ワイ、年齢を明かすだけで物語の方向性を決める! 【ヒロイン 上半身だけ重装歩兵騎士団長】
何度生まれ変わってもおっさんはおっさんやで。
一度目はアパートの火事。
二度目は異世界ビーム。
ワイの肉体は御丁寧に二回も焼き尽くされた。
おっぱいの姉ちゃんは「二度目の生」と言っていたが…
ワイは自分の身体を触ってみる…
体毛! 脛毛! 腋毛! 胸毛! 鼻毛! 尻毛!
髪は…
薄いままやんけ!!!!!!
何が「二度目の生」や?
身体に変化は感じられん…
着ているのも、しまむらのバーゲンで買った380円スエット(灰色)のままや…
やっぱりワイは死んで…
ここは天国?
いや、ワイは前科あるし…
流石に天国はムシが良すぎるか…
いやいや、刑期を満了した以上、そこは減点材料にならへんのとちゃうか?
等と考えているうちに、背後から若い姉ちゃんの声がした。
『キサマッ! (シャキン)
そう、そこの不審な服装のキサマだ! (ピシャリ)
見慣れない格好だな! (キリッ)
我らが異世界で何をしている! (スチャ)
こっちを向け!! (ビシッ)』
最近の天国や地獄には随分なハイカラな名前がついとる。
イセ…? 何やて?
『キャッ! (ビクウ)
な、なんだキサマは!! (キョセイ)
えっ? やだ… (ソクオチ)
人間?
え? え?
何、この人… (オドオド)』
振り返ると、全裸に鎧を装着した若い姉ちゃんが居た。
その鎧の胸当て部分は、御丁寧にデッカイおっぱいに合わせておっぱい型になってる。
上半身をガチガチに重武装してる割に、下半身はハイレグ+ハイヒールという…
一言で言うと正気を疑う格好をしていた。
「あー。
往来の真ん中でスミマセンな。
災害に巻き込まれて、ここに飛ばされてきたみたいでしてな。」
なるべくフレンドリーに接したつもりやったが、若い娘さんは半分パニックになりかけながら
必死で震えを堪えていた。
『毛、毛がもじゃもじゃして気持ち悪い… (ズサズサ)』
初対面でそれかい…
「それは失礼しましたな。
何せ歳が歳なもんでしてな。」
『と、とし?
年齢のことか!? (ハワワ)
そ、その…
キサマ…
いや! 貴公は年齢が高いから身体に毛が生えていると申すのか!? (サイゴノプライド)』
「?
ええ、まあ。
流石に男も50を過ぎたらこんなもんちゃいますか?」
『ごごごごごご、ごじゅううううううう!!!!!!???????? (ビクン)』
「え?
ワイ、何か変な事言いましたか?
まあ正確には51歳ですけど?」
『はわわわわわ!!!!!!!!!!!
ごごごごごじゅういちいい!!!!!!!!
は、はひいいいいい!!!!!! (カクカク)』
「??
はて?
ワイの年齢に何か問題でも?
ああ、数えやと52歳ですな。」
『はひゅひゅひゅひゅーーーー!!!!!!
あひゃ あひゃ
ごごごご ごじゅうにしゃい
しゅごい~ しゅごしゅぎるよ~ (ヘナヘナヘタア)』
良く解からんが。
鎧の姉ちゃんが腰から崩れ落ちて痙攣してしもうた。
何や?
けったいな女やな。
生まれて初めておっさん見たような顔しとるで…
『は、はひい…
しゃ、しゃきほどは無礼な態度を取ってしまって申し訳ありませんでしたァぁ… (ピクッピクッ)』
「?
いや、こっちも往来でボーっとしとってスミマセンでしたな。
あの、つかぬ事をお尋ねしますけど。
ワイが何かしましたか?
年齢を言っただけやと思うんですけど…」
『ひゃひいい!!
あ あ あ あ あ… (カンオチイ)
52年もの寿命を持たれている殿方を見たのは生まれて初めてなんでしゅう!!
しょ、しょんな凄いお方が居るなんて士官学校でも習わなかったんでしゅうう!!!(ガクガクガクガク)』
なるほど。
ワイは納得した。
どうやら、この世界は日本よりも寿命が短いらしい。
(いや、日本が長すぎるだけなんやけど)
で、この世界の男はおっさんになる前に寿命で死ぬから、この姉ちゃんはおっさんという生物に遭遇してカルチャーショックに陥っている訳やな。
なるほど。
『は、はひゅいいい。
大変失礼致しましたぁ… (ジベタア)
わ、私はぁ…
この異世界の騎士団長を務めておりますララと申します。 (ヒクヒク)』
「ほう。
お若いのに立派ですな!
ワイは青年団や自治会にすら入れて貰ったことがないですよ。」
『い、いえ!
じぇんじぇん!!!
全然若くなんかないでしゅう!!
私なんかもう18歳のBBAでございましゅう!!!! (シャキリンコッ)』
「いやいや、18と言えばまだまだこれから。
前途明るい年頃やないですか。
ワイから見れば、あなたは若い娘さんですよ。」
『あ… (トクン)』
ワイは女に疎いんで良く解からんが。
まあ流石に歳が歳なので、何となく流れは解った。
ワイ 「あの… 何で騎士団長やのに馬に乗ってへんの?」
騎士 「ハッ! アニメ化時の作画負担を減らす為の工夫であります! (シャキリンコ)」
ワイ 「なるほど… わからん。」