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ぎゃらりぃ そのに

忙しい人のためのオスシャロあらすじとファンアート、補足など。

これまでのネタバレを含みます。

読み飛ばしても本編への支障はありません。

いただいたご質問は追記していくかも。

挿絵(By みてみん)

◆ 第2章のあらすじ ◆


 研究施設から脱出を果たしたオスカーとシャロン。

 付近で魔物に襲われていた商人たちを助けた結果、シャロンは『熊殺しの女神』呼ばわりされる。かわいくないので本人としては少し不服である。


 そのまま村まで護衛を兼ねて同行することになったが、村に近づくと様子がおかしい。

 蛮族集団『紅の鉄の団』によって略奪を受けている真っ最中であった。

 急行したオスカーたちは蛮族を撃退し、村の再建に力を貸す。


 山の麓に位置するゴコ村は、近隣の貴族リーズナル家の領地にあたる。

 蛮族撃退と村の再建の功により、オスカーとシャロンはガムレルの町へと招かれる。


 路銀をもらったのでガムレルで散策を楽しんでいたふたりは、半狂乱になって妹弟の行方を探す獣人と出会う。

 獣人は名をアーニャと言い、蛮族に妹弟を連れ去られたという。

 オスカーにとっても因縁浅からぬ『紅の鉄の団』について情報を持っていそうなカイマン = リーズナルに話を持ち込むと、ちょうど彼らのアジトが特定できたところだという。


 怒りに燃えるオスカーは蛮族集団を圧倒的な力で捩じ伏せ蹂躙、これまでの悪逆を強制的に清算させた。

 蛮族がこれまで好き放題していた背後には貴族の後ろ盾があったことが判明し、オスカーはシャロン、アーニャと連れ立って、途中で落ちていた鳥を拾いながら貴族の館へと強襲をかける。


 貴族の館でアーニャの妹アーシャと弟のラシュを助け出し、復讐を終えたオスカー。

 『この先』のことを考えるにあたり、シャロンとの関係性をようやく進める決意をする。

 住処を失ったアーニャたち姉弟までひっくるめて新しい『家族』として生きていくことを決めたオスカーは、蛮族討滅の功績でガムレルに家屋をもらい、『オスカー・シャロンの魔道工房』を開設した。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

▲ ブライアンさん(twitter: @56nQCMe7yOP5q3u)からいただいた、水遊びするシャロンとシアン(後述)、見守るオスカー。

 オスカーくん視点で無駄に何度も描写されるシャロンちゃんの太ももを、特に魅力的に描くために力を尽くしてくださったとのことです。遊びまわるシャロンたちの楽しそうな表情だけでなく、清涼感のある水の表現も、とっても素敵です。

 『オスシャロ』、ひいては私の創作人生で初めていただいたファンアートでもあり、大変思い出深い宝物です。ありがとうございます。


挿絵(By みてみん)

▲ 夏野露草先生( https://mypage.syosetu.com/1249146/ )からいただいた、シャロンちゃん。

 輝く髪に、美しい瞳。頼り甲斐のある微笑みの、優美なシャロンちゃんです。

 こんなに素敵に描いてもらったのに残念発言を連発するというギャップがたまらない。R18警告を受けないようにだけ気をつけたいものです。

 オスカーくんが一人だったならきっと、最初の研究所で恨みと絶望に苛まれ、長く苦しんで、脱出することも叶わずに最終的に餓死することになったでしょう。

 その孤独から彼を救いあげ、共にあり続けた微笑みが、このイラストからは感じられて。作者はこのファンアートをいただいたときに感極まりすぎて頬っぺたを噛みました。けっこう痛かったです。

 同じく兵器系ヒロインの物語を描かれている夏野先生(勝手にシンパシーを感じています)からいただいた、私の家宝のひとつです。ありがとうございます。



挿絵(By みてみん)

▲ ほっぷ先生からいただいた、アーニャ・アーシャ・ラシュの三姉弟。

 この子たちが並んでいられるところを見られて、もう……本当に、本当に感慨深いです。

 オスカーくんは力がなくて家族をめちゃくちゃにされてしまいました。その無力感から自分を責め続けていますし、それは仇を討ったあとも消えてはなくなっていません。作者はだいたいひどいことするよね。

