白雪姫(番外編)
ある所に、真っ白な肌にもっちりとした肌触りの白雪姫と呼ばれる美しい少女が居りました。
白雪姫は、その美しさを妬んだ意地悪な継母の御黄身様に、お城から追い出されてしまいます。
帰る場所をなくし、途方に暮れた白雪姫は、とある山小屋に辿り着きます。
そこは七人の砂糖達の家でした。
優しい七人の砂糖達と一緒に、グルグルと踊ったり、歌ったりしながら生活をしていく内に、白雪姫は自然の中で生き抜いていける強い力を身に付けて行きました。
一方、城から追い出せばいずれ野垂れ死にすると思っていた白雪姫の無事を知り、御黄身は、今度こそ亡きモノにしようと動き出します。
姿を偽り、何度も白雪姫と接触を図った御黄身は、遂に白雪姫の身体を乗っ取り、意識を奪う事に成功しました。
そのまま身体を操り、毒混じりのシーラを白雪姫に食べさせる事も成功しましたが、後先を考えていなかかった御黄身様は愚かにも、白雪姫と一緒に亡くなってしまいます。
白雪姫の死を嘆き悲しんだ砂糖達は、彼女をいつまでもキレイに弔う為にと、氷の棺の中に御黄身混じりの白雪姫を入れました。
すると、そこに白馬の王子様が現れました。
白雪姫に一目惚れをした王子様は氷の棺を開けて、白雪姫に口付けをしました。
すると、どうでしょう。
死んだ筈の白雪姫が目を覚ましたではないですか。
こうして二人は結ばれ、甘く蕩ける様な、美味しい美味しいアイスクリームになりましたとさ。
「……お兄様」
「ん?」
「これは一体何ですか……?」
私は持っていた本をパタリと閉じた。
「アイスクリームの作り方の本だよ」
瞳を細めて微笑むお兄様。
……突っ込み所が満載だよ!!
何?白雪姫って(汗)
御黄身様に、七人の砂糖?!
……最後の王子様って!!
毒はチョコになっちゃってるし…………。
「これ、意外と売れてるんだよねー」
「……本当に?」
「うん。もうすぐ、一千万部突破するかな?」
一千万部だと?!
唖然とする私に更なる衝撃が襲い掛かる。
「今度、舞台化するよー」
…………。
私は遠い目をした。
心を落ち着ける為に視線を落とすと、表紙の帯に何か言葉が書かれている事に気付いた。
【全世界が泣いた!!】
【アイスクリーム万歳!!】
【アイスクリームは永遠に不滅だ!!】
……………………うん。
これ以上この件に関わってはいけない。
アイスクリームの教祖であるお兄様は、こうして着々と信者を増やすのであった。
終わり。