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短編の5「幻夢」

作者: 湊 ユウヒ

僕の家のすぐ横には、川が流れている。大きな川で、河川敷には公園があったり釣りをするスペースがあったり、子供が遊ぶにはとっておきの場所だった。


昨日は、大雨のために川が荒れていた。


昼から降り出した雨のせいで、それまで河川敷の公園で遊んでいた僕や友達は家に帰ることになった。


でも少しして、河川敷にとても大事なものを忘れてきたことに気づいき、僕は流されていないか様子を見に行った。


その時のことははっきりと覚えてないけど、川は茶色い水がゴーゴーと音を立てて荒れていたと思う。


帰ったらお父さんがとてもそわそわしていたことも覚えている。昨日の夕飯もなかった。


そして今日、雲ひとつない晴天になったから、目が覚めると直ぐに河川敷に向かった。


「あ、あったー!」


昨日遊んでいた場所に行ったら、直ぐにそれは見つかった。


「よかったー。これ失くしたらヤバイんだよな」


汚れきったニサンガ。


三年前に亡くなったお母さんにもらったものだ。ずっと持ち歩いているうちに黒くなってしまった。


「よかったよかった。さ、帰ろうかな」


公園には誰もいないので、遊ばずに直ぐ帰ろう。そう思った時だった。


「ゆうくーん! ゆうくーん!」


遠くで僕を呼ぶ声が聞こえた。


「あ、隣のおばちゃんだ! はーーい!」


手でメガホンを作って大きな声を出したが、それでもおばちゃんは僕を呼び続けた。


「ゆうくーん! おーい!」

「おばちゃん、どうしたんだろ」


叫び続けるおばちゃんを見ていると、なんだか気味が悪くなってきた。僕を呼ぶその姿があまりに必死すぎるというか、そんな気がしたから。


「ゆうく──ん!」


川に向かって僕を呼ぶその影から、逃げるように公園を後にした。



「今日はなんだか人が多いなぁ。いつもこんなに人いたっけ」


直ぐ近くの家に行くだけでも大勢の人が川の近くにたむろっていた。


「あの、何かあったんですか?」

「…………」


近くにいた大人の人に聞いて見たけど、なにも答えてくれない。


「なんか忙しそうだなぁ。ま、いいか」



「ただいまー。ねぇ、外に人がいっぱい居るんだけど、何かあったのー?」


家に着いて直ぐに台所で手を洗う。亡くなったお母さんにいつも言われていた。


昔はそこに立っていた人も、今は変わってお父さんになった。


けど、今日は誰もいなかった。


「なんだ、外に出てるのか。まぁ、あんなに人がいるんだから仕方ないか」


ふぅと一息ついてリビングにあるテレビをつけた。最近買い換えたテレビで、結構大きい。


横には最新のテレビゲーム機なんかも置いてある。


「ゲームしよっと」


そう思って画面を切り替えようとしたら、見慣れた場所の映像が流れていた。


「え、ここってさっき行った河川敷の公園じゃん」


すこしゾワっとする。レポーターの必死そうな表情、早口で喋る言葉、テレビに映る人の数。


『昨日午後五時ごろ、自宅を出た村田祐介くんが、家に戻らないと通報がありました。昨日は午後一時ごろから夜にかけて局地的な大雨に見舞われ、氾濫した川に飲み込まれた可能性が…………』


ガチャリと玄関の開く音がした。


きっとお父さんだ。


「おかえりー!」


駆け寄りながら叫んだその言葉には、なにも返答がなかった。


ただ、お父さんのすすり泣く声が家の中を満たしているだけだった。




































「…………僕、死んだの?」

エッセイの1で登場人物が亡くなりすぎと書いたのですが、またやっちまいました。


ここから大真面目な話になります。

先月、西日本を中心に大雨が続き、過去に類を見ないほどの大水害が起こりました。

まず、この水害で命を落とした方のご冥福を心からお祈りいたします。

そして現在も行方が分からない方が少しでも早く"生きて"発見される事を願っております。

災害後の後始末や、捜索をされている方、とても暑いのでお体に気をつけて下さい。


わたくし湊は九州に住んでいますので、当時は毎日両手を合わせてニュースを見ていました。

「ヤベェな」と、思いました。


そして、私は高校生なので大金は出せませんが、募金をさせていただきました。

コンビニのお釣りです。

とても少ないですが、その「少し」を大勢の方がやれば「多く」に変えられます。

皆さんも私と一緒になりませんか?(力を合わせませんか?)


最後に、この短編に出る祐介がやったように、大雨の日に川に近づく。なんて事はダメ、ゼッタイ!

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