 ただ――力を得た今、彼女たち姉弟を救えたことで、オスカー自身の心も少しだけ救われています。

 いつも素敵なイラストを、本当にありがとうございます。

 

挿絵(By みてみん)

▲ らっぴーが写り込んでる版もいただきました。びっくりしているアーシャがとってもキュートです。

 普段は省エネなのに、放置されると構われに来るらっぴー。

 それにしても……お姉ちゃんの物量が圧倒的です。でかぁァアイ、説明不要ッ!!


挿絵(By みてみん)

▲ ほっぷ先生からいただいた、らっぴーのデザインラフ各種

 まるこくてもふもふ、寝汚い工房のマスコット。

 とべます。びっくりするとほっそりします。

 姿形も全然違う種族でありながら、ラシュとは(半ば乗り物扱いながら)仲良くやっているさまを書きたいなぁ、うまく書けているといいなぁ。

 作者は異種族が仲良くしているのが大好きなのです。犬とハムスターが仲良しな動画や、猫と鳥が添い寝してる動画とか、大好きなのです。

 

挿絵(By みてみん)

▲ 祥之瑠于先生(https://mypage.syosetu.com/707269/)からいただいた、オスカーくんとカイマン。


 楽しげなカイマンと、興味なさげなオスカーくんの対比から、とても『ぽさ』が感じられて、もう。素敵すぎます。つらい。末永く仲良くしててほしい。

 つれない態度ですが、きっとこれで満更でもないんですよこの人(オスカー)。そういうやつです。

 全肯定するシャロンちゃんだけでなく、こんな笑顔の友人がいてくれたからこそ、オスカーはオスカーのままで居られる……そんな美青年を見事にイラストとして表現していただけて、作者は感謝感激しきりなのです。ありがとうございます。



挿絵(By みてみん)

● オスカー = ハウレル

 

 『オスカー・シャロンの魔道工房』の工房主。ガムレルに居を構えた。


 "全知"の神名が付与された眼鏡と、成長した自らの力によって、己の望んだように振舞っている。どことなく『チートハーレムっぽさ』が出てきたように感じるが、挿絵担当氏からは主人公(オスカー)不能説を唱えられる。


 仇敵である『紅の鉄の団』の討滅を果たした上、黒幕をも白日のもとに曝け出したため、彼にとってはひと段落。しかしひと段落した後も、人生は続くのだ。

 言動が残念なところもあるが、見た目は文句なしに可愛い嫁さんと、獣人三姉弟を家族に迎え、和やかに過ごしている。

 周囲からは『獣人趣味』や『主義者』と蔑まれたりすることもあるが、本人はあまり気にしていない。

 

 もしも蛮族討滅時に外道に堕ちていたならば、まつろわぬ者を力で捩じ伏せる暴君として君臨することになったと思われる。

 エイプリルフールネタに『暴王オスカー&暴妃シャロン』のifルートを執筆していましたが、結局お蔵入りに。


 →(追記)結局オスカーさん誕生日記念で公開しました。なんということでしょう。



● シャロン = ハウレル

 

 影に日向に、ぐいぐいっと旦那様(オスカーさん)を支える魔導機兵。


 かつては短絡的に求められるだけで満足だったが、長期的にオスカーのためになるにはどうしたらいいか、と思考しはじめた。

 自分が褒められてもあまり頓着しないが、オスカーが褒められると嬉しいし誇らしい。

 

 縫い物、編み物、料理など、かつての文明によって『女子力』とされていたものを高めようと学習や技術の習得に余念がない。

 が、料理に関してはアーシャに御株を奪われることになった。大味なのでね……。

 

