22話・ニートさんとの遠足です
今の私は、ニートさんとスララと遠足へ行く為にバクーフ商店街で買い物をしています。遠足と言っても、ダンジョン探索ですけどね。遠足という響きの方がかわいいのでダンジョン探索は遠足という事にします。
何故、私達が遠足に行くかと言えば、昨夜のバクーフ王国の上空にドラゴンが現れたという目撃情報があったからです!
ニートさんも偶然それを目撃したらしく、バクーフ王国全体もドラゴンの登場でお祭り騒ぎになってもいます。
「バクーフ商店街も盛り上がっていますね。私もドラゴンエッグを巡る冒険で勇者様の手がかりを見つけられればいいです」
「勇者の手がかりになるかはわからないけど、勇者とドラゴンとは関係が深いとも言われるから何か手がかりはあるかもね」
「でもドラゴンエッグとはそもそもどんなアイテムなのでしょう?」
「ドラゴンエッグはドラゴンが現れた土地に複数発生するレアアイテムなんだよ。食料品としても栄養価も高く寿命も延びて、病気なども改善する効果もある。運良く子供が生まれれば、ただでさえ高い食用ドラゴンエッグの三倍を超える額で取引できるからみんな躍起にもなるよ。数百人規模の小国なら一年は暮らせる額になるからね」
「数百人もの人間が一年も暮らせる……凄いレアアイテムだわドラゴンエッグは……」
と、私はまだ見ぬドラゴンエッグを想像します。すると、足元をピョンピョン跳ねて歩くスララは口からヨダレを垂らしています。
「スララ。ヨダレを垂らしてるけど、ドラゴンエッグを見つけても食べちゃダメよ? 食べたら踏むからね」
「ハヒ! ……って、もう踏んでるでし」
一応スララにも忠告しておきます。レアアイテムは所持している事が一番大事だしね。
「バクーフ山にあるダンジョンでもやはり難関とも言われているエンマダンジョンへ行くのが一番だと思いますが、ニートさんはどう思います?」
「僕もエンマダンジョンがいいと思うよ。難関なら冒険者も奥まで行くのは難しいから、レアアイテムが残ってる可能性がある。僕達はエンマダンジョンから攻略しようか」
「ニートさんの実力がイマイチわからないからアレなんですけど、ニートさんのレベルってどれぐらいなんですか?」
「レベルは20だよ。エンマダンジョンは推奨レベルは100だけど、今回はアヤカがいるから大丈夫だよ。ねぇ、スララ」
「ハヒ! アヤカ殿がいれば鬼に金棒でし!」
「私がいれば大丈夫でしょう。ニートさんはちゃんと守るから死なないでね。スララはアイテムボックス係だから食べないようにね」
『ハヒ!』
と、二人は敬礼したわ。
だいたいこんな感じだろうとは思ってたから特に驚かないけどね。クエストクラスの私がいればダンジョン攻略は問題無い。後はエンマダンジョンにドラゴンエッグがあるかどうかが問題ね。
「とりあえず防寒具も買いましょう。あのダンジョンは肌寒いと聞きます。魔法防御もあるコートがあればいいんだけど」
ダンジョンの環境対策として、防寒具などを売ってる店に入ったわ。店内の防寒具が売れ行きがいいようで、結構品薄状態だったの。
「ニートさん、魔法防御があるコートはもう無いようです。後は地味なコートばかりですね。しかも色は赤とか黄色で目立つ色だし」
「確かにそうだね。でも黄色な僕は金髪だし、逆に目立たないかも?」
「いや、ダンジョンの地面の色は黄色とか無いからアウトですよ。でも残り物だけあって値段は安いですね」
「じゃあ、ペアルックで行く?」
ペアルック!
ニートさんはとんでもない事を言い出したわ。ダンジョンにペアルックとか、遊びに行くカップルじゃないんだから無理でしょ……恥ずかし過ぎる。すると、防寒具屋の主人が出てきたの。
「ドラゴンエッグを求めるカップルかな? もう売れ残りしかないから、安くしとくよ」
ぽよ?
カップル?
……カップル!?
「私とニートさんはカップルでも恋人ではないです!」
「……あ、そうなの? でも良かったら安くしとくよ。残りの色は目立つ色でダンジョン攻略には不向きだしね」
そう主人が言うと、ニートは冷静に言います。
「そこまで否定しなくても……」
「ごめんなさい……」
と、流石に否定し過ぎた事を謝ります。
すでにスララは黄色い厚手のタオルを身に纏っていて、私達も黄色のコートを安くして買う事になったの。そして、私はニートさんに着せてもらった。
「……どうかな?」
「黒髪ツインテールだから、どうかな? とも思ったけどかわいいと思う。袖やフードのモコモコ部分もかわいくていいね」
「ありがとうニートさん。ニートさん、お金大丈夫?」
「問題無いよ。アイヅ王子に収穫した野菜を売ったら、お金がたっぷり入って来たから野菜を育てるだけのニート生活が満喫出来てるからね。今の僕は金持ちニートなのだ!」
そして、私達は商店街で非常食などの装備を整えてから、商店街の美味しい物巡りをしたわ。その中で、私はどうしても勇者様の背中を思い出してしまう。どうしても勇者様との繋がりである、背中の烙印が私を刺激してしまうから。
(これはデートなの? でもただ町で買い物しただけだし。気にしちゃダメね)
そんな事を考えながら、私とニートさんの商店街でのデート? は終わったの。その帰り道――。
「すでにもう冒険者達はドラゴンエッグを求めて動いているけど、アヤカは余裕があるね。クエストクラスとしての余裕かな?」
「それもあるけど、たぶん焦ってもドラゴンエッグは手に入らないと思う。それなりの実力が無いと手に入れるのは厳しいとも思うわ。だから焦っていないだけ。根拠の無い自信だけどね」
「そうか。やはりアヤカは強いな。他国の王子と姫を婚約破棄を成立させただけはあるよ。僕にもそんな強さがあれば……」
と、言った時にスララが私の胸でヨダレを垂らして寝ていたのでニートさんが何を言っているかわからなかったの。
「……スララ。人の胸で寝るのはいいけど、ヨダレを垂らすのは無しって言ってるでしょ!」
「ハヒー!」
と、私のパンチをくらって夜空の星になったわ。
そうして、翌日になり私とニートさんとスララは遠足へ向かいます。目指すはドラゴンが産み落とすレアアイテム・ドラゴンエッグ!




