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週刊三題 二冊目  作者: 長岡壱月
Train-109.December 2021
44/257

(4) 片堕ちフレア

【お題】魔法、少女、ツンデレ

 “ヨドミ”──それは人の邪悪な意思が塊を成すことで生まれる、文字通りの歩く厄災。

古くより社会の陰に潜み、欲望のまま人々を襲うこの怪物らと、志ある者達は人知れず戦い

続けてきた。

 即ち、天からの御使いに見出され、これらを討つ為の力を与えられた戦士。

 色取り取りの輝く翼を広げ、舞うように邪悪を切り裂く姿は、まるで神話が謳う“天使”

のように……。


「はあッ!!」

 現代社会、科学文明が目覚ましい発展を続ける今日。

 そんな時代においても、人と“ヨドミ”の戦いは密かに続けられていた。その日も街の喧

騒の裏側で、一人の戦士が近辺に確認された個体に攻撃を仕掛けていた。

『ヴォ……オォォォッ……!!』

 名は体を表すとでも言おうか、汚泥のような肉片を常に撒き散らし、或いは自身の引力で

循環させながら“ヨドミ”は低い唸り声を上げていた。基本鈍重な肉体を、赤い輝きの剣閃

が幾度となく抉ってゆく。

 痛みか敵意か、何度かそういった切り結びが繰り返された後に、ズザザッとアスファルト

の地面に着地したのは──風変わりな衣装に身を包んだ一人の少女だった。

「……やっぱ、多少の掠り傷ではビクともしないわね。逃げられちゃ拙いし、ここは一気に

片付けるしか」

 左右を合わせた衣の上に、胸や四肢、頭飾りを含んだ部分鎧。一見する限りは何かのコス

プレ、金属ともプラスチックとも言えぬ素材で出来ているが、それ以上に背中から生えた一

対の翼が強く現実感リアリティを主張している。赤く激しく燃えている。

 握った得物は、同じく赤く煌めく幅広の両手剣。

 この“ヨドミ”との遭遇・交戦開始から暫し。周囲への被害が何時起こらないとも限らな

い状況にあって、彼女はここで一気に勝負をかける決断を下した。

「はあああああああッ!!」

 くわっと目を見開き、己の魔力を強く込める。背の翼と同じく、燃えるような赤を基調と

した衣装や両手剣が濃く輝き、その奔流は聖なる炎となって彼女自身をも包み始めた。相手

の闘志、突然の変化に、対する“ヨドミ”側も激しく反応する。『キシャァァァーッ!!』

ぐねぐねと蠢く汚泥、肉体の一部を無数の触手と化し、これを先んじて捕えようと一気に射

出してくる。

「──ふっ!」

 だがそれ以上に……彼女が強く地面を蹴ったのが早かった。ぐんと陽炎を残しながら、霞

むようなはやさで相手の懐へと踏み込んだ彼女は、そのまま掬い上げるように強烈な斬撃を一

閃。瞬く間に“ヨドミ”の身体を真っ二つに切断──燃やしてしまう。

『アッ!? ガアッ?!』

 切断面から、邪悪を討つ魔力の炎が全体に拡がる。

 汚泥の塊のようなこの“ヨドミ”は、そのまま断末魔の叫び声も短く、燃え尽きる炎と共

に塵一つ無く消え去ってゆく。

「……。ふう」

『よくやったよ、フレア! 流石は僕の選んだ“天装戦士ミニオン”だ!』

 路地裏に、ややあって再び静寂が戻ってきた。彼女は大きく深呼吸すると、それまで纏っ

ていた衣装を赤い光に包まれながら解除し、ごく普通の制服姿へと戻る。

 それとほぼ同時、掌サイズの白い天使型パペットのような生き物が、危険は去ったと言わ

んばかりに近くの物陰から飛び出して来た。緩い感じのデフォルメされた丸と逆三角形だけ

の顔、頭部に支えも何もなく浮かんでいる光輪──そもそもこんな姿形のマスコットが、自

立して空を飛び、尚且つ人語を操ること自体あり得ない。

「その呼び方は止めてよ。私にはちゃんと、光村緋奈って名前があるんだから」

 半分本気で、半分正直言うと慣れてしまって。

 変身を解いた少女・緋奈こと、天装戦士ミニオンフレアは、この小さな相棒にそうわざとらしく嘆

息をついてみせながら言った。乱れていた呼吸は既に整われ始め、討伐の余韻もそこそこに、

この現場ろじうらから退散しようとしている。

「全く……。あんたもあんたよ、ピュリフィー。放課後の自由時間ぐらい、あたしの好きに

させなさいよ」

『あはは、そう言われてもなあ……。ヨドミ達は、僕らの都合で出没してでてきてくれはしない

よ?』

 分かってるわよ。ふよふよと自身の傍らに浮かぶこのマスコット、御使い・ピュリフィー

を指先で摘まんで制服の胸ポケットに押し込み、周りから隠しながら緋奈は小さく呟いた。

自分でも愚痴だということは重々理解している。

(……はあ)

 今でこそすっかり慣れてしまったが、この妙ちくりんな縫い包み──自称・天界からの使

者と出会ってからというもの、自分の日常は一変してしまった。

 ピュリフィー曰く、生来の負けん気の強さと正義感がスカウトの理由だそうだが……正直

余計なお世話というか、面倒事に巻き込まれてしまったなあというか。それでも“ヨドミ”

の存在を知り、もしかしたら身近な人達に被害が及ぶかもしれないと思うと、今更辞める訳

にもいかなくて。実際これまでにも何度か、規模の大きな事件で他の天装戦士ミニオン達と共同戦線

を張った事もある。

(でも……。あたしが本当に、やりたいことは──)


