■フェイズ〇五—2「大東亜共栄圏」
■解説もしくは補修授業「其の伍の弐」
さてさて、当時の日本がインドへの道を選ぶ可能性があるのでしょうか?? 恐らく「ない」と答えるしかないのが、今の私の結論です。
史実で全く構想がなかったわけではありませんし、架空戦記のいくつかの作品でも、それらしい理由をつけて太平洋戦線が一旦落ち着いてから、大東亜共栄圏完成目指してインド洋に大軍を送り込んだりしています。ですが、果たしてどうなるでしょうか。
単純に物量の差を考えれば、アメリカ相手にそんな事したら南太平洋でいち早く攻勢防御が行われるのがオチです。イギリス軍に後退戦術を採られたら、各個撃破するつもりが各個撃破されてしまいます。当然インド洋での日本軍の消耗も大きくなり、結果として史実よりも早く日本が敗北する情景すら見えてきます。
また、それとは全く逆に、インド洋の制海権が日本の手に一時的に移り、英国の戦力が消耗するというファクターからドイツが息を吹き返すという状況も見えてきます。戦力の派遣と資源輸送が一本道で効率化されて、日本が戦いやすくなると言う考え方もあるようです。すべてがバタフライ効果を発揮して戦争が長引き、枢軸側にとってもう少しマシな戦争の結末が見えてくる情景も見えてきます。
ただし、アメリカの現実的な脅威(生産力)を前にすると、悠長な戦争をしようとは、恐らく陸軍の一部以外は考えないでしょう。
ですが、「架空戦記」としてファンタジーな妄想を逞しくすると、例に示した通りいくつもの道筋が見えてきます。これは、今回の主旨から少し逸れるのではと思うので、ここでの想定は枝作戦として史実より少し大規模に行われるという程度で後ほど影響を与えていくので、今回正面から取り組む事は避けたいと思います。
あしからず。