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二里目

時刻は深夜。夜哭鳥(よなきどり)がなく声が遠くから流れてくる。


さて旅に出ると決めたはいいが荷物とかどうしようか。屋敷には戻れず店もこんな時間じゃ開いていない。とりあえず今の持ち物は……

・布の服

・白衣

・革の靴

・お守り

・奴隷用首輪


うーん。着のみ着のまま来ちゃったからなぁ。服と首輪しかないよ。

え?なんで首輪なんか持ってるかって?何時何処で素晴らしいサキュバスに会えるかわからないんだから、どんな時でも肌身離さず持っておくのが常識でしょ?


ガヤガヤガヤガヤ

人の騒ぐ声が近づいてくる。

どの道迷っている時間は無さそうだ。夜が明けたらよけいにこの街から出にくくなりそうだしな。


ま、何とかなるだろう。天才だし。



~~~~~~~~~~~~~~~~~



天才的なんやかんやで警備をだまくらかして王都の外に。とりあえず近くにある森で夜を明かすことにするか。


近くっていっても歩けばそこそこ時間かかるしその間に魔法の試運転がてら試しておくとしよう。


俺が開発したのは淫魔族の固有魔法である《ドレイン》だ。《ドレイン》とはその名の通り対象の経験値を奪う固有魔法である。

だが、この天才が開発した魔法がその程度で終わるはずがない。


《ドレイン》の本質は経験値を奪う魔法ではない。経験値を移動させる魔法だ。


そこらの淫魔ではせいぜい行為に及びながら経験値を奪う程度しか出来ないだろう。しかし体に古代魔法文字を刻んで極限まで《ドレイン》への適性を上げた俺ならそれ以上のことが出来る。

例えば……。


「ふんっ」

足下に落ちていた小石を摘んで指先に力を入れる。指にくい込んで痛い。


だが、体に散らばった経験値を指先に集めてやれば……。


「ふんぬっ」

バギっと音を立てて小石が砕けた。破片が目に入って痛い。


「ぬおおおお」

思わぬアクシデントがあったが概ね成功だ。

本当はこういう実験とかして魔法の性能を確かめてから旅に出る予定だったんだけどな。


まぁいい。今のは本命の前の準備運動みたいなもんだ。今からやるのはとんでもない魔法だ。もしこれが成功したら世界のパワーバランスを崩すかもしれないレベル。


その前にちょっとおさらい。

普通の魔法と固有魔法の違いは魔法陣が出るか出ないかということだ。

普通の魔法は魔力や触媒を使って魔法陣を描いてから魔力を流して発動する。こちらは誰でも使えるが時間がかかる。

固有魔法は魔法陣を必要としない代わりにトリガーと呼ばれる特定の行動をキーとして発動する。淫魔族なら相手を絶頂させることで《ドレイン》発動、ドラゴン属なら特定のモーションをとりながら息を吐くことで《ドラゴンブレス》発動のように。


こちらは使えるかどうかが魔力属性、体内魔力回路に左右される。

これらは生まれつき決まっている。基本的には生涯変わることは無い。

だが俺は体に古代魔法文字を刻むことで無理矢理魔力属性を偏らせ、体内魔力回路を捻じ曲げることに成功した。めちゃくちゃ痛かったけど。


これによって俺は理論上最も《ドレイン》の発動に適した体になったというわけだ。


これはそんな《ドレイン》の申し子にして天才である俺だからこそ出来る秘術!テンション上がってきたぁー!


よーしやるぞ!《ドレイン》の申し子インクさんの固有魔法にはもはやトリガーなど必要ない。ただ発動させるという意思さえあれば発動できる。


「ドレイn「キャーーーーーー!!!」」


甲高い悲鳴が夜の街道に響き渡った。


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