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悪役令嬢はGL展開を回避する為に婚約破棄を目指します!  作者: 鬼京雅
三章・チョウシュウ王子との婚約破棄編
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49話・チョウシュウ王子の帰還です

 婚約破棄になりました。


 唐突に婚約破棄が発表されたの。

 チョウシュウ王子と私の婚約破棄がね!


 私と婚約したいと言っていたチョウシュウ王子は婚約破棄を自分から言い出したのよ。その理由は、チョウシュウ王国に魔王軍が攻め込んで来たから――。


 その話を聞いてからバクーフに来ているチョウシュウ王国の人間は、早急に今後を話し合って結論を出していたの。そのリーダーであるチョウシュウ王子はバクーフ王の間で王に対して早口に話していたの。


「バクーフ王国の諸君。我がチョウシュウ王国の兵からの連絡があり、現在のチョウシュウ王国は魔王軍の侵攻により一部の地区が占拠された。今は婚約関係の話は取り消させてもらう」


「バクーフ王としては魔王軍との戦いは国の人間に任せて、王子は婚約に集中するべきだとも思うが? 王子一人が戻っても戦闘兵でもないから戦局は変わるまい。魔王が復活してない魔王軍など軍備が整っているチョウシュウ王国なら問題無いはずじゃがな」


「いや、バクーフ王。すでに一部の地区が乗っ取られているとなるとチョウシュウ王国にも魔族が多数入り込んでいた可能性があります。故にこの婚約予定話は自信過剰に破棄させてもらう。王子として我が国を魔王軍から領地を奪還するのが一番だから」


 そうして、チョウシュウ王子は一目散に自国へ帰還しました。


 チョウシュウ王子との婚約破棄は予想外な形で終わりました。突如の魔王軍襲撃事件がチョウシュウ王国を震撼させ、チョウシュウ王子は家臣団と共に帰還したのです。魔王軍に襲撃されたチョウシュウ王国はものすごい勢いで侵攻されたわけでもなく、案外友好的に魔王軍が接した事で大きな大惨事にはなっていなかったようね。チョウシュウ王子もそれをバクーフに手紙として伝えて来たの。


 完全に動き出している魔王軍は、このバクーフにいる事も私は勘付いている。バクーフ王の襲撃犯はおそらく魔王軍だろうからね。私はバクーフ王宮のスズカの私室で今回の件を話していたの。


 白いパジャマを着ていて髪は下ろしている。相変わらずスズカは水を大量に飲んでいるわ。中々、水太りはしないようね。


「さて、今回の婚約破棄はウヤムヤに終わったわね。貴女はどう思うのスズカ?」


「……うーん。頭が痛いぐらいね。アヤカが余計な事をしてくれるから。ヒロインモードの私へのストレスマッハだわ」


「それに気付けるならヒロインモードとも対抗出来るんじゃない?  少しは気合い入れないと、スズカの人格が消えるわよ?」


「嫌な事を言ってくれるわね。それより、バクーフ王襲撃事件の犯人は魔族で間違い無さそうなの?」


「私が攻撃した時、相手が血を流した痕跡が青い血だった。モンスターの血かも知れないけど、人間が関与していないのは確かね。チョウシュウ王国は魔族との取引きもしていたから、家臣団の中に魔族が紛れ込んでいた可能性もある」


 そう、今回の婚約イベントは色々と問題が多かった。チョウシュウ王国は最新の軍事演習を見せる名目で家臣団を百人以上連れて来てるし、魔族から提供されたサプリまで使っている人間もいた。そして、バクーフ王襲撃事件。その後、チョウシュウ王国の魔族襲撃事件で撤収する形で婚約破棄は成立した。


 チョウシュウ王子は婚約の事は確定した出来事と捉えて来ていて、外交で稼ごうという魂胆が強かった。けど、王子もスズカの二面性などを知り恋に目覚めた。私はツインテールの右の毛先をいじりながら話す。


「チョウシュウ王子は信用出来ても、チョウシュウ王国の一部は魔族に取り込まれている可能性もあるわ。でないと、海から現れる外敵に対する防衛を軽々と魔王軍が突破するのが難しいと思うから。スズカはどう思う?」