 彼女・光村緋奈には、長い付き合いになる幼馴染がいる。

 名前は小日向累。同じ高校に通う、ちょっぴりぼ~っとした性格の少年だ。お互いの父親

が学生時代からの友人という事もあり、幼い頃から度々顔を合わせてきた仲──ある種の腐

れ縁のような関係を築いている。

「……ふあ」

 その日の朝も、彼はぼんやり寝惚け眼のまま制服姿で、学校への道を歩いていた。

 時折聞こえてくる小鳥のさえずりに交ざっても違和感がなく、穏やかで心優しい雰囲気。

そっと差し込む朝の光を浴びながら、あっちにふらふら、こっちにふらふらと、その同年代

でも比較的高い背丈を揺らしている。

「ちょっとあんた。ま~た夜遅くまで起きてたの? 髪もぼさぼさだし……。もうちょっと

身だしなみくらい整えたらどうなの?」

 そこへ、途中の道から合流してきた緋奈が、彼の背後から声を掛けてきて覗き込む。

 実際累は、大分眠そうな表情かおをしていた。それが今朝だけの話のか、普段からこういった

人相なのかは判り辛いが、少なくとも二人にとってはもう何十・何百回と繰り返されたやり

取りであるらしい。

「あ。おはよう~、緋菜……。うん、ボタモチが夜泣きしちゃってたから……」

「ボタ──ああ、この前拾ってきた仔猫ね。結局引き取ったんだ? っていうか、相変わら

ずネーミングセンス……」

「可愛いでしょ~? もちもちしてたからボタモチ。懐いてくれて良かったよ。一応、周り

の人達にも、引き取ってくれないかどうか連絡はしてるんだけど……」

「どうせ、また情が移って自分が飼う羽目になるんでしょ? これで何匹目よ? あんたの

自己満足はどうでもいいけど、その分おじさんとおばさんにも負担になるってことは自覚し

ときなさいよ?」

「うん。それは解ってる。俺だって、命を預かる責任ぐらいは持ってる心算だよ」

「……それなら、いいけど」

 とにかくこの大きくて気優し過ぎる幼馴染は、小動物なり何なりに好かれ易い性質を持っ

ていた。相手も相手で、自分を邪険にしない人間だと本能的に解るのだろう。何の因果か、

彼はしばしばこうして捨て犬・捨て猫の類を見つけてしまい、結果その多くを自身の家族と

して迎え入れる──そんなパターンがこれまで何度も続いてきた。普段から動物達の世話、

自身の服装なり見た目なりには無頓着なのは、そういったプライベートでも嵩むタスクの多

さが影響しているのだろう。緋奈も緋奈で、内心やり過ぎだと心配はしているのだが……当

の本人が改める気配は今の所無い。

(性格は、まあ……昔と大して変わってないけど、身長は随分と伸びたわよねえ。最初の頃

はそれこそ、こっちの方が少し高いぐらいだった筈なのに……)

