異世界探偵
図星だった。
たぶん、彼がこんなにも簡単にそう言い当ててしまうのにはきっと彼自身そう思っているからかもしれない。
「ミィール、後で話がある。」
にこやかに笑っているように見える。
その笑顔の裏に何が隠されているのか・・・。
ミィールは、さっき以上に顔が引きつっている。
「まぁ、冗談はさておき。君、俺に拾われたことは覚えているか?」
なんとなく覚えている。
半分意識がなかったからよくは覚えていないけど。
「一応?覚えてるっちゃ覚えてるけど。」
「曖昧な答えだな。もう一つ質問だ。どうやってこの世界に来た?」
どうやって来たかときた。
実はそこら辺のことはさっぱり分からん。
何があったかなんか覚えていない。
きっといつもの調子でなんかの事件に巻き込まれてなし崩し的に調査することになったんだと思う。
ここは素直に。
「わからん。」
しまった。
素直に答えすぎた。
「えらく率直だな。ミィール読めるか?」
「私には無理。光の子達ならできるかもだけど、今は時期が時期だし無理だと思うよ。」
「そうか・・・。そうだ、君名前は?」
「霧生津雲って言います。そちらは?」
「俺は、フェイル。フェイル・マガタ・ラムセス。この国を作った人間の血を引いている。」
この国を作ったのが人間・・・?
「失礼ですが・・・、この国を作った人間の名前って分かったりします?」
「オジマンディヌアス。詳しい事を聞かれても知らんぞ。なんせ3300年くらい前のことだからな。」
オジ・・・?え?なんていった?
よく分からんが、この規模の国の根源を作ったとなるといかに優秀だったかが分かる。
「なんだ?知ってるのか?」
「知ってるかもと思ったんですけど知りませんでした。えっと、いきなりなんですけど地球に帰る事って・・・。」
多分できないとは思うけど一応聞いてみることにした。
内心なんて答えが返ってくるか分かっている。
けど、怖いな。
「無理だ。わからん。」
ですよね。
知ってました。
でも、どうしよう。
この世界で生きてく?
いや、待てよ。
前任者もとい、オジ・・・なんとかさんはどうしたんだ?
「じゃあ、お前のその祖先?の人間の人はどうしたんだ?」
「普通に帰ったらしいぞ。いろんな方向に飛び抜けていたらしくてな。歴史文書でもあさったら出てくるかもな。」
・・・。
できるきがしない。
ダメだ、これは帰れない奴だわ。
どうにか働き口を見つけて・・・。
「ここって働き口とかないっすかね?」
「はっきり言おう。ない。が、だったら便利屋でもやったらどうだ?俺のポケットマネーで補助してやろう。どうだ?王城お墨付きの便利屋とか。」
お?いいじゃんそれ。
それやろう、てかやりたい。
「良いねイイネ!それ!そうだな~、名前は・・・。」
霧「異世界探偵」
フ「地球何でも屋」
ミ「フェアリル・ミラクル」
霧フ「ミィールのは、却下だな。」
「えっ!ちょっ何でぇ!良いじゃん!フェアリル・ミラクル!」
なんというか、その・・・。
少女向けアニメのタイトルみたいでなんか嫌だ。
「じゃあ!どうすんの?な・ま・え!」
「津雲君の持つ仕事なんだから、彼の提案通り異世界探偵で良いじゃないか。じゃあ、早速だが、初仕事をやろう。」
フェイル、お前が見方で良かった。
それい、初仕事。
流石に初仕事に難易度高めの内容は来ないだろう。
楽な仕事一つで今後の生活が安定する・・・!
「娘を何とかしてくれ・・・。」
前言撤回。
高難易度ミッションの予感がします。