日の朝ご飯を一緒に食べるだけ。

私はパンを焼いて、スープを作って、いつもと同じように窓の外をぼんやり見つめる。

彼は斜め横の席について大きな口でそのパンを食べて少しだけ雰囲気を柔らかくする。

彼のうさんくさい笑みはいつの間にか消えていた。

聞けば仕事以外で笑っているのは損した気分になるという。

なんとなくわかる気がして、だったら別に笑わなくてもいいですと言ってからだっけか。

歳が少しだけ離れた彼が敬語を使わなくなったのは8回目の朝だ。

あの飲み会で見せた彼はどうやらよそ行きの彼で、本物の彼は無口だしほぼ無表情で表情筋が活躍しない。

でも、それでいい。

私だってたくさん話す方じゃないし癖のようになっている愛想笑いを彼の前でするつもりはない。

ぽつりぽつりと交わされる会話は、きっと男女の関係にはみえないだろう。

でも、みえなくていい。

みる相手もいなければ、そうみえたいと思っているわけでもないのだから。

お互いの世界は不可侵。

重なり合った2/7日の非日常だけが私たちの世界の端からにじむように浸食していった。

それを苦だとも嫌だとも思わない私と彼を、どうか許して欲しい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