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三国志の関興に転生してしまった  作者: タツノスケ
第六部・哀惜師友編
232/271

[番外編]仮説の仮説

やっつけ仕事で書いた短編です。

実は引っかかる点がもう一つあるんだ。


蒲坂(ほはん)の戦いの際の落雷。あれは結局、誰が引き起こした災厄なのか?


荀彧はたまたま起こった自然現象で、馬岱率いる涼州軍に直撃して全滅させたのは偶然だと強調してたけど。

オレがふざけて【雷天大壮】と唱えた日時と蒲坂(ほはん)に落雷した日時が重なるのを、偶然の一致で片づけてよいものだろうか?


考えてみれば、オレの【雷天大壮】スキルが本来【落雷】とは無関係という荀彧の説明は、すこぶる怪しい。


オレをかばって?――いや、あり得ない。

女神様の仮説のように、オレの【雷天大壮】で発動した雷が曹沖を襲って殺したのなら、自責の念に苛まれるオレをかばってやる必要もあるだろう。

だが事実は雷が直撃し全滅させたのは敵の馬岱軍であり、オレは自分を褒めこそすれ、悔いたりするはずがないのだ。


「あ。そう言えば」


あの時。

【落雷】コマンドを使えるのが女神様と荀彧だけで、()()()()()()【落雷】コマンドが発動されたと勘違いしたから、オレは動機の点で荀彧を犯人から除外したんだけど、それが曹沖ではなく()()()()()()()ものだとすれば、(女神様のアリバイは成立しているから)犯人は消去法で荀彧…ってことになるんだよな。


動機は曹沖を殺した馬岱への仇討ち?

いや、それなら馬岱を自分のボディガードに雇わないはずだ。


もしやその直前。

涼州の長槍兵に囲まれ絶体絶命のピンチに陥った曹沖を救うために、荀彧が【落雷】コマンドを発動して馬岱軍を壊滅させたのだとすれば。


「おお!」


曹沖が生きていることを口止めするために、馬岱をそばに置いて監視しているのかも。




荀彧が言いかけた、「もしも曹沖殿下が……」との意味深なセリフ。


(もしも曹沖殿下が……()()()()()()、君はどうする?)


そう繋げてみたオレは、ゴクリと唾を呑み込んだ。


――まさかね。


それなら曹沖は隠れていないで、とっくに姿を現してるだろうし。

荀彧が犯人なら?って仮説から出発した、仮説の仮説だ。


災厄を引き起こした犯人はオレの可能性だってあるんだし、そもそも荀彧の言うように、自然現象の偶然かもしれないし。

いずれにしろ現在MPがゼロのオレに、あの時【落雷】コマンドが使えたかどうかを確かめるすべはないんだ。


これ以上深く追及するのはよそう。

安易に曹沖が生きている可能性を告げて、(しん)洛をぬか喜びさせるわけにもいかないし。



オレは歩みを速めた。

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