ワイ、女に顔の形が変わる程ボコられる 【ヒロイン ミニスカナースの姉ちゃん】
ワイは勢いだけで生きてきた。
そして、歳が歳だけに勢いも失われた。
ワイには、もう何も残ってない。
結論だけ述べる。
ワイは女に喧嘩で負けた。
圧敗や。
一応念を押しておくけど。
ワイ、喧嘩は強い方ではない。
単に喧嘩っ早いだけで、殴り合いガチ勢の中では「中の下」から「下の中」位のポジションや。
まあ、生まれが貧しい分…
好戦性と頑丈さだけは中々のモンやとは思ってるが。
5人まで殴り飛ばしたことは覚えてる。
ただ、後から後から新手が湧いてきて、一瞬で四方八方から圧を掛けられてしまった。
相手は全員女や。
かなりの人数で、みんなウェイトレスとかの格好してた。
~よくぞお尋ね下さいました!
それはそれは、ありとあらゆる服装があるのです!
思いつくままに並べてみても
セーラー服!
ナース服!
メイド服!
ウェイトレス服!
軍服!
ウェディングドレス!
リクルートスーツ!~
あ、そうか。
賢者の姉ちゃんが言ってたのはホンマのことやったんや…
手練れは3人だけ。
最強の姉ちゃんと、小柄の赤毛。
後、ワイの右側背に回り込み続けながら、執拗に利き手を抑え込んできた奴。
顔を確認するゆとりは無かったが、コイツが一番強敵やった。
利き手を封じられたワイは、比喩抜きで百発位殴られて失神した。
やばい位に頭がズキズキするので、このまま死ぬかも知れん。
いや、ここが死後の世界で無ければ話やが…
薄っすらと意識が戻ってくると、ワイは膝枕に包まれていた。
何気なく見上げると…
騎士の姉ちゃんが優しい微笑みでワイの髪を撫でている。
『オジサマ♪ 私はオジサマの味方ですよ♪』
嘘こけ!
オマエ、さっき嬉々としてワイをボコっとったやんけ!
「う、うぅ…」
アカン、殴られ過ぎて喋るのが難しい位に顔の形が変わっとる。
『オジサマ♪ 御安心下さい! 今、ドクターを呼んでますから。』
もう突っ込む気すら起こらへん…
阿保らしくて黙っとったら、真正面からミニスカナース服の姉ちゃんが寄って来た。
『あ~ら、酷い目にお会いになりましたね。
御具合大丈夫ですか?』
見たら解るやろ。
ワイやなかったら確実に死んどるダメージや。
『うっふ~ん。
触診させて頂きますわね♪』
ナースの姉ちゃんは露骨にワイの股間に手を伸ばしてくる。
顔の痛みが無かったら嬉しい状況なんやが…
正直、頭痛が激しすぎてそれどころやない。
『あら! あらあらあら!!
うっふっふっふww
こちらはお元気ですこと♪』
なるほど、コイツは下ネタキャラか…
「あ、あ、あうあうあー。」
『あらやだ!
まだ、こんなに明るいうちですのに!
ウフフ♪』
いや、違うって。
頭が痛いねんけど、薬か何かないか?
『皆さんね?
私がナースって自己紹介したら
イヤラシイ目線で見てくるんですよww
酷い話でしょう~ww』
突っ込む気も起らん…
後は延々下ネタが続くので省略!
数日後、ワイは何とか喋れるようになった。
頭痛も治った。
どうも一命を取り留めたらしい。
回復したワイが真っ先に探したのは女王の嬢ちゃんやった。
どうやら、怪我人を一カ所に集める建物があるらしい。
もしも、この世界が天国ならこのまま悦楽を享受してもええんやが…
どうもここは地球っぽい。
せやから。
尼崎に帰ることに決めた。
保険とか税金とか、墓のこととかな。
ワイ長男やから祭祀権とか色々な。
ミニスカナースの姉ちゃんは、あれからワイに付きまとってる。
この世界の話を尋ねたが、予想通り全て下ネタではぐらかされた。
ワイの推測やけど、ナース姉ちゃんはこの世界での地位が高い。
【本来姿を現す予定ではなかったがワイが暴れたので登場せざるを得なかった】と心中で踏んでいる。
「なあ?
腕が痛いんや。
野球やっとた頃に肘を痛めてな…
脱臼しやすいねん。
ちょっと見てくれへんかな?」
『うふふ♪
本当に野球かしら♪
夜のピッチングでバットが火を噴いたんじゃなくって?』
ナース姉ちゃんは慣れた手つきでワイの右手をチェックする。
少なくとも、この女が医術の知識を持っていることは確かや。
医療素人でこの動作は絶対に不可能。
賢者の姉ちゃんは「賢いポジション」と云うキャラ設定やったが、医学に関しては設定ではどうにもならん。
医術は、一定の知能が無いと絶対に修めることが出来へんからや。
賢者の姉ちゃんのオツムでは、残念ながら医療修得は不可能やろ…
確実なのは、この世界の知的カーストにおいてはナース姉ちゃんが上位に居ると云う点。
即ち、より核心に居る。
問題は、この女がトラブル発生までワイの前に姿を見せなかった上に
こうやって面識を得ても、全ての会話を下ネタで流そうとしていることや。
【ワイの仮説】
1、この女にとってワイとの接触自体が想定外やった。
2、役を作り込む暇が無い+機密防止の観点から、正常な会話が出来ず猥談で誤魔化している。
↑ そうそう的外れな仮説ではない筈や。
多分、この女と接触出来たのはワイの幸運。
少なくとも、状況把握の大きなヒント。
まあ、それに…
こうやってワイの肘をチェックしている手つきと高さ…
丁度、喧嘩の時にワイの右側を抑えてた奴のそれと一緒やしな…
ナース 「看護婦を見て淫らな妄想をするのはセクハラです♪」
ワイ 「わかった。」
ナース 「でも看護婦も女です!
恋をしたい日だってあります!」
ワイ 「なるほど…」
ナース 「なるほどじゃないです!!!
何か男の人から言うべき台詞があるでしょう!!!」
ワイ 「え? 何て言ったらええのんですか?」
ナース 「セクハラです!」
ワイ 「ヒエッ…」