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週刊三題 二冊目  作者: 長岡壱月
Train-143.October 2024
215/284

(5) ソイル

【お題】主従、残骸、土

「皆さんごきげんよう。今日は前回とはまた違った、使い魔の使役法について学んでゆきま

しょう」

 大きな湖畔を臨み、聳え立つ魔術学校。その校庭の一角で、今日もノールら生徒達は授業

を受けていた。召喚分野担当のネリー先生が、くすりとそう軽く指揮棒タクト型の杖を片手に皆を

見渡し、復習も兼ねて語り始める。

「前回までの授業では、小動物などを一時的に支配下に置く──いわゆるテイムに分類され

る術式を学びました。ただこの使役法は、術者の用途が済めば比較的解除が容易な一方で、

中長期的な運用には向きません。一個の戦闘能力は低い場合が多く、基本は偵察や連絡など

に用いられることが殆どです」

『……』

「では、そうした欠点を補完できるような使い魔をどうすれば確保できるか? この場合、

もう一つの使役法である、召喚を用いると良いでしょう。呼び出した対象と契約を結び、中

長期的にその力を行使できるようにしておく──魔術師にとっての、息の長いパートナーと

いったところでしょうか」

 彼女を囲むようにして立ち、めいめいに講釈に耳を傾けている面々。

 しかし、場の生徒達の大半は、その内容を聞くや否や既に前のめりになっているように見

えた。自分だけの使い魔、パートナー。言うなればそうした存在を持ち、使役しているとい

うことが、文字通り一人前の魔術師としてのステータスになるからだ。

 尤も、そうした若人達の反応はある程度予想していたのか、ネリー先生は気持ち苦笑を零

すような反応を垣間見せる。

「……ただ、これは裏を返せば、貴方がた若い魔術師の将来に関わる大事でもあります。何

より、力も自我も我々と対等かそれ以上の他者と関係を築く以上、呼び出した側には少なか

らぬ責任が伴います。事次第では、命に関わるような報いを受ける危険性だってあります。

だからこそ、個人的にはまだ早いのではないか? とは思うのですが……」

 彼女はそう、ポツリとごちていた。実際これまでも、若き見習い達が契約に失敗したり、

力を得たことで増長してしまうといったケースが少なくはないという。とはいえ、登竜門的

な課題である事実には変わりなく、学校がカリキュラムに組み込んでいる以上、教えない訳

にはいかないのだとも。

「大丈夫です、先生。その為にこれまで、段階を踏んで講義をしてくださっていたんでしょ

う? なら今度は俺達が成果として応えなくちゃあ」

「教えてくださいよ。召喚の術式」

「えへへ……私だけの使い魔かあ。どんな子がいいかなあ……?」

 ただ、当の生徒達の殆どは、そんな彼女の心配など意に介していないようだった。寧ろ早

く教えてくれと、ある者はそれっぽいことを言って自信を示しながら、或いは既に自分だけ

の相棒を夢想しながら先を促している。

(……皆ぐいぐい行くなあ。まあ、この学校うちに合格してる時点で選抜されている訳だから、自

信がないとおかしいのか……)

