これからの事①
シャルロッテは現在12歳。
【彼方】に会うのは三年後の15歳の時。
王立ラヴィッツ学院で出会うのだ。
攻略対象は五人。
まず、一人目は王太子の【クリストファー・ヘヴン】
シャルロッテの三歳年上で、ルーカスお兄様の親友であり、私達の従兄弟でもある。
ストレートに長い蜂蜜色の金の髪を1つに纏めた、サファイアブルーの瞳を持つ王道な美形。
性格はザ・王子様。強く、正しく、美しくを理想とするキラキラとした熱い人だ。
《ラブリー・ヘヴン》のヘヴンは王太子由来だと言う話もあったっけ。正規ルートキャラだしね。
二人目は、
【ハワード・オデット】クリストファー殿下と同い年。
候爵家の長男であり、学生ながら騎士団にも席を置く。父親は騎士団の団長。
短めのアッシュブラウンの髪にブラウンの瞳。裏表が無く、ニカッと笑顔が爽やかな体育会系男子。騎士らしく、程良い筋肉が魅力的。
《筋肉ワンコ》の異名を持つ。
三人目は、
【ミラ・ボランジェール】シャルロッテと同い年。
彼方と揃って同じクラスになる予定だ。
伯爵家の次男。
肩まで伸びる白銀色の髪を一つに纏め耳の下に流し、赤みがかかった大きな瞳を持つミラは、女の子の様な中性的な容姿をしている。アルビノの為、肌が凄く白い。本人はそれを気にしているので、暑くても長袖しか着ず、瞳の色も普段は前髪で隠している。
そんなにミラは研究馬鹿である。
どんどん新しい魔道具を開発する将来有望な若き天才であるのだ。
四人目は、
【サイラス・ミューヘン】クリストファー殿下と同い年。
半分エルフの血を引くという彼は、白金色の長い髪の毛に、琥珀色の瞳を持つ。ハーフエルフのサイラスの耳は長く尖っている。
瞳を細めて微笑みを浮かべれば、その色気に当てられた女性達が失神寸前だったとか。
サイラスは魔術系に特化しており、攻撃、回復、守備と何でも使える。性格は……温厚そうに見えるが実は腹黒。笑顔の毒舌キャラだ。勿論、怒らせてはいけない!
そして、最後の五人目が【ルーカス・アヴィ】シャルロッテの兄である。
クリストファー殿下の親友であり、従兄弟。
参謀的な役割の従者でもある。
文武両道。頭も良ければ、騎士としての腕もある。無表情で、絶対零度の眼差しは《氷の貴公子》として人気だった。
又、氷が溶けた後のデレは堪らなく甘い。
因みに、ルーカスは私の二番目の推しキャラでした。
ツンドラデレ最高!!
以上の五人が攻略対象者である。
私の大好きなイラストレーターさんが描くキャラ達は、みんな凄く美形で眼福ものでした。しかも、それぞれのキャラクターの性格が良い。
勿論、【彼方】だってそうだ。
黒髪サラサラロングのストレートに、大きく少し垂れ目がちの焦げ茶色の瞳。初めは頼りなく思える少女が、強く成長していく姿はとても好感が持てた。彼方は凛々しくも美しい少女なのだ。
私は【彼方】が嫌いじゃない。
寧ろ、異世界に無理矢理召喚されたのにも関わらず、この世界を必死で救おうとする健気な彼女を好ましく思っているし、攻略対象者の誰かと幸せになって欲しいと思う。
それではどうするのか?
《ルーカス以外の攻略対象者とは関わらずに生きて行く》
これだ!これしかない!
全てを思い出した私としては、彼方を虐めたいと思わないし、クリストファー殿下は好感は持てるが結婚したいとは思わない。
だって、王太子妃なんて面倒くさい!
攻略対象者はみんな彼方のモノ!!
彼方がハーレムルートに入ろうとも、皆が幸せならOKだ。
そして幸いな事に、私が従兄弟でもあるクリストファー殿下に恋をするという、物語の始めともいえるルーカス達の入学式イベントはまだなのた。
王立ラヴィッツ学院は全寮制だから、入学してたらルーカスはここに居ない。
これで、《久し振りの出会った幼馴染みに恋をする→娘を王族にする事に渋るお父様に頼み込んで無理矢理に婚約者にしてもらう》的なイベントを回避出来る。
このまま余計なフラグを立てずに、ひっそりコッソリ過ごせばきっと大丈夫!!
ハワードやミラやサイラスだってそう。
会わなければ良いのだ。もし出会ってしまっても、必要以上の接触を避ければ良いのだ。
唯一、身内であり、攻略対象者でもあるルーカスは、優しくて格好良い私の二番目の推しだけど、恋愛の意味で好きな訳ではない。
何だったら、彼方が兄嫁になっても構わないのだ。
可愛い妹としてルーカスの側に居て、みんなの幸せな姿を見れるだけで充分なのだ。……小姑になりませんよ?
悪役令嬢とはいえ、折角、生まれ変わったのだから……平和に生きたい。
そう。
いつも彼方達の食事のスチルで気になっていた、モブのおじさんが飲んでいたあのお酒。ルーカス達が何気無く口にしていて、ずーーーーっと飲んでみたいと思っていたあのお酒が!!この世界で生きていれば飲めるのだ!
この世界の美味しい料理を堪能しつつ、大好きなお酒を飲んで幸せに過ごすのだ!!!