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知らない➂(番外編)

シャルロッテは知らない。

裏でロッテ達がこんなやりとりをしていた事に……。




今日も今日とて大好きなご主人様の為に、侍女マリアンナと一緒にお酒造りの研究をしていたロッテ二号。略してロッテ②は、チリチリとした電波を受信した。


コレハ……オリジナルノ電波?


この研究中は、外部からの情報を一切遮断して行っているロッテ②。

それは勿論、この研究で得た結果を共有するつもりがないからだ。

手柄を独り占めして自分だけご主人様に可愛がってもらいたいと思っているからに他ならない。


特にオリジナルであるロッテ一号……略してロッテ①には強い対抗心を持っていた。


初めはオリジナルであるロッテ①だけだったが、シャルロッテの入学に付いて行く為にコピーを作った。

この時点では体が二つでも心は一つだった。

それが個々の個性を持つ様になったのはいつからだったか……。

詳しい事は覚えていない。


だが、ロッテ②からすれば、別にどうでも良い事なのだ。

大好きなご主人様といつも一緒なのは自分だ。ロッテ①ではない。

一番必要とされているのは自分だという自信があった。

それだけで良い。


だからロッテ②はいつもの様に、その電波を跳ね返そうとした。


ワタシハ忙シイノ!!


なのに……。

チリチリという電波が徐々に大きくなって来た。


コ、コレハ!!


徐々に自分の中に《《何か》》が混ざり始め、自分だけの物ではないような感覚が芽生えてくる。

例えるなら、真っ白いハンカチがじわじわと黒く染められていくような感じだろうか。


コノ感覚ハ……マサカ……!?


ロッテ②は、己が対処できる全てをもってソレを阻止しようとした。


しかし……。


『アハハッ。無駄ダヨ?』

自分と同じ声が頭の中に響いた。


『ドウシテ?!』

『ダッテ私ハ《《オリジナル》》ダモノ』


そんな……まさか……バカな!!

様々な葛藤が頭の中を過る。


……ソウダ!!

オリジナルの電波は把握している。

この電波を排除する為の行動をロッテ②は始めた。


コレハ……!?

『アハハッ、無理、無理』


コレナラ……!!

『フフフッ』


今度コソ!!

『モウ諦メタラ?』


どんなに妨害電波を送っても、新しく発生した電波を遮断しても……中に入ってくる。


コ、コレガ……オリジナルノ能力……!


ロッテ②は圧倒的な敗北感を味合わされた。



『あなたが情報を遮断していた事なんて、ちゃーんと私には分かっていた。私とは違う個性を持っていた事も、抜け駆けしようと色々していた事も《《全部》》』


『アナタハ本当ニ……オリジナル?』

ロッテ②は、純粋な恐怖を感じていた。

こんな滑らかに話すオリジナルなんて……知らない。


『ちょっと調子に乗ってたよね?』

頭の中に響く粘着質な声……。

自分とは異質な存在。


『4968505852111』

『ソ、ソノ番号ハ……!?』

『ふふふっ。分かる?分かるよねぇ』

『オ願イ!!……壊サナイデ!!』

『どうしようかなぁ……。私が知らないと思って好き勝手してくれてたからなぁ……。そうだ。良い事を思い付いた!!』

楽しそうにロッテ①の声が弾んだ。



そうしてロッテ①が提案した事は……


・全ての情報を共有する事。 隠し事は禁止。

・ロッテ➀を敬う事。 「お姉様」呼び。

・たまに身体を貸す事。

という事だった。


壊されたくないロッテ➁は泣く泣くその要求を呑むしかなかった。



シャルロッテが悪夢を見た日の夜には、既にロッテ①が入り込んでいた事にも……

ロッテがヤンデレ化してしまった事にも……シャルロッテは気付いていなかった。


そして今後に待ち受ける《《何か》》にも、気付いていなかった。



                                END

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