 茶色いくしゃくしゃの癖っ毛とローブ。面々の中に交じる生徒の一人、ノールはそう密か

に皆の積極的な姿を横目に見ていた。制服代わりの同じローブを纏っている筈なのに、背丈

や自負の低さ次第でこうも差が付けられてしまうものなのか。冷ややかながらも、本心では

そんな自分が許せない。「……分かりました」対するネリー先生も、さりとてこのまま授業

を切り上げてしまう訳にもいかず、先ずはお手本としての召喚手順を教えてゆく。

「使い魔を召喚する際は、専用の魔法陣を使います。今から私が描いてみせますので、教本

の78ページを参照してください。描く際には正確に、丁寧に。この魔法陣が、こちら側と

向こう側を繋ぐ“門”として機能するイメージを持つと良いでしょう」

 草の生えている部分が少ない、剥き出しの地面を選んで、彼女はノール達が見守る中魔法

陣を描き始めた。大きさは人が二・三人、余裕を持って入れるぐらい。その外周と中心に、

口頭での呪文に相当する細かな文様が杖先で描き足されてゆく。じっと一部始終を注視して

いる生徒、教本と見比べてその精度に驚いている生徒。耳に目に必死に焼き付けながら、自

分なりのメモを忙しなく取っている──ノールを含めた生徒など、反応は様々だ。

「では、皆さんも一度実際に描いてみましょう。今回呼び出せずとも構いません。すぐに契

約しなくても構いません。大事なのはパートナーとして関係を結べるか? この術式を、し

っかり自分のものとできるか? です」

『はい!』

 そうして生徒達は、それぞれ校庭のあちこちで召喚用の魔法陣を描き始めた。ネリー先生

がこれを用心深く巡回し、不備があれば指摘して、事故を未然に防ぐ。そうした彼女のチェ

ックを無事通過した一部の生徒達は、先に術式の発動までステップを進めてみることが許さ

れた。彼女が傍に控える中、魔法陣に魔力を注ぎつつ、教えられた呪文を復唱する形でいざ

召喚を試みる。


巡りて来たれ(サルーク、コォング)我に応えし眷属よ(フリットアン、ヴィゼ)!』

『──』


 はたして成功したのは、一部の生徒達の内で更に一部。ネリー先生が話したように、各々

の魔法陣がまるで扉のように濃い靄を吐き出したかと思うと、そこからぬるりと呼びかけに

応じた使い魔達が姿を現したのである。

「お……? おお……!?」

「来た! やったぞ、成功だ!」

「うわ~い! もっふもふ、もっふもふだあ♪」

「な、何つーか。随分と物々しい奴が出て来ちまったなあ……」

「お前はまだ人型だからいいじゃねえか。俺なんか、そもそも言葉通じるか怪しいぞ?」

 一人は黒い甲冑で全身を覆った騎士。一人は大型の火蜥蜴サラマンダー。唯一の女子で成功した生徒に

は、丸いイエティのような白い毛むくじゃらが現れていた。黒騎士と暫し無言のまま見つめ

合い、ふと不安に呟いた一人目に、最後の四人目がジト目を寄越して言い被せる。こちらも

こちらで、大きな一つ目に雷雲を纏った瓦礫の集合体──生物か無機物かも怪しい相手が呼

び出されたらしい。

「……先ずは四人。出来としてはまあ、上々かしらね?」

「おお。あんな風になるのか」

「お、俺も! 俺もパートナーを呼び出すぞ!」

「強くてカッコイイ奴! 強くてカッコイイ奴!」

「こら、そこ。焦ってはいけませんよ? 基本的に召喚は、術者の魔力量や質、波長に応じ

た者と繋がります。しかしそれ以上に、発動時の精神状態にも大きく影響されるのですよ」

「精神状態……」

 故に、先行した四人を見て他の生徒達も続こうと躍起になる。それをネリー先生はピッと

咎め、改めて暴発を未然に防ごうとする。

 ノールはそんな皆の中、自身も魔法陣を描いてから考えていた。はたして彼らのように、

上手くパートナーとなる存在を召喚できるだろうか? こんな周りに埋もれている、パッと

しない魔術師見習いに、応えてくれる誰かなんているのだろうか?

「お? ノール。お前も呼び出す気か?」

「ははは! 止めとけ止めとけ。お前この前の授業だって、ネズミ一匹にすら舐められて従

えられなかったろうが」

 そう──自分は傍目から見ても劣等生、落ちこぼれの側だ。彼がこっそりと召喚に取り掛

かろうとする中、先の成功者らが勝ち誇ったように、こちらへ余裕の嘲笑を向けてくる。入

学以来ずっとだ。全寮制という仕組み上、どうしても学校生活は生徒間でも“上下”の格付

けが横行してしまう。ついて回って避けられもしない。

(……僕は)

 乱されるな。別に、今に始まったことじゃない。

 ノールは魔法陣に屈んでそっと手を触れ、魔力を流し込む。使い魔を呼び出せるとして、

自分は一体相手に何を望むだろう? どんな存在が良いだろう?

(友達が、いいな。強ければ強いに越したことはないけど、やっぱり一緒にいて楽しいよう

な相棒なら、きっと──)


『~? ~!!』


 だからきっと、文字通り召喚の術式はノールのそんな思考に応えたのだろう。

 刹那魔法陣が輝き、大量の靄が溢れた。先の四人や残り生徒達、ネリー先生も、彼が成功

したとの認識に思わず目を見開く。見開いて──盛大に笑い転げた。

『な……』

「何だそれぇ? お前~!」

「──」

 小人だった。いや、もっと厳密に言うならば、土がちょこんと小さな人型を形成してぴょ

こぴょこ動いているだけの、手乗りサイズの玩具みたいな何かだった。呼び出した当のノー

ルも、数拍思考が停止して戸惑っていたが、対する小さな土人形は寧ろ手足をいっぱいに動

かしてアピール。彼の掌の上に乗ってくる。

「はははは! これじゃあ、ネズミ一匹よりも弱ぇんじゃねえの?」

「流石“地味臭じみくさ”のノールだぜ!」

 嘲笑。嘲笑に次ぐ嘲笑。

 故に周囲から向けられる悪意も加わって、ノールは土人形を掌に乗せたまま静かに項垂れ

ていた。彼らの言葉通り、こんなか弱い相棒では戦闘はおろか、索敵や連絡役も難しいかも

しれない。

 だがそんな場の中で唯一、教官のネリーだけは全く別の感想を抱いていた。

(あの子は……精霊? それも、自ら依り代を作って彼の下へ……?)



