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たとえ転生先が鬱ゲーな上に主人公の幼なじみだとしてもTS少女は曇らせがしたい  作者: ヒナまつり


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1/10

病弱アルビノ美少女は鬱ゲーじゃ生きていけなくない?


 きっと、人は苦しんで苦しんで死んでしまおうかと思いながらも小さな光に足掻く姿が一番美しい。


 俺はずっとそう思っている。だからこそ、曇らせは大好きだし最後にはしっかりと晴れて欲しい。


 けれど、俺の人生はそんなことはなかった。ただ生まれてからずっと病に冒され動くことも太陽を見ることも叶わなかった。


 だから、ずっとずっと願っていた。太陽の元へ翔ることを、人を曇らせて晴れていく道中を眺めることを。


 そして、やがて俺の意識が海に落ちた瞬間…俺は生まれ変わった。


 TSして、病弱アルビノ美少女へっ…!


 ─ふざけるなぁっー!なんで病弱引き継ぎしてんねん!クソッタレの神やろうがっ!


 …ゴホン、まぁ…まぁね?それはまだ良しとしよう。でもさぁ?なんで登場人物ほぼ死ぬ鬱ゲーの世界で主人公の幼なじみなのかなぁ?!


 死にやすい要素×死にやすい要素は死ぬ以外になるわけないよねぇ!?


 バカなんだね!神と書いて愚者って読んだ方がいいんじゃないかなぁ!?


 嫌だぁ、俺は曇らせをするんだっ!そして、色んな壁を乗り越えて晴れやかに笑う姿を眺めて誰にも見られずに良かったっていいながら死ぬんだぁー!


 だから、それまで死ぬわけにはいかん!俺はその為になら強くなってやるっ!


 だから、俺はこの世界で唯一病弱で良いことを育てることにした。


 それは、死に近い人間だからこそ扱える霊力の力とまだ生きてはいるから扱える生気を織り交ぜること。


 何故こんなことをするかって?…この世界にはね、エセリアルっていう前世で言う幽霊や妖が実体を持っているからだ。


 例えば、トイレの花子さん…それは、この世界だと何処のトイレでも名前を呼べば現れて気に入られているなら手助けを、嫌われているならトイレに引きずり込まれて殺されるか呪われる。


 ちなみに気に入られ過ぎると取り込まれて一生一緒されるよぉ…最高だねぇ。


 まぁ、つまりはこの世界には上位存在があちこちに居て、人の噂によって勝手に増えていくということです。そして、ソイツらは人を簡単に殺すし呪うし愛す。


 自分勝手にね?だから、霊力…つまりはエセリアルと同格の力で撃退しようとしているのです。そして、生気は霊力を活性化させるので混ぜ合わせて使うと…!


 一時的に上位存在よりも強くなれるっ!そして、生気を失った分死にそうになる…!よしっ、つまりは曇らせの手段でもあるということだ!


 だから俺は必死に頑張りました!原作の最強キャラさんが言ってた生と死の境界線を曖昧にするために死にかけるのも(単純に体が弱すぎて死にかけてるだけ)、主人公ちゃんと仲良くなるのもっ!


 そして、葬儀屋と呼ばれるエセリアル討伐を生業にしている人を育てる学校に入って主人公ちゃんとチームを組んだのだ…!


 うへへ、うへへっ!後は良い感じに仲良くしながら曇らせをするだけだぁ!夢はそろそろ叶うんだぁ!


 「もう!ハル?依頼の最中なんだから、集中して?油断してると足元掬われるって先生だって言ってたからね?」


 わっ!ビックリしたぁ!欲望に飲まれていたせいで主人公ちゃんに近づかれてるのに気がつかなかったわ…!危ない危ない、ちゃんとハルを演じないとね!


 「大丈夫、大丈夫!ボクは油断なんてしてないし?今日は体の調子良さそうだしねぇ~?ま、そう言うユウだって油断しちゃ駄目だよ?ほら、リラックスリラックスー?」


 そう、俺が演じているのは僕っ娘の病弱だけど元気で無邪気な女の子(痛みを隠している)です!ちなみに服装は俺が女装しているみたいで嫌なので男装ですっ!しょうがないよね、男として生きた時間の方が圧倒的に長いもん。


 ま、つまりは異変に気が付いた時には手遅れになってるタイプですねこれは…!


 「むぅ、もうハルなんて知らなーい!ユウは油断なんてしないもん!先に行くからね!」


 おぉ!相変わらず初期主人公ちゃんはふわふわしてますねぇ?これが恩師の死でミステリアスクール系になるらしいですよ?まだまだ先だけど早く見たいなぁ!


 「あ、ユウごめんって~!待って~!」


 さ、原作にはないこのシーンはどうなるのかな~!まぁ、まだまだエセリアルも弱いだろうし平和回だろうけどぉ!


