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希望

誰かが”希望”と言った

私の中で希望が死んだ



ランドセルを背負うこどもたちに

大人たちは

いたずらに

「希望」

と言葉を贈っている


無知で幼いこどもたちのうち

いったいなん人

理解したろうか


希望 の色も

希望 の形も

希望 のにおいも

希望 の感触も

希望 の味も


まだかれらは何も知らない


森へ探しに行こうとしたって

もうここにあるのですよと言われて

大人たちが丹念に作った”希望”を

その小さな手が受け取る


言葉は大人の口から生まれて

ちいさな耳に届くまでに

かぴかぴに乾燥して

太陽にやかれて色が変わってるんだ

そんな

劣化した言葉が

ちいさな耳を侵してるんだ


”希望”を歌わせる音楽教師も

”希望”を謳わせる担任も

みんな無責任に

”希望”の熟語に押し付けて


「”希望”とは(ピーッ)色で(ピーッ)の形です」

なんて言って

「”希望”がないと

きみたちはしんでしまうのですよ!」

なんて言って


ほら

ちいさな頭は考えるのをやめてしまう


安っぽいラッピングと

重油で書かれたメッセージカードを添えて

”希望”をおしつけられたこどもたちは

きっと次のこどもたちにそれを渡すだろう


ある日


それが本当の希望じゃないとわかった子が

壁に思いっきりぶんなげる

鼻たらして泣きながら

”希望”を思いっきり叩きつける


それを見ていた、歳喰ったこどもたちが

腐った”希望”を抱えながら

その子を見て

”なんて可哀そう”

と言うのだろう



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