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新天地~レオのお父さん

私が竜の地に滞在してから、まだ一度も会っていなかったレオのお父さんが帰って来たそうだ。

私に会いたいというレオのお父さんに挨拶する為に、私達一行は邸に戻って来た。


竜のねぐらにはまた後で行こうっと。

そしてまたあの艶やかな手触りを……ふふふっ。


「何を考えているか分かり過ぎね」

「ふむ。主は()()()()派から離脱したのだな」

「お父様、それは違うわ。シャルロッテのは()()なのよ」


私の肩に乗っている金糸雀と、私の横を並んで歩くサイがそんな事を言い出した。


「……金糸雀……言い方!」

私は今も昔もリカルド様のモフモフが一番大好きだ!!


……でもね、滑らかなスベスベ艶々も正義だったんだ!

だからこれは浮気なんかじゃなくて、甲乙つけがたい至上の癒やしなのだよ!!


「崇高なる概念なんだよ!」

「シャルロッテの頭は無事?」

「……主の言っている事は、たまに全く理解出来ないが……我らの素晴らしい《《もふもふ》》で主の目を覚まさせてやらねばならないな。娘よ」


ふふんとドヤ顔をしたサイが可愛すぎるんですけど……!?


「あら、お父様は駄目ですわよ。私のモフモフだけで充分ですわ」

「娘よ、それはどうしてなのだ?」

「お父様はちょっと年を取り過ぎてますもの」

「娘よ、……………父は辛い」

「……金糸雀。……言い方を考えて!」

サイが悲しみのあまりに歩みを止めて顔を俯かせてしまったじゃないか……!


「だって……亡くなってしまったとはいえ、お父様はお母様のものだもの。シャルロッテが相手とはいえ、むやみやたらに触らせてはいけませんわよ!?あくまでも()()()撫でさせる位ですからね!」

「……娘よ!」

まくし立てるように、しかし言い辛そうにゴニョゴニョと話す金糸雀たん。


おおっと!金糸雀のツンデレ攻撃だ!!


ふと目が合ったサイと一緒に私は無言で大きく頷き合った。

うん。そんな理由なら叶えないわけにはいかないじゃないか!


『金糸雀(娘)が可愛すぎて……つらい!』

――サイと心が一つになった瞬間だった。



と、そんなこんなしている内に、邸の中のとある部屋に辿り着く。


「父さん、母さん。シャルロッテを連れて来たよー」

私達の先頭を歩いていたレオが、コンコンとドアをノックした。


因みにレオは、今までの私達の会話を「シャルロッテ達は面白いなぁ」と、クスクスと笑いながら聞いていた。


返事が聞こえたと同時にレオが開けた部屋の中には……

「やあ、初めまして」

窓際でリラさんと寄り添う男性の姿が見えた。


水色の腰辺りまでストレートに伸びた長い髪に、赤みがかった瞳と淡い緑色のオッドアイという、私が知る竜としては珍しい色味を持った男性だった。


この人が……レオのお父さん?


男性はリラさんから離れて、一歩前に出ると、右手を胸に当てながら流れる様な綺麗な所作で頭を下げた。


「私はレオの父親のラーゴと申します」

静かな青い湖を思わせる様な、不思議で優しい声だった。

ニコニコと微笑み、物腰が柔らかそうでいるのにも拘わらず、感じるのは存在感の強さ。

ラーゴさんの存在に、私は完全に圧倒されていた。

……きっと、このひともただの竜ではないのだろう。


「……シャルロッテ、挨拶」

ツンツンと金糸雀が頬をつついてくる。

金糸雀が私の頬を突いてくれたお陰で、私は自分がまだラーゴさんに挨拶をしていなかった事に気付いた。


「シ、シャルロッテ・アヴィと申します。大変お世話になっております」

名前を噛んでしまったが……淑女として恥ずかしくない挨拶を返す。


「あなたには何度お礼をしてもし足りない。レオに……息子に魔力を与えてくれてありがとうございます」

ラーゴさんは丁寧な口調でそう言うと、更に深々と頭を下げてくる。


「ええと、あの……!私は大した事はしていません!レオの魔力は元々彼の中にあったものですし!私はそれに手を加えただけですから……!」

「あなたには大した事でなくても、私達にとっては命よりも大切な事だったのです……」

「命よりも……」

「はい。それも私のせいですが……」

「あなた……!それは……!!」

「父さんのせいじゃないよ!」

リラさんとレオがラーゴさんに詰め寄る。


……ラーゴさんのせい?


「私の話を聞いてくれますか?」

状況が飲み込めずにいる私に向かって、リラさんとレオを愛しそうに抱き締めたラーゴさんは、静かに微笑んだ。

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