 ノールはこの土人形に、“ラテ”という名前を与えた。甘党の彼がよく飲む、ミルクたっ

ぷりの珈琲に色味がよく似ていたからだ。

 最初こそ、皆に散々に笑われた使い魔だったが、結局彼はこの土人形を正式に自身のパー

トナーとして契約を結んだ。「正気か?」出会う者、知った者にことごとくそう訊かれ、或

いは嘲られたが、担当のネリー先生だけはその選択を尊重してくれた。

「ラテ、そっちの試験管取ってくれる?」

『~!』

 暫く一緒に過ごしてみて判ったことがある。ラテは、思いの外力持ちだった。身体が土の

塊なのだから、ちょっとした衝撃で割れてしまいそうなものだが……そこは魔術的な組成が

働いて丈夫にできているらしい。ちょっとした小物ぐらいならば、一人で悠々と運んでしま

える。お陰でいつも独りで勉強・研究をしていたノールは、何かと助けられていた。

 何より──“話し相手”になってくれる。勿論、見た目はただの土人形なので、実際にこ

ちらへ人語を返してくれる訳ではないのだが、ぴょこぴょこと懸命に手足を動かして反応し

てくれるのが何とも嬉しい。愛らしい。こちらの話を、日々の思いを誰かに聞いて貰えると

いうだけでも、こんなに胸の奥が楽になるのか……。ノールは正直、自分の耐久力なるもの

を過大評価していたのかもしれないと思った。或いはラテが居てくれるようになって、よう

やく気付けたのか。

「ありがと」

 ……周りが何と言おうが、ラテは自分のパートナーだ。ノールは強くそう思うようになっ

た。当の本人(?)も、少しずつ成長をしているようで、暫くするとこちらの言語や魔術式

を筆談で駆使するようになった。それまで一方的に話していた会話も、キャッチボールが可

能となって、より楽しさが増した。使い魔としては依然、脆弱である点も、これから術者で

ある自分が改善してゆけばいいだろう。

「ほ~ら、ラテ。今日の分の魔力だよ」

『~♪ ~♪』

 ネリー先生にも相談し、通常の主従契約以外にも、定期的に自分の魔力を分けてあげるこ

とにした。彼女曰く、ラテは分類的には低位の精霊と思われるため、地の力さえ高めてゆけ

ば伸びしろは決して少なくはないと。事実、毎日続けてゆく内に、土人形の身体は少しずつ

大きくできるようになっていった。消耗を抑える為、必要な時以外は基本無理のない大きさ

のままで良いとは言ってあったが。

「──ゆけっ、フレイダム!」

「モッフー、氷の壁よ!」

 一方で同時期に契約に成功したライバル達は、既に使い魔を活用した魔術戦闘に磨きを掛

けていた。火蜥蜴サラマンダーの火力を得ての攻撃や、真ん丸イエティの冷気魔術による防御。しばしば

学校内に併設されている訓練場で、彼・彼女らの成長ぶりをまざまざと見せつけられる。

「……皆、凄いなあ。やっぱ攻撃術の花形に適正があると、目立つもんな……」

 結界と通路を挟んだ往来越し。その日もノールは、昼食代わりのサンドウィッチを購買で

で買ってきた帰り、練習に勤しむ同級生や上級生らを遠巻きに眺めて呟いていた。

 幼い頃、ノールに適正があると判明した属性は土。後は光と風が少々。炎や氷、雷など、

いわゆるド派手な戦闘能力の高い属性とは軒並み縁が遠かった。だからこそ今まで、自身の

本分は知識を深めることや研究活動なのだと思い込んできたが……。

『……』

 ちょこん。ノールの肩に乗ったまま、ラテが同じように訓練場内の生徒達を見ていた。い

や、そんな彼らを時折羨ましそうに、しかし諦めてしまっているノールの横顔と何度も見比

べて小さな身体を揺らしていた。

 こと現代の魔術師は、目立ってなんぼ。

 何より自己顕示──己の力と技に強い自負がなければ、その才能は多くの人々の興味関心

という名の視界から外されてしまう。


「──る。のーる」

「ううん……?」

 だからこそ、後日ノールは驚愕させられることになる。いつものように寮の自室で床に就

き、手放していた意識が、次の瞬間聞き覚えの無い声と共に揺さぶられたことに気付いたか

らである。

(もう、朝か……。というか、誰が僕を起こしているんだ?)

