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悪役令嬢はGL展開を回避する為に婚約破棄を目指します!  作者: 鬼京雅
二章・トサ王子との婚約破棄編
35/53

35話・トサ王子の帰還です


 トサ王子との一夜を過ごした事実を利用し、私が妊娠している事としました。それでトサ王子は責任を取るとして、スズカとの婚約破棄は成功しました。


 この事で外交を結びたいバクーフ王は困惑して、その程度ならコチラも構わないと言っています。頭にきた私はニートさんを彼氏として、トサ王子はニートさんの婚約予定者に手を出したという事にしてあげました。これにより、婚約破棄は完璧なものになったのです。


 トサ王国側も今回の件は王子の早めの到着などのトラブルもあったので、外交関係はキチンと結ぶと言う結論に至りました。バクーフ王国としては外交も成功し、バクーフ王も次の王子で婚約すればいいと言っています。


そして、帰宅したアヤカハウスではスララのドラゴン化の事が気になっていました。


「スララ。もう完全にドラゴンの羽が生えてるわね。空が飛べて便利そうだけど、トサ王子のようにスーパーレアなスライムとして狙っている人間も増えるかもだから気をつけるのよ?」


「御意。拙者はトレーニングをしているので、その辺の人間には負けないです。このドラゴンの力も何かに活かしてみせますよ!」


「ま、ドラゴンが怒って攻めて来たらドラゴンに謝るのはスララだからね。私は知らないわよ」


「ハヒ!  ドラゴンが来たら怖いでし!  殺されてしまうでし!」


「ドラゴンがいつ現れるかもわからないからアレだけど、ドラゴンの力も使えるようになった方がいいわね。どんな能力があるのか知らないけど」


「とりあえず火は出せるので。ボー……」


 いきなりスララが炎を吐いたから、私は黒コゲになりそうだったわ。水魔法で防いだから良かったけどね。とりあえず、お仕置きかな。


「スララ……」


「ハ、ハヒ!」


「ドラゴンの力は外で使うように」


「ハ、ハヒ……」


 今回はデコピンだけで済ませておいたわ、スララもドラゴンの力も使えるように一人で特訓してるようだしね。それに、ドラゴンの力があれば勇者様の役に立てるとも思うわ。


「ねぇ、スララ。スララはいつどこでニートさんと出会ったの?」


「それは、知らないのです。拙者にも記憶がないのです」


「記憶が無い?  どこで出会ったかもわからないの?  そもそも、ニートさんは他の都市に行けるほどの強さも無いわよね?」


「確かにニートさんは強さとしてはそこまでではないです。しかし、敵への対応力が物凄く高いのです。なので、大抵の敵から逃げ去る事が出来るのでし!」


「……逃げてるのね。それはあまり褒められた事ではないけど。けど、スララはニートさんを主人として認めているなら、何かニートさんについて知っている事は無いの?  いつからバクーフ王国に住んでいるとか、元はどこの国の人間かとか?」


「アヤカ殿。拙者はニートさんの同居人、従者、召使いなど色々呼び名はありますが、それだけの存在です。それ以上詮索しても拙者から情報を引き出すのは不可能ですよ」


 スララはいつになく冷静に答えたの。

 それ以上は詮索するな。それ以上詮索しても答えは出ないという強い瞳だったわ。これはもしかしたら、ニートさんの仕込みなのかもね。


(ニートさんについては、個人的に接して調べて行くしかないわね。あの人については、私も知る必要がある。勇者様に関係する手がかりになる可能性が高いなら、悪い手段を使っても情報を吐かせる必要があるかも知れないわ)


 そんな事を考えつつ、私とスララは夕食を取ってから眠りについたわ。

 




 そうして、翌朝になりトサ王子は家臣団と共にバクーフ王国を旅立ちます。私はバクーフ王国の国境までトサ王子を見送りました。赤い髪を風で揺らすトサ王子はバクーフ王国の風を感じています。


「ハッ、今回の婚約云々はアヤカにしてやられたぜ。お前、妊娠もしてねーし、ニートとも付き合ってねーだろ?」


「うん。妊娠してないし、ニートさんとも付き合ってないよ」


「簡単に答えてくれるぜ。コッチはお前に騙されて決定していた婚約を、婚約破棄したんだからな。悪役令嬢と言う名も伊達じゃねーな」


「当然でしょ?  悪役令嬢(わたし)は最強なのよ」


 その言葉にトサ王子は高笑いして納得していたわ。そして、置き見上げのように教えてくれたの。


「一つ言っておくぜ。俺は勇者に烙印があるまでは知らなかった。そしてニートはそれを知っていた。つまり、ニートは勇者そのものである可能性は消えてはいない。奴は何か怪しい面がある。お前も勇者を探してるなら、あの男には注意しろ。俺のマジックストレートを見てビビリもしねー奴なんて初めて見たぜ……」


 確かにそうね。

 ニートさんは今回のトサ王子との関わり合いでかなり不自然な点が見えた。ドラゴンに出会った時も勝てない相手なのにそこまで驚いて無かったし。そんな事を考えてるとーー。


「聞いてるか勇者ぁ!」


 と、トサ王子は烈火のごとく叫びます。どうやら勇者様に対しての発言らしいですね。


「お前が勇者だったなら、次はちゃんと魔王を殺す事だ。戦いは好きだが、魔族は人間を殺し過ぎるから気に入らねー存在だ。魔王が復活した時、お前がどこで何をしてるか見ものだな。ハッ」


 そう言うなり、ゴブリンライダーでトサ王子はバクーフ王国から去りました。それを遠くから金髪を風で揺らすニートさんは微笑んで軽く手を上げていました。


 ようやく、2回目の婚約破棄も終了しました。今回もかなりしんどかったですが、何とかなりましたね。でも色々な事がありました。ニートさんの勇者疑惑や、スズカのヒロインモードの精神汚染具合。


 とりあえずヒロインモードが解除されたスズカと反省会をして、婚約破棄成立を祝います!

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