「一理あるわ。でも、チョウシュウ王子は信用出来ても信頼はしてはダメ。彼こそが魔族と外交を結んでも平然としている人間なんだからね」


「確かに……。すでに魔王軍が本格的に動いていて、バクーフにはドラゴンまで現れている。つまり、勇者様も登場する日が近いという事よね?」


「そうね。登場するんじゃないかな。勇者として……どういう風に現れるかはわからないけどね」


 ふと立ち上がったスズカは窓の前に立つわ。窓を開け放ち、外の空気を吸って遠くの月を眺めていたの。茶色の髪と白いパジャマが風にさらわれるようになびいているわ。ようやくヒロインモードの疲労がマシになって来たスズカに言う。


「今回の婚約は強制的に婚約破棄という形になったけど、次の婚約イベントはもう決まってるの?」


「いや、まだ決まっていないわ。今は父の襲撃事件もあったから他国の人間に対しての入国規制もあるからね。今後の婚約イベントは時期が来れば始まると思う」


「そっか。なら、魔王軍の撃退が先になるかもね。チョウシュウ王国から魔王軍はこのバクーフ王国に侵攻するかもだし。その時はクエストクラスとして、私も魔王軍と戦う。そして勇者様との出会いを待つわ」


「戦争になれば勇者と出会えて婚約するの?  やはり悪役令嬢は考えが違うわね。戦争に出会いを求めているなんて」


「実際、他の四人のクエストクラスもアラサーやアラフォーだから、力があっても身体がついていかない可能性があるからね。私が頑張らないとならないのよ」


「勇者様の為に!  でしょ?」


「否定はしないわ」


 フフフとスズカは笑っていた。久しぶりにスズカが笑った顔を見た気がするわ。この時期を利用して、お花見でもしようかしら?  魔王軍が攻めて来る前に楽しんでおくのも必要だわ。それは後で考えるとして、大事な事を話さないとね。


「スズカ。ヒロインモードの自分と向き合う事を考えてほしいわ。私は自分の呪いだけじゃなく、スズカの呪いも解いてみせたい。その為にどんな協力だってするわよ」


「どんな協力も……ね。後悔しないといいけど。私の呪いは貴女にとっても辛いかもよアヤカ」


「どんと来い!  私は乗り越えてみせるわ。スズカは友達だからね!」


「ま、その友達が敵にならないといいけど」


 外を見つめているスズカは答えた。茶色の長い髪が風で揺れていて美しいわ。月明かりに照らされる儚い少女って感じかしら。そして、一つの答えを出してくれたの。


「……ヒロインモードと向き合っても、どうなるかはわからないわ。けど、私も自分の「呪い」と向き合ってみるわよ。確かにこのペースでの五年は長いわ……五年待つより、自分で呪いを解いた方が早い」


「よくぞ言ったスズカ!  これでお互いが呪いを解いたなら、全てが丸く収まるわ。私は「トゥルーラブ」を手に入れて、勇者様と結婚。スズカは「フリーダム」を手に入れてお互いハッピーハッピー!  ピッピッピー!」


「テンション高いわねアヤカ。でも、貴女はそういてくれた方が助かるわ。貴女みたいな悪役令嬢に憧れるわ」


 そんな事を言っていたようだけど、浮かれていた私はそんな事には気付いていなかったの。そして私は最後に今回のヒロインモードの解除されたような場面の話をしたの。


「ねぇ……スズカ。スズカがいきなりニートさんの話をチョウシュウ王子が聞きに来た時。あの時はヒロインモードが解除されてなかった?」


「そんな事あるわけないでしょ? ヒロインモードとの戦いはこれからよ。俺達の戦いはこれからだ! って感じ?」


「そっか。ならいいや。それに、俺達じゃなくて私達の戦いでしょ?」

 

 今はあの時、赤い目のヒロインモードから解放されていたスズカの話をしないでおこうと思ったわ。少しでも私の言葉がヒロインモードの仮面にキズをつけた事が意味を成してるなら、次の婚約イベントでスズカも変化すると思うしね。


 こうして、スズカも自分の呪いを解く事に前向きになれたの。その鍵となる事を探さないといけないけど、まずは本人が呪いを解く覚悟が大事だからね。それが無いと呪いを解くなんて無理だから。


 そして、私はスズカやニートさんとのお花見計画を立てて実行に移したの。魔王軍が攻めて来る前に楽しんでおかないといけないからね。もし、魔王軍と戦争になったら当分の間は休める事も出来ない。魔王の復活も近いようだし、今は遊ぶ事も大事だと思ったの。


 このお花見での出来事から、世界は大きく動き出してしまう事を私はまだ知らなかったわ。

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