 重量からして、誰かがベッド越しに、自分の上に乗っかっていることが分かる。ゆさゆさ

と刺激が与えられている原因はこれだろう。しかし、入学以来ずっと独りだった自分の部屋

を、わざわざ訪ねて起こしに来てくれるような相手など、何処にも……。

「のーる。朝だよー、起きてー? 起きてー?」

「──ッ?! !?!?」

 起きた。それはもう、盛大に弾かれるように飛び起きた。「わっ!?」ベッドの上から跳

ね除けられ、しかし宙で崩れた体勢を一瞬で整えてストンと着地。呼吸を荒げて肩を上下さ

せているノールを、きょとんと純真な眼差しで見つめている誰かが室内に居た。

「びっくりした~。もう、急にそんなことしたら危ないよ~?」

 彼は激しく混乱する。この学校うちは個々が狭めな分、いわゆる相部屋ではない。そもそも他

人がいる訳がないのだ。ましてやこんな朝早く。まだ日も昇り切ってない頃から。

(い、一体誰だ? 誰なんだ……?)

 相手は、自分と同じくらいか少し下の女の子。健康的な小麦色──いや、ミルク珈琲みた

いな色味の肌をしていて、自分の部屋着シャツを丸々一つ頭から被ってカーペットに座って

いる。髪色も同じく淡い茶系統。左のややてっぺんが小さな尻尾みたいで、瞳は真ん丸金色

み。妙に見慣れた感じのある魔力を纏って……ん? 魔力?

