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一里目

「クックック」

思わず笑い声が漏れてしまった。


「フッフッフッ」

床に描かれた魔法陣から漏れる魔力光だけが照らす薄暗い研究室。そこに私の声が響く。


「ファーハッハッハー!」

もはやこの笑いは止められない。止めるつもりもない。しばらくはこの喜びに浸っていたい。なにせ……


「20年だ。この魔法の開発を志して20年。この天才の力を持ってしても20年かかった魔法がついに」


ガッシャーン!

突然研究室の扉が勢いよく開いた。同時に武装した人間――騎士たちがなだれ込んでくる。

先頭にいたリーダーらしき人が声をあげた

「問う!貴様がレディブル・インクか! 」

「……まったく。間が悪い人達だ。もう少し空気を読もうとか考えないものかね?」

「聞かれたことに答えろ!貴様がレディブル・インクかと問いている!」


その言葉に私は大げさに肩を竦めた。

「残念ながら人違いだ」

「ではレディブル・インクの所有する屋敷の研究室に篭って怪しげな研究をする貴様は何者だ!」

「私か?私は稀代の天才インクさんだ。覚えておきたまえ」


キメ顔でそう言ってやるとリーダーっぽい男は額に青筋を浮かべながら口を開いた。

「……貴様には大逆罪の疑いがかけられている。牢屋まで連行させてもらうぞ、稀代の罪人インクさんよ」

「大逆罪だと?うーん?私には心当たりがないぞ?やはり人違いではないか?」

「とぼけても無駄だ。貴様が姫様の寝室に侵入して古文書を数点盗んでいったのは既に調べがついている。おいお前達、コイツを拘束しろ」


部下と思わしき人達が身構える。

「わわわわわっ!ちょっと待て待て!話しをしよう、な?あれは盗んだわけじゃないぞ?借りに行ったらたまたま姫様が寝ていたもんでな、仕方ないから黙って持ってくることになったけどこれは不幸なすれ違いなの!マジマジ!」

「おい、稀代の天才とやら。化けの皮が剥がれているぞ」

やっべ。せっかく『マッドサイエンティストな自分』に酔ってたのに。

「……理解できたか?凡人どもよ」

「今更やっても滑稽なだけだ。かかれ」


俺を逃がさないようにだろう。入口に展開していた部下達が俺を取り囲んだ。


「くっそ。天才は国の宝だぞ!それに手を出そうとする奴はみんな不敬罪だ!くらえって……あれ?」

こちらも応戦しようと魔法陣を出そうとしたが出ない。この感覚は……。


「無駄だ。貴様のことは調べがついていると言っただろう。22年前、僅か8歳にしてドラゴンスレイヤーの称号をえた本物の天才。6属性の魔法を自在に操る黒髪の魔法使い。」


「……魔法封じの結界か。それもこの屋敷を覆うくらいの。」

「その通りだ。諦めてお縄につけ。ひ弱な魔法使い」


騎士たちが襲いかかってくる。ひ弱な魔法使いは魔法を封じられてしまえば屈強な騎士たちには手も足も出ない。俺は目前に迫る騎士の腕を見ながらため息を吐いた。




「え?」

その声は誰が漏らしたか。もしかしたら全員だったかもしれない。俺以外の、全員。


「残念ながら俺はひ弱な魔法使いじゃないんだよな」

俺は自分よりも1回り大きな騎士を組み伏せながら言った。

「覚えの悪い君たちにもう一度言ってやる」

ドヤ顔で。

「俺は稀代の天才インクさんだ。覚えときな」




~~~~~~~~~~~~



「あっちに行ったぞ!!応援を頼む!何としてでも捕らえるんだ!」

出来るだけ大声で叫んでから近くにあった壺の中に隠れた。狙い通り俺の隠れている壺の前をガシャガシャと足音が通り過ぎ、やがて静かになった。


「ふぅー何とか撒けたか。」

壺から這い出して伸びをした。


それにしても困ったことになった。せっかく魔法の開発が終わったっていうのにお尋ね者になるとは。

なんとか逃げ出せたけどもう屋敷には戻れそうにないし。いや、大逆罪なんて大層なモンつけられちゃったしもしかしたら指名手配されてるかもしれないな。そうするともうこの王都にいるのもまずいか。


まぁなってしまったことは仕方ない。いろいろと順番すっとかばす事になるけど、旅に出ることにするか!


俺が20年もの月日をかけて、ある魔法を開発した理由。


サキュバスの性奴隷(ヨメ)探しの旅に!

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