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めるもちゃん

本編とは関係ない番外編です!

※ここでのシャルロッテは十二歳です。

突然ですが私、シャルロッテはミラにドッキリを仕掛けたいと思います!


ドッキリ作戦名は……

【ちっちゃくなっちゃった!?さあ、その時あなたはどうする!?】


さあ、悪戯決行!!



トントン。

ミラの部屋の扉を叩くと、中からミラの返事が聞こえてきた。


【ちっちゃくなる薬は】紅茶の中に仕込んでみた。

ミラの部屋の外には監視用のモニターが設置してあるので、私がウロウロするのは怪しい。


「ミラ様。紅茶をお持ち致しました」

その為に、何も知らない私の専属侍女のマリアンナに協力をお願いした。

マリアンナが運んだ物ならば、ミラは躊躇いなく口にするであろうという計画だ。 


案の定、マリアンナが退席した後に、ミラがティーセットの置かれたテーブルの方へと引き寄せられて来た。


因みにこの室内の状態は、ティーセットの中に紛れ込ませたカメラで見る事が可能なのだ。盗撮中である。ふふふっ。


さあ、ソファーに座ったミラが薬の混入されたポットに手を伸ばしたー!

飲み頃の温度に調整された紅茶を自ら注いでいくー!!

どうする?! ミラはそのまま一口飲んでみるのか、それともー……!

おおっと、ミラはカップに口を付けなかった!

湯気の出ている美味しそうな香りのする紅茶を放置して、お茶請けとして用意したクッキーに手を伸ばした!

チョコチップの入ったクッキーを一口で頬張った!!

ハムスターの様に頬がパンパンになってしまっているが、ミラは嬉しそうだ!

さあ、クッキーで口の中の水分を取られたミラは、どうする!?

紅茶か?! 薬入りの紅茶に手を…………伸ばさない!!

クッキーの横に添えたブラウニーに手を伸ばし……食べた!またしても一口で食べた!!これまた幸せそうに食べている。

しっとりしているとはいえ、クッキーに次いでブラウニーを食べたミラだ!

そろそろお口の中の水分は限界のはずだ!!

さあ、さあ!次こそは薬入りの紅茶だろう!!


……って、飲まないんかい!!

ここでチョコレートに行くとは……焦らすねぇ……。

まあ、もしかしたらミラは猫舌なのかもしれない。

だったら、今度は…………!

おっと、カップに指を掛け……そのまま…………飲んだ!

ゴクリと飲んだ!喉が上下したのがバッチリ見えた!!


いよいよ、ミラがちっちゃく…………ならないな。

あれー?おかしいな?

確かに薬を入れたはずなのに……。


目の前に見えるミラは、普通にティータイムを楽しんでいる。


「……そこの残念な公爵令嬢」

監視カメラ越しにミラと目が合った。


……はう?!

私の身体は驚きのあまりにドキリと跳ね上がった。

ど、ど、ど、どうして!?


「ミラが鑑定持ちなの忘れてない?ていうか、話しにくいから今すぐ来なさい」

ジト目を向けられた私は、速攻でミラの部屋に向かった。


****


『【シャルロッテ特製若返りの薬】。悪戯に最適!誰でも簡単に赤ちゃんになれる!効果適応時間一時間。副作用も無く安全、安心!童心に返りたい人にもオススメ!……疚しい事に使用したら二度と戻れませんからね? 梅酒味(ノンアルコール風味)』


「またこんなの作って……ルーカス様に怒られるんじゃないの?」

「お、お兄様には……!」

「まあ、条件次第かな」

ミラはニッコリ笑った。


自身の『鑑定』により、紅茶の中に薬が入っているのと、監視カメラがある事に気付いたミラは、私にバレないように紅茶を交換したらしい。

くっ……ミラのくせに!


ミラの部屋に呼び出された私は、入口を背後にした側のソファーに座らされていた。……逃走防止の位置取りである。


しかし、ミラの置かれてきた状況を考えれば……無意識な行動なのかもしれない。

マリアンナを疑わなかったのは勿論、鑑定で私の名前が出て来たからだ。


「条件って……?」

「これさ、他の人にも試してみない?」


……へ?

思わず瞳を見開いたまま固まってしまった。


「ミラもみんながどんな反応するのか興味あるんだ。」

……てっきり止められるかと思った。 

でも違うなら……願ったりだ!


「じゃあ、早速、お兄様の所に……!!」

「シャ……シャル……!」

「ミラ……?」

あれ……?急にミラの顔色が悪くなったぞ?

元々白い顔が土気色に…………



ポンと突然、私の両肩に圧がかかった。


こ、これ、これ、これは……!!

サーッと全身から血の気が引いていく。

ミラが同意するかの用に頭をブンブンと振っている。


「ねえ。僕の所に来てどうするの?」

魔王様おにいさま降臨……。


メーデー、メーデー!総員退避……!!


「……逃がさないよ?」

お兄様の指が肩に食い込む。


退避失敗、退避失敗!

総員衝撃に控え……


「シャル。コレなーんだ?」

背後から私を抱き締めるようにして伸びて来たお兄様の手には、どこから取り出したのか、トロリとした蜂蜜色の液体が入った瓶が握られていた。


「お、お兄様ソレは……!」

振り向いた私が見たお兄様の顔は……壮絶に美しい微笑みだった。


あ……。死んだな……これ。

頭の中に走馬灯が流れる。


ハワードは要らない。最期ぐらいはリカルド様を思い浮かべながら死にた……うぐっ!??


ゴクン。

うん。梅酒はやっぱり美味しいな……ってちがーう!!


「ああうあうー!(お兄様ー!)」

お兄様に抗議をしようとしたが、既に遅し…………。


「あうあーーー!(まじかーーー!)」

私は赤ちゃんになっていた。


ソファーの上に仰向けに転がされた私は、ぶかぶかになってしまった服の中でどうにか寝返りをしてミラの方を見ると……。

今、正にミラがお兄様によって薬を飲まされるところであった。


「みあーーー!(ミラーーー!)」

私の叫び声は虚しくもミラの部屋に響き渡った…………。



***


「これに懲りたら、今度からこんな悪戯をしようとはしない事。分かった?」

「「はい……。ごめんなさい」」

私とミラは深々と頭を下げた。


約一時間に渡ってマリアンナとお母様の着せ替え人形された挙句……

元の大きさに戻った後は、お兄様の説教を約一時間。


精神的にも、肉体的にもボロボロになった私とミラは、お兄様には絶対に薬を盛るまいと心に誓ったのであった……。




魔王様おにいさま怖い……!!

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