0件目 大きな仕事。
ちょっと前からこれよくね?
って思ってたタイトルから作りましたが、
優先順位は、3番目で進めていきたいと思います。
無駄にかっこつけるためにわざわざさっき買ったばかりの中折れ帽を被りトレンチコートに身を包む。
手で軽く埃を払ってから襟を正した。
「やっと追い詰めたぜ、真犯人さんよ!」
声が聞こえないように何度も小声でシミュレーションする。
さぁさぁさぁ、行くぞ。
次こそ言うんだ。
久々の大きな仕事なんだ。
失敗するのは今後の営業に関わる。
ふぅ~
大きく息を吐く。
よしよしよし、覚悟を決めた。
犯人はしっかりこの角を曲がった先まで追い詰めた。
逃げようがない。
「ふぅ~、やっと見つけたぜ犯人さんよォ!!」
目つきを鋭くして、曲がった先に居るはずの犯人を鋭く睨む。
が、その先には誰も居なかった。
「へ?」
思わず変な声が出てしまった。
そこは、確かに四方八方が壁で囲まれた路地。
そっ、そんな。
何で居ないんだ?
まさか俺が追いかける途中で道を間違えた?
もう何年も探偵表をしているが、そんなことをしたことはない。
でもでもでも、じゃあ何で?
本来なら犯人がいたはずの道の壁を調べる。
壁は高く、乗り越えたりとかはできようがない。
くまなく触って調べてみるが、何も異常は無い。
もしかして本当に逃げられたかと思って携帯を確認する。
もしもの時に備えて、警察には周囲を任せてある。
もし何かあったなら連絡が入っているはずだ。
だが、連絡は一切入っていない。
つまり、逃げられたわけではないと言うことだ。
ならこの周辺にいるはず。
少し戻って探してみようと思って振り返った。
「やっと見つけたぜ真犯人さんよ。」
俺の声、俺の姿。
そこには、俺が立っていた。
目に光はない。
やばい!
今角にいるのは俺の方だ。
逃げられない。
それに目の前の俺、消えた犯人。
明らかにおかしな事が二つ起きている。
「おいおいおい、俺の真似なんてしやがって何の冗談だ!っ!!?」
首を掴まれた。
そのまま、壁に押し当てられる。
その手には段々と力が込められていった。
「かはっ!」
息ができない。
やばいやばいやばい。
このままじゃ死んじまう!
俺の首を掴んだまま徐々に持ち上げていく。
足も付かず、息もできずなすすべがない。
目の前が段々と白くなっていき、体に力が入らなくなっていく。
し・・・ぬ・・・
パチパチパチ
俺がさっき来た道から拍手をしながら一人の女が歩いてきた。
「よくやった、離して良いわよ。彼には実験台になってもらうから。」
俺は、その女を知っている。
俺が追いかけていたはずの犯人だ。
ふっと手が離される。
体には、力が入っていないため、地面に倒れ込む。
大きく息を吸い、体中に酸素を補給する。
何とか壁に手をつきながら立ち上がる。
「はぁ、はぁ、はぁ、てめぇどこにいやがったんだ?」
「そんなこと別にどうでも良いでしょ。それじゃ時間が無いから」
そう言いながら、懐から銃を取り出し、俺の眉間に狙いを定める。
おいおいおい、そんな物日本にあって良いのかよ。
本当に恐怖したとき人は動けなくなるらしい。
俺の足が動かなくなっていた。
「待てよ、殺す気か?」
「そうよ、それじゃあ。」
「おいっ!やめっ-----」
パンッ
銃というよりかピストル。
発射された弾は正確に俺の眉間を撃ち抜いた。
俺の頭を撃ち抜いた弾丸が異様に真っ赤だったことを死ぬ直前に見ることができた。
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ガタガタと舗装のされていない道を走る車輪の音。
その一つが、近くで止まる音が聞こえた。
-----大丈夫ですかな!?旦那様、旦那様!大変です人が倒れております!
-----馬車に担ぎ込んで良い!ひとまず屋敷に連れて行くぞ!
-----はい、分かりました!
体を担ぎ上げられ、堅い床に寝かされる。
これは夢だろうか。
俺は、さっき・・・
えっと・・・何をしてたっけ。
まぁ、いい。
取りあえず、もう一眠りしよう。
どうにも疲れている。
・・・。