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ピクチャー・オブ・ゴースト

兵隊の写真だった

うしろに灰色の四角い窓がたくさんならんで

かれらの行進を監視していた

かれらの目はすべて違うものをうつしていた


妻や 子や 空や 金や

街や 花や 銃や 墓や 


それでも足はみな、同じ方角へ


「やあ、これは亡霊だね。時代の亡霊だ」

知らんおやじがそう言った

わたしはその横っ面をなぐってやりたかった


亡霊なものか

かれらは死んだんじゃない

生きていたのだ

生の記録だ

ふざけるなよ


そのおやじが妙に感慨深い声をだしたときなど

わたしは気が狂いそうだった


かれらは

おまえらに何かを残そうとしていたわけじゃないんだ

そのときかれらはただ生きていたんだ

ふざけるなよ

戦争と時代を映した暗い影に酔うことが

かれらへの侮辱としれ


かれらは生きていた

わたしと同じく怒ったし

おやじと同じく悲しんだ


それを一つ段をのぼったところから見たように

絹の白いハンケチで目元をぬぐったりして

まばらな拍手を送ったりして

どいつもこいつも


体の飢えたぶたども

彼らに敬礼せよ


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