ワイ、一行目で今回のオチを看破する 【ヒロイン 異世界最強の戦士姉ちゃん】
ワイ。
自分に性欲が残っていたことに正直驚いている。
人間の欲望って環境次第でON・OFFされるねんなあ…
いや、本当に驚いた。
『大変です大賢者様! 異世界最強の戦士が決闘を挑むと押し掛けて来ました!!』
…はい。
この時点でオチが読めました。
騎士の姉ちゃんのおっぱいに埋もれて久々の安眠に浸っていたワイは現実に戻される。
…現実?
これが?
まあ、ええ。
とりあえず、タイトル回収しとくわ。
「あの~。
念の為、尋ねておきますが…
その最強の人は女性なんですよね?」
『そうじゃ!
彼奴の名はロロ!
異世界最強の女戦士じゃ!!
以前から王位を狙っておった!』
「最強の人相手によく守って来れましたね!?」
ワイは素直に驚く。
『いや。
王宮の扉を開けるには魔法の詠唱が必要じゃから!
魔法を使えない彼奴は、ここに入れないのじゃ!』
ワイ。
この世界のガバガバ設定を聞いて無性に哀しくなる。
突っ込む気も起らない。
「なるほど。
ちなみに、その最強戦士さんは、どんな風に最強なんですか?」
『うむ!
よくぞ聞いてくれた!
何と!
彼奴は幼少の頃より武芸だけに打ち込み続けてきておる!
【生涯を武に費やした】という事実の積み重ねが…
彼奴に自信を凌駕した自身への信仰を与えておる!
プライドに裏付けのある者は強い!
彼奴に勝とうと思ったら…
その自信の源を打ち砕くでもしない限り…
兎に角、彼奴は最強のベテラン戦士なのじゃ!!』
あー。
オチに何の捻りもなかったことにワイは傷つく。
こんなん茶番やん。
「じゃあ、扉閉めたらええんちゃいますの?」
『ところが超賢者様!
扉は一度開いてしまうと3日間は閉められない仕様なんです!!』
…楽天メルマガでも、もう少しは良心的やぞ。
「なるほど。」
『最強戦士は超賢者様との一騎打ちを望んでおられます!
危険ですから、一旦避難しましょう!』
ワイが「逃げるってどこに?」と聞く前によく通る女の声が王宮に響き渡った。
『ふはははははは!!!!!
一歩遅かったな大賢者殿!!
我、見参ッ!!!!』
ワイが振り返ると、日体大辺りにいそうな日焼けした姉ちゃんが居った。
騎士の姉ちゃんより更に背が高く、柔道でもやってそうな肩幅だった。
右目に眼帯をしている上に、全身を黒い甲冑で覆っていたが…
何故かおっぱいの部分だけ金属で覆われていなかった。
『ふんッ!
我以外の者が城を落としてしまうとはな!
鍛錬を怠るにも程があろうww
下らぬww 実に下らぬぞww
笑止千万ッ!!!!! 』
ワイは挨拶をしようと思ったのだが、最強の姉ちゃんの演説にかき消されてしまった。
「はじめま『ふははははは!!!』
「ワイの名『それで? この城を落とした勇者殿は何処かな!?』
「それでし『最強の称号を賭けて我と決闘して貰うぞ!!』
「尼崎から『くっくっくww 名乗り出ぬのか?』
「出来れば『はーっはっはっはww これは拍子抜けだwww』
「穏便な措『我の武威に臆してしまったようだなwwww』
「あの、聞『これはお笑いだ!!! ふふふw はははww あーっはっはっはww』
アカン。
ワイも話を聞かへん奴のレッテルを貼られがちやが…
この子は酷い。
体育会系の負の要素を凝縮したような女や…
昭和のパ・リーグ観客でも、もっと話通じるぞ?
『戦士殿!』
『おお女王か?
おっと、元女王と呼ぶべきかなw』
『貴殿がお探しの新王はこちらの御仁である!』
『おお!!
こいつは失敬!!
其方が新王であるかww』
「違います。」
『ぬ?
む、むむうう。
迫力ある面構えじゃ。
流石に力で王位を奪っただけあって、骨相に野蛮が満ち溢れておるわ!』
「奪ってません。」
『ふww
流石の戦士殿も新王の風格に圧倒されておるようじゃの!
この者こそ、余から王位と貞操を奪った新たなる王なのじゃ!!!』
「両方いらないです。」
『ふ、ふははははww
伝わる! 伝わって来るぞ!!
其方の覇気!!!
さあ尋常に立ち会おうぞ!!!
我が名は異世界最強の戦士・ロロ!!
異形の客人よッ名乗れィ!! 』
「あ、さっきも申し上げましたが
兵庫県尼崎市から参りました田中清志です。」
『くっくっくww
ヒョウゴか! 武人らしい良い名ぞ!!』
「あ、それは住所です。」
『だがッ!!
我は武においては何人にも遅れを取るつもりはない!!!
何せ幼少の頃から、至強の座のみを求めて研鑽を続けて来たからなぁ!!
練り上げッ!!
積み上げッ!!
鍛え上げッ!!
聞いて驚け…
苦節幾星霜…
今では齢24になるわツ!!!!!!!!』
なるほど、ここでタイトル回収するんやな。
「…あ、ワイは51歳です。」
『はーっはっはっはっはwwww
恐れ慄けィ~!!!
積み上げた時間こそが戦士であることの…
え?
今、何て?』
「あ、いや。
話に水を差して申し訳ないです。
ワイの年齢は51歳です。」
『… あ あ あ あ。
ご、ご、ご…
ンゴゴゴゴ!!!!!!!』
「あの、(頭)大丈夫ですか?」
『はひゅっ はひゅっ はひゅっ (過呼吸)
あ、あ、あ、あ、あ・あ・あ。 (思考硬直)
はにゃにゃにゃにゃ~ ふひゃあ (姿勢崩落)
あ、はぁ~~ あ あ あ~ (粗相)』
「いや、あの本当に大丈夫ですか!?」
そして、女王の嬢ちゃんがワイの背中から飛び出して決め台詞。
『ふははははwww
無様だな戦士殿!!!
これが余の夫たる新王の力よ!!!!!
思い知ったか!!!!!!』
その後、ワイは泣きじゃくる最強の姉ちゃんを慰めようとしたのだが。
不意にムラムラしたのでセックスしてしまった。
おっぱいが大きいからしゃーない。
ワイ 「何で眼帯してるの?」
最強 『格好いいからです!!!』
ワイ 「そうかなあ。
ワイ、子供の頃試合中にボール直撃してしばらく眼帯してたけど。
恥ずかしかったけどなあ。」
最強 『漫画とかアニメとかで眼帯付けてるキャラって、大抵強キャラじゃないですか!!』
ワイ 「ごめん。 ワイ、漫画はドカベンくらいしか読んでへんから…」
最強 『殺人野球の犬神了ですよ!』
ワイ 「あースマン。 ワイ、土佐丸高校を野球と認めてないから…」