 オスカーに対する独占欲のようなものはさほど強いわけでなく、むしろもっと多くの人に好かれるべき人だと認識している。

 オスカーのことを信奉するアーニャたちは同志のような位置付けで考えており、態度も柔らかい。しかし、巨乳に対しては人一倍に敏感であった。



● アーニャ


 獣人、猫人族の女性。この時点では年齢不詳ながら、20歳ほどの外見。


 長めで艶のある赤髪に三角の猫耳。明るい茶色みがかった瞳。濃いめの肌の色に、すらりと伸びた手足。艶のある尻尾。そのバストは豊満である。

 一人称はウチ、父親譲りの訛りが強い。たまにオスカーのほうがつられるほど。他人にニックネームをつける癖がある。

 なんでも食べるし、お酒も好き。オスカーに出会うまではお酒を飲んだことはなかった。

 密か(だと本人は思っている)に可愛いものも好きだが、自分には似合わないと思っている。

 好んで動きやすい格好をしているが、痴女ではない。ないったらない。

 

 攫われた妹アーシャと、弟ラシュを取り戻すため、人里にまで降りてきた。

 身体能力に優れるものの、ほとんどの獣人種と同様に魔力受容体がほぼ無い。

 

 ナイフを使うスピードファイター。素早く柔軟な身のこなしから、素人の成人男性二人くらいと引き分けに持ち込めるくらいの強さ。

 動き回るたびに、凶暴な双丘がばいんばいんのすごいことになるので、男性特攻としての効果が若干見込めるかもしれない。

 

 オスカーが工房を開設するのを期に、ハウレル姓をもらう。自らアーニャ = ハウレルを名乗る勇気はまだない。



● アーシャ

 

 獣人、猫人族の女性。この時点では年齢不詳ながら、14歳ほどの外見。


 肩まで掛かる、赤み掛かったふわふわの癖っ毛で、同じくふわりとした猫耳。しょんぼりすると耳がぺたんと倒れる。明るい茶色っぽい瞳。お子様体型なのを若干気にしている。そのバストはつるぺたで――ではないものの、あまりない。嬉しいと尻尾がピンと立つ癖がある。

 一人称は『アーシャ』。語尾が『〜なの』という喋り方をするが、これは姉であるアーニャの『〜なん』という言葉遣いが一部移ったもの。

 食べ物全般が好きで、料理を作るのも好き。作った料理が喜ばれると、とっても嬉しい。甘い物がとくに大好きなものの、猫人族の里にいたときには甘味は超貴重品だったため、アーニャやラシュに譲ることも多かった。


 オスカーからもらった首輪を磨くのが趣味。

 

 猫人族の里が蛮族集団に襲われ、その際にラシュ共々攫われた。

 他にも攫われた者がいたが、いわゆる処女厨である依頼人に送り届けられるため、ラシュともども個別に移送された。

 自分の身やラシュのこともほとんど諦めていたが、アーニャだけは無事に生き延びて欲しいと震える夜を過ごしていた。

 そんななかで、アーシャとラシュだけでなくアーニャまでまとめて救ってもらった恩に報いるため、どうすればオスカーとシャロンの役に立てるかと考え、日々勉学や料理の研鑽を積んでいる。

 

 自分がつらいのはけっこう耐えられるが、身近な人がひどい目に遭うことに耐えられないタイプ。

 オスカーが工房を開設するのを期に、ハウレル姓をもらう。しかし、もらってばかりでいることに後ろめたさのようなものを感じている。



● ラシュ

 

 獣人、猫人族の男の子。この時点では年齢不詳ながら、9歳ほどの外見。


 白っぽいふわふわの髪に、三角の耳がちょこんと乗っている。よく食べ、よく寝る。らっぴーに乗り物扱いされても気にしない、おおらかな性格。好きなものは魚と日向ぼっこ。

 一人称は「ぼく」だが、これは(みずか)らのヒーローでもあるオスカーを真似たもの。それまでは一人称をとくに使っていなかった。

 

 姉たちを守るために強くなりたいという思いから、オスカーから剣を習ったりしている。

 勉強は苦手。眠くなるので。それでも頑張る。寝るけど。

 絵を描いたり、粘土を捏ねたりといった創作分野が得意かつ好き。

 

 オスカーが工房を開設するのを期に、ハウレル姓をもらう。兄と姉ができて嬉しい。

 シャロンのほうが『姉上様』として慕われているようで、アーニャは『おねーちゃん』として微妙にじぇらしぃ。



● らっぴー

 

