木と小鳥
空を飛んでいると
ひょろひょろの木がありました
荒野の中で
貧困かもしくは苦渋みたいに立っていました
それがあまりに可哀そうだったので
ぽきりと折れてしまいそうな腕にとまりました
そうして異国の歌でもさえずってやろうとおもいました
「やあ、ことりさん」
木はにっこり笑いました
あまりにみずみずしい声だったので
歌うことを忘れてしまいました
木は意外とおしゃべりなやつでした
すこし話すと、なにかかんがえるように遠くの空を見つめ
また突風みたいに話すのでした
「昔はぼくにも赤い実がついてた」
今ははっぱさえみあたらないのに、かなり自慢げにいいました
木はわたしを泊めてくれました
8回の夜を木のうろですごしました
その中には動物の骨がありました
とてもびっくりしましたが、そのまま彼らと眠りました
疲労がからまった翼のまま、ふたたび飛び立つことが億劫でした
9回めの朝
「彼らはぼくのともだちだったんだ。せまいかもしれないけれど、仲良くしてあげてくれ」
木はそう言いました
おかしなやつです
西の空は、夜が染みたみたいに黒くなりました
数本抜けた羽をなまぬるい風に流しながら、それを見つめました
足がすくみます
「嵐がくるね」
木がのんびりと言いました
わたしはようやく打ち明けることにしました
「実は、嵐はわたしを追っているのです。ずっとわたしを食いたがっているのです」
きみの体をめちゃくちゃにしたくはないので、わたしは北にいくと告げました
「なに、ここにいたらいいじゃないか。ぼくがきみをまもってあげるよ」
どうみても、このひょろひょろの木は獰猛な風にたえきれそうもありません
「安心してくれ。ぼくの隣人はいつだって、ぼくがまもってきたんだ」
わたしは木に甘えました
いっしょに食われるのもわるくないとおもいました
うろの中で嵐を待ちます
雨の音がします
嵐のしもべ、いちばんやりの風が近くまで寄ってきています
動物たちのぬけがらは、すこしもふるえません
木は自分の話ばかりして、いつもとあまり変わりませんでした
やがて声が子守唄のように
とおくとおくに
きこえはじめ、
けづくろいをやめました
木はわたしの相槌がなくなったことにきづくでしょうか
かつて抱いていた
卵のからの夢を
みたいとおもいました
そうして
ふかくふかく ねむりました
童話風。