───


 薄暗い廃病院、そこには臓器移植を断られ死んでしまった人の幽霊が居て、近づいた人の臓器を奪うために夜な夜な徘徊しているとの噂があったらしい。


 そして、私はそこに行って写真を撮ってこい、でないと写真をばらまくと脅され嫌々来たのだ。


 まぁ、でも所詮怪談噺が好きな人たちの他愛ない噂話なのだと油断していた。


 なのに、なのに…ソイツは本当にいたんだ。どろどろと粘液のような何かを纏って、ただ臓器を得るために徘徊していたんだ。


 そして、私はソイツと目があった…あってしまった。


 その瞬間、私は逃げるために無我夢中で走り出した。だって、まだ死にたくなかった、まだ生きていたかったから。


 けれど、どれだけ必死に走ってもソイツは私の後を追ってくる。まるで嘲るように笑いながら…。


 きっと、ソイツは遊んでいるんだろう…逃げ惑う私で。そう気がついた時、私はもう走る気を失って倒れた。


 でも、生きたいって想いは消えなくてただただ無様に叫んだ。


 「嫌ぁ…っ!来ないで、来ないでっ!死にたくない、死にたくないっ…誰か、助けてよぉっ!」


 ─それは、きっと初めての心からの言葉で…自分に素直になれた瞬間だった。


 けれど、ソイツにはそんなこと関係無くてただただ楽しそうに大きなナイフを振り上げた。


 月の光を反射してキラリと光るそれは、私を引き裂こうと振り下ろされそうになり…私は諦めて目を閉じた。


 でも、何時になっても痛みは感じれず…恐れながらもゆっくりと私は目を開いた。


 そこに居たのは、今まで見ていたおぞましい化け物なんかじゃなくて…ただただ月のように輝く美しい妖精のような少女だった。


 「お姉さん、もう大丈夫ですよ?もう、怖いのは居なくなりました!お姉さんが頑張ったお陰ですっ!ほら、よしよししてあげます~」


 柔らかな熱が私を包んで、ただ落ち着かせるために小さな身体で優しく抱き締めてくれた。


 それは、きっと今まで味わったことのない…愛情というもので恐怖に包まれていた私はゆっくりとその日溜まりの中で目を閉じた。


 ─この暖かさが永遠に私の側にあればいいのにと、願いながら…。


───


 葬儀屋の医療施設のカフェエリアで彼女は妖精のような少女をポカポカと、体調を気遣って優しくでも怒ってることは伝えるように桜の少女はハルの体を叩きながら心配を伝えたの。


 「もう、なんで一人で行っちゃうの?危ないよぅ!それに、霊力は多くてもハルは体ヨワヨワなんだよ?自覚してるの?本当にもうっ!」


 ずっとずっとハルはいっつも一人で危ないことをするからね?だって元々、病弱で運動なんてまともに出来ない癖に誰かが助けを求めたら無理矢理にでも駆け寄るし、生気を霊力に変えて死にかけたりするし!


 本当に、いい加減できっと私が居なかったら何回か危険なことになってるのにぃ!

 

 それに、ハルはユウが見えない時ゴホッゴホッってしてるんだって!ちゃんと辛い時は教えてって言ったのにだよ?だからもうユウはプンプンです!


 「ごめんって~!ボクだってそんなことは知ってるよ?でも助けを求める声がしたんだもん!それに、この人だって助かったしさ、許してよーユウ~?」


 でもハルは申し訳なさそうにしながらも、相も変わらずヘラヘラとユウの忠告を聞き流してユウの頭を撫で気を済ませようとするんだ。


 でもね、ユウはそれでも心配だからちゃんとこの想いが伝わるようにハルの服を掴んで我が儘を言うの。


 「むぅ、確かにこの人は助かったよ?でも、ハルが傷付くのは嫌なの~!せめて、ユウを待ってよぉ!倒れちゃったらどうするの~!」


 「大丈夫だってー!ユウは心配しすぎ!ボクはこれでも強いんだからね!ほら、そろそろ病室行くよっと」


 「わっ、ハル待ってよぉ~!置いてかないで~!」


 そう叫ぶユウを見てからハルはユウが追いつけるように速度を落として歩いていくんだ。


 そして、ユウが隣に来たら手を繋いでくれて楽しそうに歩きだすの。


 だから、もう文句なんて言えなくなっちゃってユウはハルの横顔を見るんだ。


 ちゃんと、まだユウの側にハルが居てくれることを確認するためにね?


___


 けれど、そんな優しい元気なハルの魂は激しく渦巻いていた。光り輝くわけではなく、闇のように。


 (…あ~^可愛い~!そうだよね、心配だよね~!分かる分かる~!そうやって振る舞ってきたからねー?)


 (あぁ、いつか俺が傷付いて帰ってきたらどんな顔するんだろぉ~楽しみだなぁー?泣くのかな、自分を責めるのかなぁ…フフッ、幸せだぁ!)


 けれど自慢の友人がこんな変態なことをユウは知らない。


 いや、知らない方がいいだろう…そう思ってユウの周りを泳ぐ遊魚はユウの体へ戻っていく。


 そのせいでユウが傷付くことになったとしても彼女には関係無いのだから…。


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