 ほら。髪のぼさぼさ。

 以前はぷいっと促して、道中で整えてやるぐらいのことは日常的にやっていたのに、今で

は気恥ずかしさも相まってすっかり出来なくなってしまった。ぽりぽり。累が眉間に皺を寄

せて見上げてくるこちらを見て、自然な苦笑いで頬を掻く。まあ……そのぼさぼさ頭も、見

様によっては、歩く小鳥の巣みたいだと割り切れなくもないが。

「でもねえ……。犬猫の世話をやってるからって、自分のことを蔑ろにするのは駄目、あん

たは別に気にしないかもしれないけど、場合によっちゃあこっちが被害を被るのよ。あんた

は注意の一つもせずに放っておくのか? って。あと単純に不衛生」

「あははは」

「笑ってる場合じゃない! ったく……。毎日心配するこっちの身にも──」

「大丈夫、大丈夫。緋奈やおじさん、おばさん達には迷惑は掛けないよ。今朝も起きるのが

遅かっただけで、髪ぐらい……」

 ぶつぶつ。緋奈は言いかけたが、続く累本人の笑みと自身の手櫛で髪を直し始める様子に

よって、その漏れ出た本心はスルーされた。元々癖っ毛なため、綺麗に揃うという訳ではな

かったが……彼女は内心むっと押し黙っていた。だからそういう所……。もごもごと口の中

で出そうになる言葉が、しかし次の瞬間には学校が近くなって呑み込まざるを得ない。

 校門と、自分達が日頃通う校舎が見えてきて、他の通りから生徒達が続々と合流してきて

いた。徒歩ないし自転車、遠方からはスクールバスも運行されている。昇降口で靴を履き替

え、微笑と共に手を振ってくる累と別れると、緋奈は独り周りの他人通りの中で密かな嘆息

をついていた。

『──』

 理由はある意味簡単。まるで待ち構えていたかのように、はにかみながら彼の下へ駆け寄

って挨拶している女子生徒の姿を“今日も”確認したからだ。

 制服の胸リボンの色は赤。自分達二年生や先輩らとも違うそれは、間違いなく今年入学し

てきた一年生だろう。彼も彼で、随分この後輩女子と打ち解けているようだ。或いは元の性

格もあって、あのニコニコ顔は生来のものなのか。

(でもあの子……。やっぱり……)

『──ア、フレア!』

 しかしその時である。ぼんやりと、否キュッと胸が苦しくなりながら思案していた緋奈の

五感に上がり込むように、彼女の耳に覚えのある声が響いてきた。ハッと我に返り、慌てて

鞄の中を探る。呼び掛けてきていたのは、デフォルメされた天使型のぬいぐるみ。自称・御

使いことピュリフィーだ。

「ちょっ……!? こんな所で声出さないでよ!」

『それはこっちの台詞だよ! 何をぼ~っとしているんだい? 君も気配を感じるだろう?