「お、お前、もしかして──ラテ!?」

「うん。そうだよ~♪ おはよう、ノール。ノールがいっぱい魔力くれたから、私、ここま

で大きくなれたんだ~♪」



 それからはもう、怒涛の展開だった。珍しく騒いでいるノールを訝しみ、苦情を言うべく

乗り込んできた他の寮生からばっちり人間態となったラテを──男物のシャツ一枚だけを着

てこちらを仰いでいた瞬間を目撃され、悲鳴やら何やらで更に騒ぎは拡大。果ては寮監や他

の先生達まで駆けつけ、ノールは平謝りしながらも事の経緯を話す他なかった。幸い、同じ

く騒ぎを知って様子を見に来たネリー先生によって、一旦は膨れ上がった野次馬その他諸々

も解散となったが……。

「──うわ~! このが、本当にあの土人形?」

「可愛い~、か~わ~い~い~♪ 肌もつるつるすべすべだあ~」

「まさかここまで進化するとはねえ……。っていうか、女の子だったんだ?」

「いや、僕もさっきのさっきまで知らな──」

「スケベ」

「変態」

「持って帰って良い?」

「だから違うって! あと、サラリと欲望を吐かないでもらって」

 小麦肌の少女、もといラテに女子生徒達が凄い勢いで群がってきた。物珍しさで興奮とい

うのもそうだったが、一部は明らかに別の意味で。

 一方でこんなを侍らせていたのかと、当のノールには一層蔑みの眼差しや私欲が向けら

れた。彼は慌てて抗議・否定したが、おそらく今後彼女らの評価は覆らないだろう。除け者

にされながらも、静かだった日々は反転。良くも悪くもノールとラテは、学校中の注目を浴

びることとなってしまう。

「ほらほら。貴女達も、女子寮に戻って。のんびりしていたら、今日の授業が始まってしま

いますよ? この件は以降、我々教師陣が引き受けます。ウィルモント君にも話を聞きます

ので、これ以上要らぬ詮索はしないように」

『は~い』

 ようやくラテを猫可愛がりしていた女子達を立ち去らせ、ネリー先生は少なからず深い溜

め息を吐いていた。妙に詰められてしまってたノールも然り。ただ、当のラテ自身はあまり

自身の変化が周りに与えた影響をよく解ってはおらず、一人頭に疑問符を浮かべている。

「……すみません。ありがとうございました、ネリー先生」

「いいのですよ。本を正せば、私の授業で召喚した貴方の使い魔なのですから。……しかし

見れば見るほど驚きです。何かしらの精霊だというのは見当がついていましたが、ここまで

成長可能な潜在能力を持っていたなんて」

「ええ。正直、僕もまだびっくりしているというか、頭が追いついてないというか……。そ

れで、これからラテはどうなるんでしょうか? ここまで女の子の姿になっちゃうと、流石

に女子寮に移した方が……?」

「え? 何で? 私はノールの使い魔だよ?」

「……ラテさん。貴女は何故、人間の姿に? これまでも土人形の姿で大きくなったり小さ

くなったり、出来ることは増えていっていたと聞いています。ウィルモント君が直接指示し

たという訳ではないとすれば、貴方の意思でということになりますが……」

「うん! もっともっと、ノールを助けられるようになりたいと思って。最初はあの格好が

精一杯だったけど、たくさん魔力が集まって、やっとこの器を作れるようになったんだ~」

『……』

 つまりは、ラテ本人からすれば完全に善意。自身を呼び出したノールの役に立とうと、自

ら考え、自ら準備を重ねて人間態へと“進化”を果たしたのだと。

「ウィルモント君」

「は、はい!」

「ラテさんを普段、このままの姿にするか、それとも前のような土人形の姿にさせるか指示

してください。その内容如何で、私も女子寮の空き部屋を融通してもらうよう、上に掛け合

わなければなりませんし……」

「え? 私はノールと一緒のままが──」

「ラテ。せめて寮にいる時は、前のちっこい人形型になっててくれ。頼むから……」

「? は~い。ノールがそう言うんなら」


 別に他意はない。ただこれ以上、ネリー先生を余計なことで煩わせたくはなかった。話し

合いの結果、ノールは授業などの時を除き、ラテには以前のような土人形態で行動を共にす

るよう命じた。別に他意はない。繰り返すが、他意はない。

「──おりゃああああああ~♪」

 ただ、いざ人間態となって“全力”を解放したラテの強さは、明らかに契約当初のそれと

は一線を画していた。同じ講義を取っている他の生徒、顔見知りや他の先生などに彼女の進

化の件を把握してもらってから程なくして、ノールもとい彼の使い魔・ラテの快進撃が始ま

ったからだ。こと実習、魔術戦闘分野において、これまで圧倒的優位に立っていた他の上位

陣の生徒達を、彼女は千切っては投げ千切っては投げの大活躍。並の魔法も武器も、彼女を

止めることは叶わない。

「くっ……!」

「舐めるなよッ! やれ、バロン!」

 特に驚きだったのが──その再生能力だ。黒騎士の使い魔の主、件の上位陣の生徒との模

擬戦でも、彼女は特にこれといった装備もなく渡り合っていた。高い身体能力と、元が土を

媒介にした精霊だからか、得物は随時地面から練り上げた大槌ぐらい。そんな可憐な見た目

からは想像できないパワー戦法に、遂にこのライバルは自身の使い魔を全力援護。渾身の斬

撃を叩き込んで彼女の片腕を切り落としたのだった。

「? ああ。ちょっと待ってね~」

 にも拘らず……。ぼとりと落ちたその腕を拾って、ラテは断面から蠢いてきた無数の土の

粘性でもって瞬く間にこれを接合。傷一つ無く元通りにしてしまう。