 魔鳥ラピッドクルスの幼鳥。メス。見つけたら幸運が訪れるとか言われる稀少種で、羽毛も肉も卵もそれなりに売れる。


 蛮族騒動の黒幕と目される人物のところまで"調和魔術:転移"で向かおうとしていたところ、羽根を怪我して魔物に追い詰められる鳥にたまたま遭遇。そのまま拾われた。

 

 魔物の生態をまとめた本には『汚れを祓い、周囲の者を癒し、その(さえず)りは平和を(もたら)す。争いを好まず、不穏な空気を感じとると忽然と姿を消す』だとか記されているが、今日もらっぴーは工房で惰眠を貪る。

 丸っこい体。でも、ほぼ羽毛なので奴は飛べる。疲れるので飛ばないだけである。

 

 ラシュのもふもふ毛がお気に入りのお昼寝スポット。

 頭の上で足踏みをして寝やすいように髪を耕されたりするが、ラシュはとくになんとも思っていない様子。(それどころか、たまに床にいるらっぴーをわしっと掴んで自ら頭に乗せたりしている)


 

● カイマン = リーズナル

 

 ガムレルの町近郊を治めるリーズナル家の次男。美青年。

 少し癖っ毛だが艶のある茶髪。落ち着いた焦茶色の瞳。

 

 『オスシャロ』屈指の人気キャラ。たぶん第二章蛮族戦での見せ場のせい。でも紹介順はらっぴーの下。ごめんな、この並びは人気順じゃないんだ。

 読者さんからのカイマンについての言及が、シャロン+アーシャくらいある。オスカーさんの舌打ちが捗る。彼はほとんど言及されないので……。

 

 初登場時は長くうざったい感じに髪が伸びたなりになっていた髪も、蛮族討滅により宿願を果たしてからバッサリと切った。ただし髪が短くなった弊害で、朝起きたときの寝癖の暴走が再発してしまった。そのため寝るときにはナイトキャップが手放せなくなっている。なお、ナイトキャップは側付きのメイドさんのお手製である。大鷲と大樹を(かたど)った、リーズナル家の家紋付き。

 

 2年前に『紅き鉄の団』に初恋の人を攫われ、復讐に取り憑かれた。力を付けると同時に、信頼できる協力者を募るために冒険者組合の門を叩いた。冒険者レベルは1、初級冒険者。


 二頭のペイルベアに遭遇し、パーティもろとも絶体絶命に陥っているところにオスカー&シャロンと出くわした。

 この時の行動をカイマンは深く反省しており(たまにオスカーが蒸し返すのもあり)、『人を見かけで判断してはいけない』と自らに制約を課している。

 なので、オスカーが蛮族に対してはほぼサーチ&デストロイなのとは対照的に、一応の対話を試みるようにしている。中級冒険者からは何を悠長な、と見られることもあるが、上級冒険者からはその落ち着きぶりに一目置かれていたりする。

 

 終章開始時点でまだ挿絵が付いていないのにファンアートをいただける凄い奴。 

 

 

● ラルシュトーム = ヒンメル

 

 ゴコ村に居を構える商人。良く言えば恰幅が良い。悪く言えば小太り。

 カイマンたちと共にペイルベアに襲われていたところを、行き合ったシャロンに助け出される。


 お人好しすぎて商人には向いていない、と親しみとともに評されがちだが、買い付けのときは商人魂を遺憾無く発揮する。

 工房の商品を定期的に買い付けに来る。

 

 

● ソフィア = ヒンメル

 

 ヒンメル夫人。「あらあら、うふふ」系ほんわか若奥様。


 裁縫が得意で、衣類を作ったりする。旦那の世話を焼くことと、可愛い子に可愛い服を着せるのが生き甲斐。

 旦那が買い付けに出ている間、ゴコ村のヒンメル商店の店番をしながら小物を編んだりしている。

 

 オスカーからの、彼の家族にまつわる依頼は金に糸目をつけないので、良い布良い糸がふんだんに使えて嬉しい。

 

 

● エリナ = アスガム

 

