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リーゼロッテ(番外編)

本編から約7~10年後位?


こんな設定もありかな?と試してみました^^

お気に入りのウサギさんのリュックを背負ったら準備はOK!


リーゼロッテ五歳。

冒険に出かけます!


ランランラン♪


スキップする度にピンクのレースがフワフワと揺れる。

蜂蜜色の髪に、ブルーグレーの瞳。ピョコンと可愛いお耳の生えたリーゼロッテは今日もご機嫌だ。



おじいちゃまのお家の裏山は広くて、色んなものがあるのよ。

この前、裏山で大きな石を見つけたんだけど、それはとても大切で珍しいものなんだって、ミラちゃんが喜んでた。


今日も珍しいものを見つけてミラちゃんを笑顔にするんだ!


「あっ!」

リーゼロッテは不思議な葉っぱを見つけた。


サイちゃんみたいな尻尾に似ているフワフワの葉っぱだ。

クンクンと匂いを嗅ぐと、お日さまのような匂いがする。フカフカなお布団のいい匂いだ。

これはサイちゃんにあげよう!


リーゼロッテは、プチッと一本だけ摘んで、ウサギさんのリュックに入れた。


ウサギさんの中に入れるとね、枯れたりしないの。ミラちゃんがリーゼロッテの為に作ってくれたのよ!


「あっ!」

今度は黄色の小さくて可愛いお花を見つけた。


これは、このお花と同じ黄色の小鳥のカナちゃんにあげよう。

よろこんでくれると良いな。

カナちゃんは女の子だから、可愛いものと美味しいものが大好きなのよ。

リーゼロッテとおんなじね!


リーゼロッテは、先程と同じようにウサギのリュックにしまう。


「あっ!あそこに赤い実がある!」


あれは、大好きなあの人にあげよう!


リーゼロッテは赤い実の木を目掛けて突進した。


すると……


「きゃあ!」

木の手前で足元が滑った。


転んじゃう!!


リーゼロッテがギュッと目を瞑った瞬間。


ふわっと優しい温もりがリーゼロッテを包み込んだ。


あれー?痛くない。


そっと瞑っていた瞳を開けると……。


「ルー!!」

リーゼロッテは自らを抱き上げてくれているその力強い腕にしがみ付いた。


「全く…リーゼは、お母様に似てお転婆だね。」


蜂蜜色の髪に、アメジストとターコイズブルーを混ぜた珍しい光彩のアメジストブルーの瞳を持つ、リーゼロッテの大好きな伯父様。ルーカス・アヴィである。


「ありがとう。ルー!!」

「どういたしまして。」

瞳を細め、微笑むルーカス。


「いきなり走り出したら危ないよ」

「ルー……見てたの?」

上目遣いにルーカスを見るリーゼロッテに、ルーカスは苦笑いを返す。


「うん。リーゼを見かけたから付いて来たんだけど…………良かったよ。ケガする前に助けられたから。気を付けなくちゃダメだよ?」


「……はぁい」

シュンと眉を落としたリーゼロッテは、モジモジと手遊びをしながら、それでもルーカスの瞳を見つめながら言う。


「あの赤い実はね、ルーにあげようと思ったの」

「僕に?」

「うん。ルーの大好きなアイスクリームに乗せたら可愛いし、美味しそうでしょう?リーゼはルーが大好きだから、ルーにあげたいと思ったのよ!」


シャルロッテ似の可愛い姪っ子からの可愛い攻撃に、ルーカスはリーゼロッテを抱き上げているのとは反対の手で顔を覆いながら天を仰いだ。


「ルー??」

あれ?変なこと言ったかな?


コテンと首を傾げるリーゼロッテ。


「んーん。僕の事を考えてくれて、ありがとう」

ルーカスは苦笑いを浮かべながらリーゼロッテの頭を優しく撫でた。


「えへへ」


心の底から嬉しそうな笑みを浮かべるリーゼロッテに、ルーカスはまた天を仰ぎたくなった。


『姪っ子が可愛すぎて辛い……!!』と。


日頃、実の妹から魔王様(おにいさま)と言われているルーカスは、姪っ子には更に甘い。


「……これからどうするの?」

何とか自分を保つ事に成功したルーカスが、リーゼロッテに尋ねると……


「ええと……ミラちゃんと、お父様、お母様、キーお兄ちゃま、リーお姉ちゃま、おじいちゃまとおばあちゃまと……後は……」


ぷくっとした愛らしい小さな両手の指を一本ずつ曲げながら数えるリーゼロッテに、ルーカスはクスッと小さな笑みをもらした。


「リーゼには大好きな人がいっぱいいるんだね」


少し寂しそうにも見えるリーゼの大好きなルーの笑顔。


「うん!……でもね?リーゼはルーが一番大好きだよ?」

リーゼロッテは、ルーカスを少しでもキラキラの笑顔にしたくて、一生懸命に言葉を紡ぐ。


「ありがとう。僕もリーゼが大好きだよ」

「本当に?」

「うん。本当だよ」

「えへへ。じゃあ、大きくなったらリーゼと結婚してね?約束」

リーゼロッテは頬を染めて小指をルーカスに向ける。


一瞬だけキョトンとした顔をしたルーカスは、直ぐに瞳を細めた笑顔になり、リーゼロッテの小指に自らの小指を絡ませた。



……リーゼロッテは知っている。

ルーカスが自分を『可愛い姪っ子』だとしか思っていない事を。


リーゼロッテは産まれた時からルーカスの事が大好きなのだ。女の子として。


チュッ。

リーゼロッテは、幼い姪っ子だと思って無防備になっていたルーカスの頬に不意打ちのキスをした。


「……え?」

驚きに目を見張るルーカス。


リーゼロッテはその顔を見て、ニッコリ微笑んだ。

五歳とは思えない挑戦する様な笑みを浮かべて…………。


覚悟しておいてね?

私の愛しのルーカス伯父様。

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