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ひどい光だ

 ひどい光だ。

 それは、カーテンの隙間から、俺の閉じた瞼に降り注いできている。

「いい天気!」

 と<リトルネロ>が言った。

 <リトルネロ>、<リトルネロ>、なんだっけ、こいつは?

 

 あっ、思い出した。


 それは昨日の夜のことだ。

 なんだか暑苦しくて、寝つけないので俺は、思い切ってコンビニに行くことにした。

 ところが、コンビニはしまっていた。

 24時間営業じゃなかったのかよ!

 俺は悪態をついた。

 おまけに唾を吐いた。

 そしたら。


「うわっ! 汚! 気持ち悪〜い! おえええええええ」

 な、なんだああああああ!?

  

 俺は、俺が唾を吐いたところを見た。

 そしたら、そこにいたんだよ。

 妖精が。

 俺の唾でベトベトになった、<リトルネロ>が。


「ちょっとお!? ありえませんよ、ありえませんよ、ありえませんよ、マジでありえませんよ、いきなり、誇り高きケルズ妖精、<リトルネロ>に唾を吐きかけるなんて!」

「知るかよ!」と俺は言った。「ケルズ妖精!? <リトルネロ>!? 知るかよ知るかよ」

「ありえませんよありえませんよ」

 と<リトルネロ>はタオルで自分の体を拭いていた。

「知るかよ知るかよ」

 と俺は気味が悪くなって走って逃げた。

 ところが、<リトルネロ>が追いかけてくるのだ。

「おいこら待てや!」

「来るなあああ! ソーシャル・ディスタンス! ソーシャル・ディスタンス!」


 で、まあ、結局、俺と<リトルネロ>は一緒に帰った。 

「ただいま〜」

 と<リトルネロ>はそれがさも当たり前であるかのように言う。

「お前なあ」

「シャワー借りるね」

 と<リトルネロ>は言った。

「やだよ」

「お前が唾を吐いたのが悪いんだかんな!」

「橋本環奈!」

「は?」

「俺の唾だから汚くないだろ」

「きたねーよ! じゃあ、私の唾をお見舞いしてやろうか!? ペッペッペッペ」

「うわああああああ! わかったわかった」

 

 俺は、シャワー室で、フンフンフン♪ と、水を浴びている<リトルネロ>のシルエットと会話をしていた。

「私は魔法少女を探してるんだよ」

「で、俺を見つけたってわけか」

「んなわけないでしょ! どこが『少女』だよ!」

「冗談、冗談だって」

「この町のどっかにいるんだよ、魔法少女が。それなのに、全く見つからないんだ。不思議。このままだと、世界が<黒い夢>に覆われてしまうのだけど」

「だめじゃん!」

「一緒に探してくんない?」

「嫌だよ」

「君が、かわいい魔法少女と知り合いになれるチャンスをみすみすのがしたいというのなら、私も強制はしない」

 と<リトルネロ>は言った。

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