 エリナ嬢。ゴコ村の、元気いっぱい13歳。ちょっとおませなお年頃。

 命の恩人であるシャロンに懐き、同じく命の恩人であるオスカーに熱い視線を送る。


 商人であるヒンメルさんにせがんで、ガムレルの町までくっついて行くこともある。しかし工房内でアーシャたちと楽しそうに語らうオスカーに尻込みして、なかなか店内には入れない。

 アーシャには対抗意識を(一方的に)燃やしているが、アーニャの暴力的なまでの胸のサイズには、見るたびに「あれはむりだ……」と悲しくなっている。

 小動物がごはんをもぐもぐしているところが好きなので、らっぴーにも興味津々だったりする。それでもなかなか店内に踏み入れる勇気は出ない。

 

 ちなみにシャロンからは店外でもきっちり感知されており、『なにをしてらっしゃるんでしょう?』とか小首を傾げられたりしている。

 

 

● ヴォルドゼル = ヴァローゼ

 

 ぼるばろさん。現在はヴォルフガング = ヴァロミデリスという偽名を名乗っている。


 妖精亭の店主(マスター)。元暗殺者の人間、男。渋いおじさま。63歳。この時代ではけっこうな高齢にも関わらず、元気。


 作者の別作品『殺し屋とバンシー』の主人公。エンディング後30年くらいの姿。

 髪はほぼ白くなってしまって、物腰は基本的に柔らかい。右目から頬にかけて刀傷がある。

 たまに鋭い目つきをするし、お店で暴れるとかシアンに危害を加えられそうな場合はナイフを投げたりする。

 

 茶葉に拘る。肉や魚料理、果ては甘味までを慣れた手付きで器用に作る。アーシャに師と仰がれている。本人は言葉には出さないが、満更でもない様子。

 

 テーブル席が2つ。カウンターが4席の妖精亭をほぼ一人で切り盛りしている。もうひとつあったテーブル席はシアンの寝床になってしまった影響で擬似的な『認識阻害』のような状態になっており、一般人には認識されにくくなってしまっている。


 ちょっと贅沢めな外食といった風情の店であり、料金もそう安くはないが、本人は半ば道楽でやっているので客足の多寡はあまり気にしていない。

 


● シアン

 

 妖精(バンシー)族。見えない系の、見た目幼女。


 作者の別作品『殺し屋とバンシー』のヒロイン。エンディング後30年くらいの姿だが、見た目は8歳くらいの幼女のまま。中身もほぼ相変わらず。そういう種族。

 

 妖精亭の看板娘。でもほとんどの人には見えない。シャロンからは検知されているが、見えてはいない。オスカーからは”全知”があれば見える。外すと見えない。

 

 ヴォルドゼルに対してはずっと「ぼるばろ」呼び。ほとんど泣かなくなった。

 いたずら好き。アーニャたちの尻尾を引っ張りたい。

 

 茶葉を取って来てくれたりする。妖精亭の最高級グレードの茶葉"妖精摘み"はシアンが適当に取って来たもの。たまに雑草が混じってる。

 

 

● キルシュ = ハウレル

 

 オスカーの母。死亡が確認された。

 凄惨な陵辱の末、死してなお骸を晒しものにされ、辱められた。

 

 悪夢のなかで、ひとり逃げたオスカーを責め立てる。彼が生きていることが彼女の最期の救いだったのに、オスカーの精神は自分自身を許さない。

 

 

● 蛮族組織『紅き鉄の団』のみなさま

 

 貴族の後ろ盾や、どこかしらから魔道具の横流しを得て暴虐の限りを尽くした荒くれたちは、さらなる暴威の前に脆くも崩れ去った。


 霊峰をまるごと切りとばし、それに押しつぶされるというなかなか類を見ない死因から、黒幕に与したり甘い汁を吸っていた者たち以外からもオスカー = ハウレルの名が恐れられることになった。

 とくに国王側近の恐れっぷりが凄まじく、それまで特に実績のなかったオスカーに最上級の勲章が叙勲された所以となっている。

 

 調子に乗りすぎた結果、最悪の暴王を生みかけた。

 

 

● キルシュ

 

