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プロローグ

その日。

五十嵐ミトと三つ下の妹、アリスは一緒に遊園地へ遊びに行く約束をしていたんだ。

ミトはもう中学3年生にもなって妹と遊びに行くだなんて周りから笑われたがそれでも良かった。

だってミトにとってアリスは最愛の妹で、たった1人の家族だったから。


ミトの事を

「おにいちゃん!」

と、呼んでくれて無邪気に笑う。

アリスはそんな妹だった。


母親がロシア人、父親が日本人のハーフだった事もあり髪は綺麗な金髪。

目は透き通った赤だ。

ミトは母親には全く似つかず

とてもハーフとは思えないくらいの

見事な父親似だっが。


両親は

「仕事がある」

とだけ言ってどこか遠くへ行って、

そのまま帰らぬ人となった。

東京で2人仲良くトラックに

ひかれたらしい。

ミトはあまりの出来事に頭が真っ白になったが、

アリスと支え合い、貯金と生活保護を受けて暮らしていた。


そんな中での遊園地の約束。

それはある出来事のせいで果たすことができなくなる。


遊園地へ行く前日の事だった。


「アリス〜!

緊急事態だ! 俺のヨーグルトが切れてい

るじゃないか!」


「えー?

昨日見たらまだ全然のこってたよー!

お兄ちゃん食べすぎ!」


「そんな事は無い!

アリス今すぐコンビニで買ってきてくれ

ないか!」


「えー!?

自分で買いに行きなよ!」


「あいにく俺は受験勉強をしなければ

ならん! 頼む!」


「も〜。

しょうがないんだから」


そんな温かい会話が最後になるだなんて

その時の俺は思ってもみなかったんだ。



「あれー、アリス遅いな……」


アリスがヨーグルトを買いにでかけてもう5時間はたつ。

夕方の5時過ぎに家を出たので、時刻はすでに夜中の10時を回っていた。


「なにかあったのかな……」


心配になったミトはアリスに電話をかける。

が、


「でねぇ」


繋がらなかった。

こうなったら直接探しに行くしかない。

そう思ったミトは受験勉強を中断して、

家の近くのコンビニへと向かった。


「あれ?」


コンビニにアリスの姿はなかった。

あたりを見渡すがアリスの姿はない。


妙な胸騒ぎがした。


そして、ふと暗闇へと続く路地裏がミトの目に止まった。

別に理由があった訳ではない。

ただ暗闇に吸い込まれていくようにミトはふらりと路地裏へと足を運んだ。


胸騒ぎがだんだん大きくなっていく。

なんだろう。

心がざわついている。


路地裏の奥へ奥へと進んでいく。

だんだん大きくなる胸騒ぎ。

耳鳴りがする。

何かがおかしい。


そう思った矢先であった。


ミトの足元に何かヌルッとした液体がまとわりついた。

それに足を滑らせ転倒する。


「なんだよ! これ!」


ミトは足元にまとわりついた液体を

確かめるべく地面をみた。


そこには、

紅い、朱い、赤いものが地面一面に広がっていた。


「ヒッ」


そしてそれを流すモノ。


それは


倒れたアリスであった。


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