奴が出た、ヨドミだ! 敷地の近くにいる!』

 故に緋奈は、思わず目を丸くする。驚愕と憤り、二重の意味で目を見開く。

 ピュリフィーに言われて改めて感覚を研ぎ澄ませてみれば……確かに“ヨドミ”の持つ、

粘着くような嫌な空気が漂ってくるのを感じる。間違いない。これまで幾度となく戦ってき

た、自分達人類の敵だ。

「っ──。よりにもよって、学校のすぐ傍まで……!」

 早く、フレア! 鞄の中のピュリフィーに促されるのもそこそこに、緋奈は生徒達の流れ

とは丸っきり逆方向に走り出していた。彼・彼女らの中にはその動きに視線を遣る者もいた

が、よもや真実を知っている者などはいまい。正直な話、緋奈は話し込んでいる累と件の女

子生徒が気にはなっていたが、改めて振り返っている暇は無かった。何より今この状況下、

自身の天装戦士ミニオンとしての使命を果たすことが、ひいては彼や他の生徒達を守ることにも繋が

ると信じていたからで──。


「えっ?」

「聞こえませんでしたか? 付き合っているんです。私と、先輩は」

 なのに何故? どうしてこんな事になっているんだろう?

 登校直後に出没した“ヨドミ”対峙ほか、以降何度か出くわした関連事件の対処に当たり

続けていたある日、緋奈は突然他の女性生徒から呼び出された。相手はまさかの──以前か

らその存在に気付き、こちらが不審に思っていた一年生の少女だった。自分や累よりも、ず

っと小柄で可愛らしい。そう負けん気の強い感じには思えなかったが……今実際、こうして

当の本人から呼び出され、衝撃の事実を知らされている。必死になって、半分涙目になりな

がらも、明らかにこちらへ“対抗心”を以って対峙されている。

 ──彼女の名前は、星崎華乃かの。曰く、累と同じ園芸部員だそうだ。元々動植物が好きで、

同部の門を叩いたそうだが……既にその頃部員は、彼を残し壊滅状態。彼自身も昨年の先輩

部員らの卒業で廃部になってしまうことも覚悟していたそうで……。

「先輩は、私が入部してくれたことで凄く喜んでくれました。元々弱小部だったとはいえ、

自分の代で潰してしまうのは申し訳ないって。教えてくれる内容も解り易くて、色々勉強に

なりましたし、加えてお家でもワンちゃんやネコちゃんも飼ってて……」

 たった二人っきりの部員。そういう環境も影響したのだろうが、どうやら彼女はそうして

同じ時間を過ごしている内に、彼のことが好きになってしまったのだという。

 そして先日、意を決して一世一代の告白。最初数拍驚いた累ではあったが、素直にその申

し出を快諾。正式に交際が始まって現在に至る。

「……先輩はとっても優しい方です。私や他の人達もですけど、部の草花達のお世話からお

家のワンちゃんネコちゃん、時には立ち往生しているお婆ちゃんにまで……。あんなに誰に

も彼にも親切にしていたら、自分のことが蔑ろなっちゃうっていうのに」

「……」

 知ってる。だから自分も今まで何度も、そうならないように注意してきた。時には力ずく

で押さえたり、せめて身だしなみぐらいはチェックしていたりもした。最近は、身長差もあ

って中々そう上手くはやり辛くなってはいたけれど。

「なのに貴女は──光村先輩は、事ある毎に先輩を苛めてるらしいじゃないですか。色々駄

目出しをして、暴言を浴びせたりバシバシ背中や頭も叩いたり……。先輩が優しい人だから

って、好き勝手して、暴力まで振るって……。幼馴染だからって、何をしてもいいなんてこ

と、ないんですよ!?」

「……。え?」

 だから緋奈は、ようやく何故自分が今日ここに呼び出されたのかを知った。人気の無い、

校舎の小さな中庭で、彼女は華乃に“抗議”されていたのだ。或いは“宣戦布告”──自分