 オスカーの母と同じ名を持つ、蛮族頭領の隠し子。

 当人は、父は幼少のみぎりに死んだと教えられて育った。

 

 怒れる暴王の卵、その御前に突然引き摺り出され、正直めちゃくちゃ怖かった。

 きっと喚ばれたのが彼女ひとりだったら、その場にへたりこんで泣きじゃくり、苛つかれながら無慈悲に首を刎ねられることになっただろう。

 もしかすると同じ名を持つ別の女性のように、生きたまま槍で貫かれ、天に掲げられたかもしれない。

 

 それでも自らの足に縋り付く存在(わが子)が居たから。母は強く逞しいのだ。

 

 

● ハーディール = オード = ロンデウッド

 

 ロンデウッド男爵。『紅き鉄の団』関連の黒幕的存在。カランザの町周辺を統治する。


 好色にして大食漢。腐敗させやすそうな相手を見極めるすべに長けているが、オスカー(偽名:ヨハン)を小僧と侮り欲をかき、シャロン(偽名:シャーロット)まで手中に収めようとしたために退き際を見誤った。もっとも、オスカーに退かせる気など毛頭なかったのだが。


 アーシャいわく『こわいでぶ』。

 

 『紅き鉄の団』を動かして違法な手段で手に入れた違法な奴隷を好事家に売り捌いたり、政治的に邪魔な者を排除するなどに協力して後ろ盾を得たりして、巨万の富を築いた。

 その収益によって贈賄で勢力圏を拡大し、やりたい放題していた。王都高官も一部というには多すぎる人数が腐敗しており、その解決のために、秘密裏に組織された部隊が存在する。ダビッドが部隊の指揮を摂る。

 

 

● ダビッド = ローヴィス

 

 ロンデウッド男爵の影武者をしていた。その実体はロンデウッド男爵の内偵を進めて着々と証拠固めをしていた、王都近衛隊三番隊(通称スパイ部隊)の隊長。騎士(ナイト)の位持ちの、近衛流剣術の達人。38歳のナイスミドル。

 

 引き締まった肉体に余裕のある笑み、威厳のある顎髭を併せ持つ偉丈夫。怯えた仕草もキリっとした表情も思いのまま。狼狽している姿もポーズかもしれないぞ。オスカー的には『うさんくさいおやじそのいち』。

 

 巨悪を討つためなら自らの手を汚すことも、それによって自らが処断されることも許容する仕事人間。部下からの信頼は厚いが女性の扱いは奥手。任務であればいくらでも口説けるのだが。

 

 現代では数少ない、神名の存在を知る人物。

 

 政治力もそれなりに高く、オスカーの過ぎたる力に危惧や反感を抱えつつあった国王側近を丸め込み、王都への来訪を拒みつつ、貴族でない者に叙勲できる最上級の『翠玉格勲章』の授与という落とし所に着地させた。

 

 

● グラート = ニュェ = フィルニムス

 

 ロンデウッド男爵お抱えの魔術師の男。45歳。二つ名は『種火』。ケモショタを無理やり手篭めにするのが好きという、なかなか業の深い人物。

 抗魔力のほとんどない獣人に対しては圧倒的有利なのだが、オスカーのアシストを受けたアーニャ相手に競り負ける。

 

 名前すら出る間がないままに倒されたが、貴族の出だったりする。ミドルネームは『ニュエ』ではなく『ニュェ』。今後、彼の名前が出ることはあるのだろうか。



● ペイルベア

 

 魔物の一種。駆け出し冒険者殺し。


 中級の冒険者でも苦戦を強いられるので、戦いを避けられるときには避けて通るような手合い。

 体長は大きいもので4mを超え、体重も800kgほどになる。カイマンたちを襲った個体はまだ若かったので、そこまでではない。

 

 ペイルベアが難敵となっているのは、大柄な肉体から繰り出す物理的攻撃力、厚い毛皮や脂肪による防御力と、冒険者の防御を突破してくる爆裂する魔力に依るものだ。

 爆裂はペイルベアの腕が届く程度の範囲にしか発生させてこないが、盾や鎧の内側に発生させられた場合、一撃で戦闘不能にもなり得る危険極まりないものである。当たりどころによっては即死もあり得る。