『!?』

「はあっ?! そんなのありかよ!?」

「え~? 全力で来いって言ったのそっちじゃ~ん。もう一人の子はもう伸びてるんだし、

さっさと片付けちゃうね?」

 せ~の! 何事もなかったかのように、再び大槌を振り上げて、黒騎士もろともこの生徒

のダウンを取ってしまうラテ。そんな自身の使い魔の無双っぷりを見ていて、ノールは正直

浮き足立つ気にはなれなかった。寧ろああも強力になってしまった彼女が、純粋に自分の為

に戦い、時には腕の一つや二つ──時には半身が吹き飛ばされてもまたケロッとして再生。

打ち負かしてしまうといった光景に、内心もどかしさのようなものを覚えるようになってい

ったのだった。

「……」

 そしてそれは、一連の快進撃を注視していたネリー先生もまた、同じで。



「ネリー先生。一体どうしたんですか? わざわざ、僕なんかを呼び出して」

「……ウィルモント君。貴方も勘付いているんじゃないかしら? ラテさんを一人、向こう

で待機させてもらった時点でね」

 ラテの“進化”からどれだけ日々が経っただろう。彼女のお陰で成績の伸び、良くも悪く

も下位から脱したノールを、その日彼女は密かに呼び出していた。それも彼一人を。わざわ

ざ前もって彼に言い、常日頃一緒にいる使い魔のラテを、一旦見張りと称して遠くに置いて

来させた上で。

「やっぱり、ラテのことですか」

「ええ。単刀直入に言うわ。彼女を狙う勢力が出てきてるの」

「──!?」

 ネリーは言った。いや、せめて彼には伝えておきたかった。それが彼女なりの、自身が担

当した授業で引き合わせてしまった務めとして。何よりこの若き才能を、そんな輩に潰され

て欲しくないが為に。

「貴方もこれまで見てきたように、あの子の変化には目を見張るものがあるわ。それはひと

えに、主である貴方との絆──じっくりと時間を掛けて、貴方の魔力を貰い続けたことで得

られた力なのだけど、そうした現象や術理を我が物にしたいと考える奴らが現れ始めた。場

合によっては、彼女を直接攫って実験材料にする可能性だってある」

「っ! そんなこと……!」

「勿論、私だって大反対よ。使い魔だと言っても、彼女は精霊──魂も自我もある、れっき

とした一人の個よ。魔術師が、その知的興味だけで蹂躙していい対象じゃない。それでも現

実して、古今東西そういった輩が後を絶たないのは事実……」

「……」

 彼女はあくまでノールの味方だとしつつも、そういつの間にか、彼やラテを取り巻く大人

達の思惑について伝達。懸念材料が広まっていると報せてくれた。使い魔が主の影響を受け

て強化されることはままあるが、ラテのそれはかなりレアケースであるらしい。ノールは暫

くじっとネリーの話を聞いていた。彼女の懸念と、しかして結果を言えば、それとはまた別

の決断を伴うこととなって。

「校長や、他の先生方にも何人か協力を仰いでいるわ。彼女について不穏な動きがある。で

も、それはそれとして貴方達は頑張ってる。彼女が“進化”する前も後も、貴方が一人努力

を続けてきたことは知っていますもの」

「だからこそ……せめて卒業まではさせてあげたい。それまで私達で貴方やあの子を守るか

ら、今日話したことは頭の隅に置いておいて、残りの二年を──」

「いえ。それを聞いて踏ん切りがつきました。学校を、辞めようと思います」

「えっ……?」

 教育者として、先達のいち魔術師として、精一杯の責任を果たそうとするネリー。

 だがそんな彼女からの申し出を、ノールは逆に自らの中退を申し出る形で引っ込めさせよ

うとしたのだった。思わず驚く彼女に、彼は彼で、これまで募らせていた思いを吐き出すよ

うにして続ける。

「……僕もずっと、これじゃないって感じはありました。確かに僕はラテがああなるまで、

皆に馬鹿にされていました。でも僕がやりたいことは魔術を修めることであって、誰かをこ

てんぱんに打ちのめすことじゃない。ラテは僕を思ってやり返してくれていたんだと思いま

すが、魔術は武力だけじゃない筈なんです。もっとこう……他人の役に立つ為の魔術師に、

僕はなりたかったんだって。だから、これ以上先生方やラテまで危険に晒すぐらいなら、こ

こから出て行って行方を眩ませるのが一番良いんじゃないかなと。少なくとも僕やラテがい

なくなったと分かれば、その連中も学校自体を標的にはしないでしょう?」

「ウィルモント君……」

 ネリーの驚いていた目は、ややあって悲しいそれへと変わった。おそらくは本人以上に、

彼女はその発された言葉の意味を──自己犠牲が過ぎる茨の道を、理解してしまって憂いた

からだ。ふるふるとゆっくり首を横に振り、しかしてもっと別の表現、理由を捻り出しなが

ら、彼女は何とかノールを説得しようとする。

「……本当に良いの? それはつまり、あの子が今仲良くしている他の生徒達との交流も、

あの子自身の意思も切るということよ?」

「でしょうね。何だかんだ、あれからずっと一部の女子達には猫可愛がりされてますし、本

人も学校生活は楽しんでいますし……。だけど彼女の安全には代えられない」

 だが結局、ネリーは最後まで彼を思い留まらせることは出来なかったのである。キッと悲

壮感を湛え、しかしそれをおくびにも出そうともせず頑なに抱え込もうと決めたノールの姿

に、彼女は内心酷く頭を抱えた。同時に“解って”しまって、胸を痛めた。

(やはりウィルモント君、貴方はもう彼女のことを──)