こそが恋人なのだと釘を刺したかったのかもしれない。

「あ、あたしは、そんな心算じゃ──」

「そうでしょうね。今日光村先輩に来て貰ったのは、完全に私の独断です。でも、先輩は優

しい人だから、自分で貴女に言い返すことなんてしない。私も、時々貴女のことを聞いてい

ただけで、面識はなかったですから。でも、他の人達からもそれとなく話を訊いてみて、思

いました。貴女は……先輩の傍に居てはいけない人間です!」

「っ──?!」

 あんたに何が解る? 緋奈は正直そう叫びそうになった。自身の沸点が一気に越されてゆ

くのが判った。目の前の、一見すると取るに足らなさそうな小さな後輩に、この瞬間改めて

“敵”だとの認識が芽生えた。

 嗚呼、そうか。

 この女は、この恋人気取りの女狐は、あいつをあたしから奪おうと……。

「先輩は、私がお世話します! だからもう、これ以上先輩に付きまとわないください! 

今度は私が、あの人の隣であの人を支えたい……恩返しをしたい……!」

「──」

 幾らでも言い返す余地はあった筈だ。恋は盲目というか、それもそれで彼への押しつけが

ましい執着ではないのか?

 ただ……この時の緋奈は、そんな冷静な思考さえままならなかった。頭に血が上り、目の

前の後輩への憎しみばかりが煮え滾り、それ所ではなかったからだ。対する当の華乃自身も

また、勢いのまま吐き出した“宣戦布告”に、改めて怯えつつあったようだ。それでも一旦

大見得を切った手前、それとも彼を想う気持ちは本物だからか、次の瞬間にはキッと再びこ

ちらを見つめ直し、捨て台詞を残す。

「と、とにかく……そういう事なので! わ、私が、お世話するので!」

 失礼しますっ!

 一周回って突き抜けた緊張感のまま、彼女はぐるんと右向け右をし、その場を立ち去って

行った。一方でそんな“宣戦布告”──幼馴染にいつの間にか恋人が出来ていたという事実

に打ちのめされていた緋奈は、暫く同じ場所で立ち尽くし続けていた。

 ぐらぐらと、セカイが揺れる。根本から崩れる。

 まるで足元全体が、真っ黒な闇のような。グツグツと、そこから昏い熱量に心も魂も呑み

込まれてゆくような……。

『……フ、フレア?』

 異変に気付いたのは、そんな修羅場の一部始終を聞いていたピュリフィーだった。鞄は教

室に置かざるを得ないので、登校後は彼女の制服の内ポケットに。自身の身体を縮めて。件

の後輩少女からの宣言を受け、長らく棒立ちになったままの彼女に、彼(?)は一抹の違和

感を覚えて中から身を乗り出してきたのだ。

「……さ、ナい」

『フレア?』

「許゛サ゛ナ゛イ゛ッ!!」

 はたして、そんな嫌な予感は的中してしまっていた。やや俯き加減で陰になっていた緋奈

の表情を、ピュリフィーが恐る恐ると見上げた次の瞬間、彼女は明らかに普段とは違うドス

の効いた声色で以って叫んだのである。

 ぴぎっ?! ゴゴゴゴッ……と、まるで雷雲でも発生したような力の奔流。それらは思わ

ず驚きのけ反り、ポケットから零れ落ちたピュリフィーを尻目に、どんどんと黒く淀んだ塊

となって彼女を包んでいった。目を見開いて、ぬいぐるみなデフォルメの顔にでも映るその

異変に、彼(?)もようやく事態を理解する。最悪だった。

 泥のよう。まるで他でもない、彼女から溢れ出した膨大な憎悪の念は、やがて彼女自身を

ドロドロの異形へと姿を変えて呑み込んでいって──。

『ま、拙いぞ……。フレアが、僕の天装戦士ミニオンが……“裏返って”しまった!』

                                      (了)

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