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新天地~『天岩戸大作戦!!』再び!

【天岩戸大作戦!!】とは、神アーロンを眠りから目覚めさせる為に実行した作戦である。


眠っているアーロンの周りで、美味しい物を食べながら賑やかに楽しそうにしていたら、思わず目覚めちゃうよね!?

という行き当たりばったりな作戦とも言える。(……ボソッ)


その最中さなかに、私が『カシス』と名付けた酒精が現れたり――と、予想外な事が起こったものの……作戦は成功してアーロンは無事に目覚めた。


女神カトリーナが洞窟の中に閉じ籠っているたなんて、それこそ《《天岩戸状態》》である。


籠っている女神はアマテラスではないが、生の天岩戸だぁぁぁ!!

うわっ!試したい!生の天岩戸!!


……ふふっ。

『なまのあまのいわと』。

この言葉は早口言葉並に難しいぞ☆

もう既にカミカミである。

『神』なだけにカミカミな……っ!?


「……なんかとっても寒い事を考えているわよ?」

「娘よ。ここは主の名誉の為に黙っておくのだ」

「……金糸雀もサイも、しー。声が大きいよ?」


ど、ど、どうしてバレるのかな!?

金糸雀とサイだけでなく、彼方にまで……。


チラチラとこちらを伺いながら気を使ってくれる彼方に、ものすごーく申し訳ない気持ちになる。


こんな風に労られる位なら、いっそ笑ってもらえた方が――――

「ふふふっ」

「愛し子は面白いな」


ちがーう!!

私の求めている笑いはそうじゃない!


まるで幼子を見る様な温かい眼差しをセイレーヌとアーロンから向けられると、これまた罪悪感から全身を掻きむしりたくなる。

神聖なものを汚してしまったような気分なのだ。


ぐわあぁぁーー!!

癒しを……!私に今すぐ癒しをーー!!


私は首に掛けられていたネックレスを握った。


これは私の愛しのリカルド様に貰った大切なネックレス。

シーラの花の形が可愛いネックレス。

これを身に付けているだけでリカルド様とずっと一緒な気分でいられる。

リカルド様……今は何をしているのかな?

会いたいな……早く会いたい。会ってギュッて抱き付きたい。

頭を優しく撫でられたい。

リカルド様……リカルド様……リカルド様……大好きなリカルド様……!!


「……煩悩が周囲にまで駄々漏れしてるけど良いのかしら?」

「娘よ。主の為に聞こえないフリをするのだ」

「しー、しー!」

「ふふふっ。若いわねぇ」

「ああ。若さ……ゆえだな」

「あー、これが若さなのね」

「うむ。若さ故の過ちというヤツだ」

「そうなの……?」

「そうよ。若さは青さよ、ね。懐かしいわ

ぁ」

「青春だな」


……ええと、あのー、皆さん。

ちょっと黙っていてくれませんか?


リカルド様成分で回復したはずのHPがゴリゴリと削られていってますよ!?


いつの間にか五対一の構図になってしまっていた様だ。


うっ……これは明らかな私の劣勢だ。


私はこれ以上傷付かない様にする為に、思考の中に逃げる事にした。


「あ、逃げたわよ」


金糸雀さん、お願いだからもう放っておいて……!




――――よし。避難完了。


ふふふっ。逃げ切った!!


と、フラグを撒き散らすのは止めて……っと。


私や彼方との関わりがあったアーロンの時とは違って、女神カトリーナと私達は初対面である。


引きこもりの女神が私の存在なんて知るわけもないだろうし……女神カトリーナが、見知らぬ相手にそう簡単にホイホイされないだろう。


『釣れればラッキー』じゃダメなのだ。

確実に釣りにいかねばならない。


――それじゃあ、どうする?



数百年引きこもっている初対面の女神をホイホイ出来るのは――――今は亡き女神カーミラだけだ。


そう。《《女神カーミラだけ》》。


さて……。感の良い方は私が次に取ろうとしている行動に気付いているかもしれない。


皆さんの予想通りに、【天岩戸大作戦!!】の二回目では、金糸雀を元の姿に戻して、女神カーミラに変装してもらいます!

親子なのだから間違いなく似ているはずだもの!


ふっふっふ……。これで女神カトリーナは釣れた――

「嫌よ」

おーっと!!

右手の方から綺麗なクリーンヒットが飛んできたっ!


「金糸雀!?い、今なんて!?」

「嫌って言ったのよ」

「どうして……!?」

「そんな悪趣味な方法には従えないわ。それに、私はこの姿が気に入っているの。今は変える気はないわ」

「かなりあぁぁ……!」


えー……早くも作戦終了だよー……。

「金糸雀……酷い……」

「……酷くないわよ。それにいつもなら、そんな仕事は愚弟クラウンの仕事でしょう?」


うっ……。それはそうなんだけどさ……。


「あの子にお願いするのが苦手なら、私がしてあげましょうか?」

セイレーヌが援護してきた。


そ、それなら考えなくもない……!!

愚弟クラウンもまた女神カーミラの忘れ形見なのだから。


「うーん……」


……でも。

私は女神カトリーナを騙したいわけではないし、亡くなった金糸雀達のお母様を勝手に再現したいわけでもない。

こちらには忘れ形見と夫がいるのだ……。


やはり、お互いに傷付かずに話をする為には――ここは正攻法で行こうと思う!!


そうと決まったら、行動あるのみだ!


思考の中から浮上した私は、金糸雀達に向かってガッツポーズを決めた。

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