 狭い木々の間や洞窟に身を隠そうにも、爆裂する魔力で障害物を排除しながら猛追してくる様は、たとえ生き残ったとしても恐怖から冒険者業を続けられなくなる者も少なくない。

 木や岩を背にして体勢を整えようとしたところに爆裂を食らい、倒れこむ木の下敷きになったという報告も、さして珍しいものとは言えない。

 

 こういった難敵が人里近くに出没した場合、冒険者組合に報告するとわずかながら奨励金が支払われ、その後比較的割高な討伐依頼が貼り出されたりする。


 ペイルベアは鼻が良いので、対策には匂い袋がよく用いられる。 

 討伐の際には4、5人以上で囲みつつ、弓や魔術によって後衛の火力で仕留めることが推奨される。前衛は付かず離れずの距離を保って防御に徹し、腕や倒れこみによる攻撃を誘い、両腕を揃えて地に着けた場合は速やかに離れること。爆裂の前兆行動としてよく見られる兆候のため。

 けっして、認識外の速度で「えいっ!」するのが正しい対処法ではない。

 

 

● ハウレル式の車輪

 

 偉大な車輪の再発明とも。車輪の回転によって魔力を生成し、魔術を発動しつづけるという発明。

 新たな理論の確立なので、オスカー限定というわけではなく、その理論を理解した付与術師であれば作成できる。

 オスカーはこの仕組みで、常に"軽量化"が掛かるようにした。馬はあまり疲れることなく多くの荷物が運べるようになる、陸上運輸における一種のブレイクスルー。

 

 馬匹による兵站維持が主たる手段である間はもちろん、蒸気機関、航空技術が登場してもなお、この駆動理論は継承されていくことになる。

 

 

● 魔石(魔力結晶とも)

 

 指向性を持たない魔力が長い時間、ひと所に一定以上の密度で存在し続けると、次第に結晶化していく。

 魔力が吹き溜まりになる場所や、地脈に、気の遠くなるような年月をかけて生成されるもの。

 

 魔術師は、これを外付けのエネルギータンクのように扱うことができ、魔石自体に術式を刻み込むことで詠唱なしに魔術を即時発動することもできる。

 稀少かつ高価であり、術式を刻んでしまうと単一目的にしか使えなくなる、刻むのを失敗すれば大金をドブに捨てたようなものになる、そもそも術式を刻めるような大きさの魔石は手に入らない、などの理由からほぼ使われない手段である。

 魔石を人工的に『精製』するなどという芸当は離れ技の一種だが、これはオスカーが世界初というわけではない。


 

● 調和魔術(同調魔術とも)

 

 魔術の発動形態のひとつ。オスカーとシャロンふたりで行使する、いわゆる『手繋ぎ魔術』。

 

 魔力は異なる波長のもの(他人のもの)を同調させると大幅に増幅されるという性質があり、これを謀らずも実行している。

 色彩の異なる波長の魔力のほうが、同調させたときの威力は膨大なものになる。が、元から難しい同調の難度がさらに上がる。

 本来であれば"調律"の神名の加護を受けるか、調和魔術だけにただひたすら研鑽を積み重ねた結果に辿り着ける、魔術の極みのひとつ。その法則を()る者も、この時代ではそう多くない。

 

 シャロンは自身を『杖や魔道書のように扱い』と評したが、オスカーから流れ込む魔力の波を、魔導機兵持ち前の演算力で完全に同調させることで、調和魔術を成功に導いている。

 鍋の焦げを落とす程度の威力の"剥離"魔術が一段階昇華されたものが、人の爪を剥ぐ威力を発揮するならば、調和魔術で昇華されたものは「遮るもの全てを分断する」ほどの威力を発揮することだろう。

 

 オスカーの元々の魔力出力が1だとするならば、成長したオスカーは10くらい出せる。(保有量は500くらいだが、一度に出せる量には限りがある)

 そのため魔力保有量が足りていても、出力60を要求する"転移"の魔術を単身で行うことはできない。

 調和魔術では、10×10=100くらいの出力がドバッと出せるので、二人掛かりなら"転移"魔術だって発動できる。

 

