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村近くにて ~若きを求める性~

生きているのか死んでいるのかもわからない。不気味なのだが、放置すれば怨にならないとも限らない。だから、片付けてくれ。


曖昧な依頼だった。通りすがりの農村での依頼だ、金に期待はできない。

それでも引き受けたのは、ここしばらく、血を見ることもできない禁欲的な生活をしていたからだった。

大戦が終わり、地を覆い尽くすように屍の溢れた合戦跡も、怨嗟の声が絶えない村もない。

闘争こそが世人の業だ。業がなくては、この世に在る意味がない。

何より、業がなくては、自分が、死を求められないではないか。




唐突に、降って湧いたように、道に若い女が倒れていた。

依頼を受けた農村から聞いた通りの距離。間違いないだろう。

女のすぐ横に膝をついて検分したところ、その在り様は死んでいるとしか考えられなかった。

額の中央に懐刀が深々と刺さっている。血はあまり出ていなかった。

他に、左腕が折れているらしく、奇妙な方向を向いている。どうやって折れたのやら、皮膚に外傷は見られず、骨だけが折れているように思える。それ以外に折れた箇所はない。

不可思議なことがふたつ。

ひとつは懐刀。頭骨をものともせずに刺さっているのだ。いかに強い力の者でも、こうはいかない。

ひとつは肌。触れると冷たいというのに、どうして生きているかのように赤みを帯びて、張りがあるのだろうか。

在り様こそ死んでいるが、その状態こそ生きている。成る程、これはわからない。

とりあえず懐刀を抜いてみるか。怨が込められていれば、何かわかるだろう。

粗末な拵えの柄を握り、力を入れる。


『痛いね、止めておくれ』


 老婆の声……。


「この体の持ち主か?」

『ああ、そうさ。綺麗な体だろう?若さと美しさ……皆が羨む』


体こそ若いが、中身はなかなか枯れているらしい。話し方も、考え方も。

一応相手は年輩だ。話を合わせてやろう。


「珍しいな。どうやってそれを手に入れた?」

『おや……少しはわかるのかい?

私は妖に「動」の力を譲ったのさ。だからここから動けない。死ぬこともない』

「腕が折れているのと、額の刀は何だ?」

『妖が「動」の力を吸うためにやったのさ。刀で力を集めて、腕を折った場所から吸い出してたよ。

吸われていくとどんどん若くなってってねぇ。紫の、変な色の瞳をした猫だったけど、悪い奴じゃなかったよ』

「そうか。邪魔をしたな」


若い体をした老婆に背を向けると、陶酔に浸り切った笑い声が追ってきた。




妖があの女を生かしていたのか。だが、報告するまでもないだろう。

「動」の力は時の有様に順応する力だ。これがあればこそ人は年を取り、命を生み、死んでいく。それを失くしてしまった者は、死者と同じだ。その時こそ良かれと思えど、後に悔やむことになる。

そんな、すぐに尽きてしまうような力を欲する妖は、神がそばを通るだけで、神の発している気に、やられてしまうのだ。

妖が死ねば、あの女も終わる。額に懐刀が刺さっているのだ、そこに妖から舞い戻った、僅かばかりの「動」の力が宿れば、結局死んでしまう。

他者の死に引き摺られるような、一蓮托生の若さなどくだらない。

あの女は、この世の業に生きるでもなく、己の欲のために死ぬのだ。

三月も保てばいいほうだろう。悪ければ今日明日だ。




どうでしたか、と怯えながら訊く村人に、特別な経を施したので、遅くとも三月で成仏すると伝え、報酬を受け取った。

懐にしまい込みながら寺を出ると、その近くで子供がやけに騒いでいる。

子供などうっとおしいだけだが、騒ぎの中心に妙なものを感じて近寄った。

自分が来るのを見て、子供はどこかへ散っていった。囲い込まれて、棒で散々に叩かれていたのは、淡い紫の瞳をした猫だった。

息も絶え絶えに横たわっているそいつを、迷わず踏みつける。

鈍い音がして、首が折れた。

ねむねむ……奈々月です。

ここのところ、PCのあまりの重さに辟易しております。

思い返せば、確か7年ほど前に購入したノートPC……もうけっこう厳しいのかな……と思いつつ、愛着あるし(買い直す資金もないし)、手放せませんね~。

しっかし、ネットなら完全にiphoneのほうが早いんだよなぁ……悩みどころです。


完全に話に関係ない内容ですが……それでは、おやすみなさいませ……。

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