1件目 君にとっての異世界
ん…?
目が覚めると、肌が白く耳の長い特徴的な女性がベットの横の椅子に腰掛けていた。
「あら、やっと目覚めたの?君、自分の名前と住んでたところ覚えてる?」
優しげな雰囲気を漂わせながらその女性は訊ねてきた。
寝起きでぼーっとしながらも
「えっと…あぁ、霧生 津雲です。住んでる所は…〇〇県××市です。」
「珍しいお名前してるのね、それにそんな地名聞いた事も無いわね。」
「それより、ここって何処です…?何か良く覚えていなくて」
頭の中は寝起きだからなのか妙にぼんやりしている。
何かあった気もするのだが、思い出せない。
「ここは、エルフ領のアイレドエルフィ王国の王城よ。この部屋はその診療所よ。」
?
何か聞き覚えの無い、いやある意味聞き覚えがある言葉が聞こえた気がする。
エルフ。
そう聞こえた。
「エルフ…って魔法が得意だとかそういうアレですか?」
「そういうアレですね」
エルフの特徴の白い肌、長い耳。
この女医の方もエルフなのだろう。
「もしかして、地球って知ってるかしら?」
「知ってるも何も俺は地球の人間ですよ。それにこの世界って…?」
「貴方からしたら異世界って事になるわね。私達からしたらあなたの居た所は異世界なのよ。」
この女医の方が、本当の事を言っているとしたらどうやらここは日本でもなく、ましてや地球でも無いらしい。
「でも…なんでこの世界にいるんだ…。」
「あら、何も覚えてないのね。なら思い出すまでの間でもいいから地球について教えてくれないかしら?」
「別にいいですけど…」
「それじゃあ、特に問題も無さそうだし貴方を見つけてくれた方にくらいお礼をしに行きましょうか、案内はしてあげるからね。」