 三人以上での調和魔術も理論上は可能。難度はほぼ不可能と切り捨てていいレベル。

 10×10×10×10...と威力が上がるごとに、暴発するリスクも高まる。

 

 

● ゴコ村

 

 ガムレルの北東に位置するゴコティール森の先、ゴコティール山を背後に控えた辺鄙な村。

 

 『紅の鉄の団』に襲われた(2年ぶり2度目)。

 対策として、オスカーとシャロンによって魔改造されて、水路や跳ね橋が配備された。

 

 弟子入りとかを全力で嫌がるオスカーの技術を学ぼうと、日々技術者が流入して飛躍的な発展を遂げつつある。

 

 

● ガムレル

 

 王都から南に馬車で7日程度の場所に位置する町。リーズナル家が統治している。


 北部以外がだいたい円形に作られた町は、その中央に大通りが十字に走り、北地区、東地区、南地区、西地区と別れている。北地区は領主たるリーズナル家の邸宅が、町を一望できる小高い丘の上にそびえている。

『オスカー・シャロンの魔道工房』が存在するのは西地区。大通りからもほど近く、それなりに落ち着いた区画。

 町の南西には運河が流れ、北東にはゴコティールの森、南からはしばらく農耕地帯が広がっている。近場で稼ぐ冒険者はゴコティールの森に入ることが多く、冒険者組合の建物も東地区の門近くに存在する。

 

 本来、一介の男爵家に任されるには立地としてはあり得ないほどの良地である。これはリーズナル家の祖先が、魔物の群生地であったゴコティール地域を開拓して新たに築いた町という歴史的経緯に依る。

 リーズナルの家系は民草にとってはそれなりに良い統治者であり、王都から交代要員として子爵が派遣されそうになったときはあわや暴動に発展しかけたということがあり、運河の閉鎖は短期間でも死活問題だったためにリーズナル家の領主としての続投が決まった。以来、町の規模が大きくなっても、民と領主の持ちつ持たれつで、ともに発展してきた。

 

 

● 霊峰カイゼル山

 

 蛮族集団のアジトが麓にあったばかりに、地図から消える羽目になった、哀れな山。

 

 

● 隷属の首輪

 

 魔道具の一種。契約系。


 主に、抗魔(レジスト)力がない獣人に強制契約させる用途で使われる、奴隷の証。

 見た目は枷のようなものがほとんど。鎖が取り付けられるようになっているものもある。

 

 契約を結んだ主人(オーナー)の任意で、首輪の巻きつき状態が変わる。つまり、首が締まる。

 

 

家族(ハウレル)の輪

 

 アーニャたちの首輪(チョーカー)、およびオスカーとシャロンの腕輪。らっぴー用に足輪も作ろうとしたが、さすがに小さすぎて機能を埋め込めず、断念している。首輪と腕輪で形態が違っても、機能はほぼ同じ。

 

 『隷属の首輪』を嵌めていない獣人は誰かの所有物であるという証明がされないのと同義なので、常に捕らえられ強制的に服従させられるリスクがある。

 そのため、所属を明らかにするためにアーニャ・アーシャ・ラシュの三名には首輪型の魔道具を与えた、いわばオスカーの苦肉の策。――だったのだが、当人たちはけっこう気に入っている様子。アーシャに至っては、1日に2回は磨いている。

 

 アーニャ、アーシャ、ラシュのものはデザインは同一で、色合いが異なる。これは彼女ら自身の(微弱な)魔力色相によってエムハオ革を染色したことよる。

 アーニャは白、アーシャは黒、ラシュは灰。薄らと木の葉のデザインがあしらわれ、近くで見るとお洒落なデザインになっている。

 オスカーとシャロンの腕輪は、シャロンの髪を意識した金色。

 

 組み込まれた術式は中央に据えられた魔石を動力としており、魔力がほぼ皆無に近い者にも扱える。オスカーの腕輪には魔石がなく、シャロンの腕輪には内側に細かな魔石を複数内蔵している。

 オスカーの思い付きで、後からあとから術式が追加されたり洗練されていたりする。

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