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でんぱ/赦されない

/    でんぱ

ぱぱぱぱ

でんぱ、ぱぱぱ

あなたにとどいてほしい

べつにあなたじゃなくてもいいけど


ぱぱぱ

でんぱ、ぱぱ

だれかを妨害したいの

それはあなたでもいい


ぱぱ

でんぱ、ぱ

いつでも手をあげてるから

ビルの谷間 蟻の群れの中からみつけてよ


でんぱ

かまってちゃんとか、そんなんじゃない

わたし命削って立ってるから


ぱぱ

わたしよ




/      赦されない


腹を撫でていた

まだ湿っててちいさいもみじの掌が


きみはよく腹をみせていた

水色のホース 壊れた蛇口の下がお気に入りだった


毎年帰ると きみはわたしを覚えてよく尾を振った

三角の耳も

ごわついた毛並も

すこし獣くさい足も

いつもとおなじだった


のに



わたしははりぼての青春を過ごした



なつかしい森を抜けて

数年ぶりにきみに会いに行った

しかし

きみはわたしを忘れたように

腹を撫でてもうれしそうにしなかった


焦った

もう掌はヒトデよりもはるかに大きくて

それがいけなかったのか

そのときはわからなくて



束の間の悦びと後悔の日々



やがてきみは土に還った

電話越しにきみの死を知って

わたしはぼんやりときみとの散歩をおもいだした


わたしはきみがすきだったということ

おもいだした


わすれたわたしを赦さない

つめたくてあたたかいきみ

森の陰を見つめるあの静かな瞳

たくましく聡明な横顔

きみはしぬまでわたしを忘れていただろう




きみの墓石

わたしの掌 影おとしても

腹はみえない


君は静かに

森を見ている

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