「ノール! お前一体、どういう心算だ!? 入学以来、碌に顔も見せずに籠っていたかと

思えば、私の許可も無く中退……? 一体誰が、学費を出していたと思ってる!?」

 思えばずっと違和感──自分と周りの“土壌”が合わないことに、色んな場所で苦しんで

きたんだなとノールは振り返った。

 ネリー先生などの慰留も虚しく、魔術学校を中退後、一度故郷の実家に帰ってきたノール

は、案の定ウィルモント家の当主である父から激しく叱責された。尤もそういった反応は予

想通りだったし、昔からこの男はそういう人間だと知っている。厭というほどに知ってきた

から、せめて魔術を学べる内はこいつから離れようと……。

「しかもそいつは……精霊か? 少し見ない内に、随分と色気づいたものだな。ようやく真

面目に魔術師の道を歩んでくれるかと思えば、そんな人形に現を抜かし追って……」

「むぅ? お前、ノールを馬鹿に──」

「止せ。……こいつには何を言っても無駄だ」

 常に上から目線。魔術の貴族家によくある高慢。

 ラテは、半ば無理やりにセッティングされた面会で主を侮辱され、あからさまに敵意と共

に立ち上がろうとしたが……他ならぬノール自身にすぐさま制止された。判り切っていたか

らだ。この男、ゼオル・ウィルモントは、たとえ実の息子ですらも家を盛り立てる“駒”と

しか見ていない。それ以外に何も価値を見出せず、認めない糞野郎だと。

「その程度の認識なら、そりゃあ没落してゆく一方だよな。心配するなよ。学費分くらいは

何として返す。それが筋だって言うんなら。その代わり……以後、もう僕はあんたとこの家

から縁を切る」

「何?! そんな勝手、私が許すとでも──」

「ウィルモントの血なら、もっと優秀な子供に継がせればいいだろ? サラ姉さんやエミル

に。今日はその為の挨拶に来ただけだよ。僕はもう、一人で生きてゆく。貴族とか魔術界と

か、そんなものとは関係なく」

 じゃあな……。

 帰省とすら呼べないほどの、短い滞在時間。父の怒号が館内に響く中、ノールは戸惑うラ

テの手を取るとそのまま足早に故郷を後にした。二度と戻ることはなかった。突然の帰郷に

駆け付けた姉や年の離れた弟、父の傍で唖然と話を聞いていた母も、慌ててこれを止めよう

としたが、もうノールは誰にも止められなかった。彼自身が……最早何もかもを捨ててしま

う決意を決め過ぎていたからだ。

(……これでいい。僕に関わるものが無くなれば、被害は最小限に収まる。僕の魔術は誰か

を助ける為の魔術だ)

 ただ在るせいで、他人びとの武力や争いを生むなんて耐えられない。


『馬鹿者が! お前一人で何とかなるほど、世の中は甘くないぞ!』

 去り際の父(だった男)の台詞。当初は体のよい“駒”に反抗された故の怒りが多分に含

まれているとばかり思っていたノールだったが、次第にそれ自体に間違いがあった訳でない

ことを思い知らされる。

 詰まるところ──金が無かった。元大手魔術師学校の生徒とはいえ、卒業もせずに中退。

在学中に何か突出した実績を残したかというとそうでもない、一介の魔術師崩れでは、日々

の飯代を繋いでゆくのも至難の業だった。そうなると必然、市中で冒険者にでもなり、ラテ

の剛腕に助けられながら稼ぐしかなく……。


「お~い、そっち行ったぞ~ッ!」

「──ラテ」

「了解!」

 他の先輩冒険者達に交じり、ダンジョンと化した遺跡調査に。屈強な重装備の戦士や刀剣

使い、射手などの様々な兵種クラスの面々が追い込んできたモンスター達を、ノールとラテは所定

の位置で待ち構えていた。相手の巨体に対して、後方の退路は人一人分ほどの幅しかない。

実質の袋小路だ。

 ノールの合図でだんっと高く空中へ跳び、ラテは眼下にモンスター達を捉える。その物量

を伴う突進、僅かな時間的猶予を縫い、ひりつく緊迫の中で彼は呪文を唱える。ボコボコと

足元の地面が隆起し、直後無数の岩槍となってこれを一網打尽の串刺しにしてしまう。

「ほっ! はっ!」

 ラテはそんな主の、身を張った一撃から零れた個体を狩るのが役目だ。所狭しと展開され

た岩槍のせいで、動線が制限されたその背面と上空から、同じく土で生成された大槌で甲殻

ごと粉砕。確実なる始末・決着へと導く。

「……おお! やったな!」

「いやあ、何度見ても凄まじいな……。魔術ってのは味方につくとこうも頼もしいモンか」

「はははは! これ今回も素材大盤振る舞いだ! ありがとよ、ノール! ラテちゃん!」

「いいってことよ~、オヤジさ~ん」

「……そう言ってもらえれば幸いです」

 世間一般で見れば、そもそも魔術師という人材自体が貴重だ。だからこそ、いざ同じ冒険

者として協力してくれる限り、彼らには旨味が少なくないのだろう。敵への高火力ないし範

囲攻撃や、各種拘束。更に適正があれば回復術まで。一人ノウハウを積んだ術者が同行して

くれれば、依頼の達成率や部隊の生還率も跳ね上がる。

(僕のこれも、あくまで対モンスター用に色々改良を加えた結果だからな……。結局重宝さ

れるのは、こういう分かり易い“武力”なんだな……)

 正直を言えば、モヤモヤとする部分はある。ノール自身、理想とする魔術はあくまで知の

探究手段であった。圧倒的な力として振るい、誰かを何かを屈服させる為のものではなかっ

たのだから。

 それでも現実には、多くの現場がそうした在り様を求める。冒険者のような、常日頃危険

と隣り合わせのような職業ならば尚更だろう。

 依頼後、ギルドに戻った後の帰り道。ホクホクと上機嫌で日没後の通りをゆく面々やラテ

とは対照的に、ノールは一人財布の小袋の覗き込んで密かに悶々としていた。かつて啖呵を

切ったのは自分とはいえ、結局彼女に──例の如くすぐ自己再生するとはいえ、生傷を負わ

せてばかりじゃないか。

(あともう少し、もう少しの辛抱だ。このままあと一月もすれば、学費分を突き返してもお

釣りがくる額になる。そうしたら……もっと自分のペースで暮らせるんだ。ひっそりと何処

かで、魔術の研究でもしながら静かに暮らそう。ラテと一緒に、人を助ける魔術を……)



