後輩に夢を語る先輩
練習@1 オフィス?百合です。
「先輩、いいですよね」
高価な美術品を扱うかのように、私の首に触れてくる。
どうせこの後雑に絞めるくせに。大切にされてるようで、悪い気はしない。
何度やっても慣れないのだろう。深呼吸して緊張を和らげている後輩を眺めながら、私たちがここまで歪んだ理由を考える。
元々は、ただ"同じ部署の先輩後輩"というだけの関係だった。
たいして会話もせず、お互いの顔と名前を辛うじて記憶した程度のはずが、たまたま後輩が自身の首を絞めているのを見てしまった。
誰かに相談すればいいのに、わざわざ偽善者のように気安く「相談に乗る」などと言わなければこうはならなかったのだろうか。
いや、きっとこのアホは私が見なかったふりをしたら、そのまま自分で自分を絞め殺したに違いない。
後輩は、我慢が苦手なんだ。だから、誰かが発散させないといけない。そしてその役目は、私が負うべきだ。
「か、はっ」
落ち着いたのか、ゆっくりと後輩が首を絞め始める。
最初に、私が酸欠になっていく様を、じっくり見ようとするのがこいつの癖だ。
馬乗りになって逃がさないように、見逃さないように。
最近は絞めながら喉をグリグリするのがマイブームらしい。
親指で弄るたび私の体が跳ねるのが、可愛いんだとか。
「ひゅ、が、あ」
苦しい時と、苦しくない時を行ったり来たりする。
気管を潰して戻す。何度もそれを繰り返して、じわじわ酸そをうばおうとしてくる。
「先輩、先輩、先輩!」
こう輩もノッてきたのだろう。リズミカルに気管を潰し、のどを上から押してくる。
わたしも、意しきが、欠けていく。
泣きそうで、でもとても愉しそうな後輩も、みえなくなってくる。
そのまま
いしきも
こうはいも
ぜんぶ
きえ
て
「っていう夢を見たんだけど」
「…は?」
お茶を飲んでた後輩が、理解できない物を見るような目を向けてくる。
「いやだから、後輩の首絞め癖に付き合う夢よ。どう?」
「そんな癖無いですよ、私。あ、やる気も無いですから」
「えー」
こういうシチュエーションいいと思うんだけどな。闇がある百合って、なかなかにそそるんだけども。
「万が一先輩に何かあったらどうするんですか。未亡人にはなりたくないですよ」
まったく、とため息をつく後輩の頬は少し赤くなっていた。愛い奴め。夜は存分に可愛がられてやろう。最近疲れているみたいだし、美味しいものを奢るのもいいな。
「そういえば、先輩が食べてるシュークリームですけど、クリーム落ちまs…あっ」
シュー生地が破れてクリームをこぼ…否!破れた場所に指を入れ、こぼれるのを阻止する!
…阻止、したはいいが
「どうしようこれ…」
「馬鹿ですよね先輩。一旦それ置きましょうよ」
後輩がティッシュを敷いてくれたので、そこに置いて指を抜く。
「舐めて後h「は?」…サーセン」
「冗談は止めて拭いてください。私、シューに入れるクリームはイチゴ派なんですよ」
つまりイチゴ味だったら舐めてたと!そういうことかい可愛いな!!
「ノーコメントで。先に仕事戻りまーす」
急いでシュークリームを口に詰め込んで、後輩を追いかける。
耳赤いの見逃してないからな!休み取れたら覚悟しとけな!
素直じゃない後輩は我慢が苦手なので、きっと今夜にでも襲ってくるだろう。
楽しみだが…明日の喉と股関節が心配だ。いやホントに。
登場人物
先輩 首を絞められる方。誘い受けでソフトM。後輩と同棲中で、後輩と正式に結婚したい。
後輩 首を絞める方。誘惑に弱くソフトS。先輩と同棲中で、先輩とは結婚した気でいる。