旅の始め12.5
「もう由炎ちゃん遅刻しちゃうよ」
「後、5分…………と3時間」
「もう、しょうがないな」
「えい!」
「ひぃーい、冷たい!!」
「氷なんて卑怯な!」
「ふふふ、早く起きないからだよ」
「おぼさんも、もう待ってるから早く降りて朝ごはん食べるよ」
「氷華ちゃん毎日うちのがごめんなさいね」
「いえ、こっちこそ出張中の母の代わりに毎日朝ごはんいただいちゃって」
「いいの、いいの一人二人増えようが変わんないって」
「アンタが言うな!」
おばさんが手元にあった新聞紙を丸めて由炎ちゃんを叩く
「いてぇ!」
「「じゃあ、いってきます」」
「はい、気を付けてね」
そこで私は目が覚めた
また、あっちの世界の夢か。
由炎ちゃんに会いたい。
またおばさんの味噌汁が飲みたい
どうして私だけこんなところにいるの!
寂しいよ。
「氷華来て下さ~い」
リリアナさんが呼んでる
リリアナさんは唯一この世界で私に優しくしてくれる人?だ
リリアナさんはエルフだ
リリアナさん以外のエルフはあまり好きではない、というよりあちらが避けてくる
私より年下の金髪の男の子だ
まだ幼さが残るけどかっこいい
将来すごいイケメンになりそう
「初めまして冬月氷華です」
いけない初挑戦の煮物、火を止めるの忘れてて焦げちゃった
エレン君に焦げたの見せるの恥ずかしいな
「俺には貴方が必要です!!!」
「えええぇ~~~!!」
ど、どうしようエレン君ってまだ中学生ぐらいだよね
中学生なんて犯罪だよ!
あ、でもこの世界だとどうなんだろう?
それにしてもエレン君ずるいよ
今まで『私』だったのに俺には貴方が必要ですなんてその『俺』は反則だよ!
この子たちがエレン君の仲間かぁ
アリスさんスタイルも良くて美人ね、それに黒髪でちょっと懐かしい感じ
アリアちゃんは赤い目がとっても綺麗、赤髪ってこの世界にはいるのね
「……初めてみた、おねぇちゃんよりもおっぱい大きい」
そっち!
でも私も最初にリリアナさんを見た時驚いたっけ
人ってあんなに育つのか
それに比べて私なんて…
む、エレン君見比べてるな
「エレン様どうかしましたか?」
釘を刺しておこう
「いえ、氷華さん何でもないですよ」
エレン君もやっぱり大きい方が、ぐぬぬ
「俺は転生者なんだ」
「うそぉ」
確かに醤油をすぐ受け入れてたし味噌汁の説明もしてないのに理解してた
もしかして転生者で日本人!?
「どうして転生者って打ち明けたんですか?」
「これから一緒に行動するし、多分ぼろがでて氷華にはばれたはずだ」
「どうせばれるなら最初から縛ってた方がいいだろ?」
確かに隠して警戒されるより先に言ってた方が楽だし信用できる
「それに氷華が一人ぼっちでこの世界に来たって聞いてちょっと考えた」
「俺はこの世界に来た時、赤ちゃんだったから何もしなくても食事が出て生きて行けた」
「でも俺が氷華だった場合、話し相手もおらず、いつ見捨てられるかわからず不安で」
「そして、凄く寂しいかったと思う」
「だから異世界人はお前だけじゃあないんだぞって教えたかった」
私は涙が止まらなかった
この世界で初めて私の気持ちを理解できる、人に会えたことに
この世界で初めて私の気持ちを共感できる、人に会えたことに
気が付いたら私はエレン君を抱きしめていた