 そうして事件は、結末は、容赦なくやってくる。

 その日も、宿に戻った頃にはくたくた。軽く水浴びと着替えを済ませた後、ノールは倒れ

込むように眠ってしまっていた。

「──る、ノール! 起きて、起きて!」

 だというのに、どれだけ夜が更けたのかも判らないまま、聞き慣れたラテの呼び声が聞こ

えてくる。眠りに落ちていた彼の意識を揺さぶってくる。

「ん゛ぅ……? 何だよ、今日は流石に疲れて──」

「それどころじゃないんだよお。嫌な気配がいっぱいする!」

「!?」

 ある種こちらも見慣れた、ベッドの上から馬乗りになっているラテの姿。

 しかし次の瞬間、寝起きの不機嫌で吐いた言葉も、彼女からの報告・警告で消し飛んだ。

殆ど反射的に飛び起き、エンドテーブルに置いてあった杖を取り、じっと精神を集中させて

周囲の魔力反応を確かめる。

(……抜かった。この数、配置、明らかにこちらを包囲しようとしてる)

 目を瞑って研ぎ澄ませた感覚が、黒塗りのセカイにぽつぽつっと人型の魔力塊を描き出し

てゆく。一人一人は自分のような魔術師には及ばないが、距離的にこの宿を囲うように身を

潜めている姿勢であると断じた。何よりラテの発言──精霊の直感が、彼らを害意ある相手

だと告げている。

 冒険者に転身してから、賊の類とは何度もやり合ったことはある。だが今夜このタイミン

グ、自分が大口の依頼を終えて帰ってきた──体力も魔力も消耗している時に合わせてきた

状況を踏まえれば、予め計画された上で狙ってきたように思えてならない。

(多少寝て回復したとはいえ、流石にキツいな……。何とか離脱して、先輩達を頼るか? 

そもそも何で僕を? 羽振りの良いところなんて見せた覚えはないのに……)

 しかしものの数拍で急回転させた思考は、直後より鮮明になった相手側の魔力反応を視て

大きく踏み込んだ。ハッと気付き、ノールは戦慄する。

(っ!? 魔力の武器!? まさか魔術師ぼく対策? いや──)


 “狙いは、精霊ラテだ”


 ちょうど、次の瞬間だった。賊達の得物が総じて魔力を帯びていることに気付いた時、敵

の先陣が二人のいる部屋の窓をぶち破って侵入。勢いのまま刃を構えて襲い掛かってきたの

だった。

 位置的にはちょうど、ベッドから飛び起きて床に降りていたノールと、この賊がベッド上

のラテを挟んでいる格好。咄嗟に理解し、そして反射的に動いた彼は、彼女を庇うように前

へ出て──刺される。

「ぐっ!?」

「な……何するんだぁぁーッ!!」

 それはまさに一瞬の出来事。胸元にざくりと魔力を帯びた短刀を押し込まれたノールは、

されど直後激昂したラテ渾身の回し蹴りによって、肉薄したこの賊ごとすぐさま引き離され

ていた。

 見た目からは想像できないほどの破壊力で、再び窓の外へ吹っ飛ばされる刺客。衝撃で短

刀が若干斜めに入ったまま、どうっと後方へ倒れ込むノール。ラテは今までにないほど悲壮

な表情を浮かべ、彼に──自らの主の下へ駆け寄った。「こほっ……!」傷口や口元から、

赤黒く血が溢れ始めている。

『おい、一人やられたぞ!』

『ど……どういうことだよ!? 得物こいつがありゃあ、大丈夫だって……!』

『バレちまったなら仕方ねえ。全員、数でタコすぞ!』

『応!』

 現在進行形で嗅ぎ取れる魔力の気配、常人ならざる五感から、ラテは残りの侵入者達がす

ぐにでも乗り込んでくることには気付いていた。

 彼女がそれでも今いる部屋ばしょから動かなかったのは、倒れてしまったからだ。自

身の主であり、何よりも大切なノールが、床に仰向けになったまま動けなくなってしまって

いたからである。

「ノール、ノール! しっかりして!」

「ねえ……どうして庇ったの? 私ならこれぐらいの傷、すぐ直るのに……!」

「……」

 か細い呼吸音だけを漏らし、益々赤黒く汚れてゆく口元。ノールは虚ろな眼差しで、自ら

に縋って泣きじゃくるこの相棒を見つめていたが、当の彼女からの問いに答えることはなか

った。

 夜長の災い、世界の一齣。襲撃じけんは構うことなく進んでゆく。

                                      (了)

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