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レイニィウスの泪 資料①歴史

 始めに宇宙の原初の神、創世神が気まぐれに名も無き惑星を誕生させた。宇宙の原初の神はその惑星に一つの卵を落とし竜が生まれる。

 創世神はその竜に名をつけて惑星を託した。竜の名はレイニィウス。

 レイニィウスは純粋で穢れ無き存在であった。その為宇宙の創世神は数多有る惑星の記憶を贈った。善悪を知らす為だ。

 レイニィウスはその記憶を元に人型の生命体を作る。作られたのは三人で不老の者だ。


 五〇〇年後、その三人はそれまでレイニィウスと共に世界の構築に尽力していたが、やがてレイニィウスも手を掛けるのをやめ進化を見守ることにしたので、三人もそれを見習って神官となり世界のバランスを保つ役割を担うことにした。

 惑星にはまだ空に浮かぶ小さな大地しかなかったが、悠久の時を経ていくつもの大地が繋がって大陸となっていくだろう。レイニィウスはしばらく眺めていたが、ゆっくりと良い方向へと進化していく生命たちを見て安心して眠りについた。


 それから三〇〇年余り後、大地もいくつか増えて大きな大陸になった。

 大陸に住む人型の生命体はいくつもの種族ができており始めは共存していたが、次第に種族に適した住む場所や互いの種族の価値観や思想に違いができはじめ、種族ごとに分かれて生活を営むようになる。

 それは疎遠になった種族間に争いを生むこととなり、肥大化していくやがてとても大きな戦争となった。

 三人の神官は良いほうへ導こうと尽力するも、もはや意思を持ち負の感情に支配された者達には届かない。


 一〇〇年近く続いた戦争に深い眠りについていたレイニィウスは目を覚ます。その目が写したのは広がる荒れた大地に枯れた森。

 生命たちに根付いた負の感情は取り除くことはできなかった。強大な負の感情はやがてレイニィウスへと押し寄せ、数多有る惑星の記憶は受け継ぐも心はまっさらなままだったレイニィウスは耐え切れず倒れてしまう。

 惑星を覆っていた水に倒れたレイニィウスの影響で浮遊していた大陸が力をなくし同じく水に沈みこむ。

 レイニィウスの上へと落ちた大陸を被り、レイニィウスは目覚めることはなくなった。

 僅かに残った大地に残された運の良い生命たちは過ちを知り争いは終わる。だが代償はとてつもなく大きいものだった。

 生き残った生命たちの中で争いを疎み善の心を持ち続けた生命たちは三人の神官と共に、横たわったレイニィウスの大陸へと渡る。そしてレイニィウスを思い偲んだ。

 すると、レイニィウスの目があるとされる場所に大きな湖ができた。それはレイニィウスの泪だった。

 その泪の中心部から一滴の泪が宙へ浮かび上がり、乙女になった。

 乙女はレイニィウスの御使いとなり虹色に輝くオーロラをレイニィウスの体に掛けた。その後瞬く間に大陸に大森林ができ、生命たちもまた増えていく。

 大陸全体は緑で溢れると、三人の神官に付いてきた生命たちの中で人型の者達はつま先にあたる位置にある高い山に一つの神殿を建てる。

 その神殿に三人の神官は入り、レイニィウスと共に永久に争いを禁じることを誓う。付いてきた生命たちもそれに習い守ることを選ぶ。

 そこまで見届けた乙女は光となり空に拡散して青い月ができた。

 その後レイニィウスの大陸は渡ってきた人型の生命たちによってシシエランカ(りゅうのなきがら)と呼ばれることとなる。倒れてから一〇〇〇年経ったことだった。


 それから更に二〇〇〇年経ち、いつしか紫色の濃い霧のようなものが僅かに残った大陸から噴出し始める。それに浸った生命は正気を無くし見境なく他の生命を襲い出す。その為その霧は障気と名づけられた。

 障気は浮遊大陸と共に落ちて助からなかった大多数の生命達の負の感情、闇の心が具現化したものだった。

 やがて障気はシシエランカにも現れ、侵された生命たちが出始める。

 障気に侵された生命は体に施されている限界突破して体が壊れないようにされていたリミッターまでも解除してしまい、障気から元に戻る術もないために倒すしか助ける方法がなかった。いつしか障気に侵された生命は障魔と呼ばれ討伐が当たり前となる。

 三人の神官も手を尽くしたが、生きたまま障気は取り除くことは出来なかった。そこで、乙女に縋ることにした。

 神殿の祭壇で祈りを捧げると、祈りが通じて乙女が現れた。

 しかし、もはや障気は乙女でもどうすることもできないほど強いものとなっており、乙女も倒れてしまう。


 だが、三人の神官は諦めなかった。乙女の遺体を贄として新たな乙女を呼んだのだ。

 それから数十年、障気は未だなくならず。三人の神官は乙女が救ってくれることを変わらず信じていた。彼らはあまりにも純粋過ぎた。それが最大の罪なのだとわかるのはまだまだ先のことだった。

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