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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【五話】勇躍と向後。
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(41)魔特班を目指すことはしない

会計を済ませて退店。腹は満ち、財布は……。




「美味しかった~」


「これは通うしかないな」


「腹も膨れたし、屋敷に戻ろう」


「ちょっとだけ待ってて」




そう言ってアイシャが向かったのは、例のアイス屋。




ああ、そっか……。






 列はなく、一分ほどで戻ってきた。




「お待たせ。はいこれ、おじさんから」




俺たち三人に差し出されたのは、人数分のアイス。


ほんと、気前のいいおじさんだ。




「おじさんからって……?」


「え、くれたの?」


「うん。ユウがあのお店の常連でね。行くといつもご馳走してくれるんだ~」


「へえ……。お前、そんなにアイス好きだっけ?」


「訳は訊くな……」


「お、おう……」




神妙な顔で言った俺に、クリスは引き下がった。




「お、バニラ味か」


「バニラか……。卑猥な食い方するなよ、ビッ……ゴフ⁈」




俺の腹にえぐいスピードのミラの拳。




「ユウ君、お黙り」


「おい、俺の時より優しくね? おい?」


「え、そう?」




サル型魔物のタックルくらい痛いんだけど


これのなにが、優しいって……?






 屋敷に帰還。俺たちが最後だったらしい。




「すみません、お待たせしました」


「いいのよ、休日なんだから」


「ああ。気張る必要はない」




……なんて言われましても、


上官達を待たせておくのは気が引ける。




アイシャがお姉ちゃんに貢物を提出し、改めて席に着いた。




「じゃ、みんな揃ったわね」


「ご厚意により、空き部屋の掃除と、荷物の搬入も助けていただけるそうだ」


「厚意よ、厚意」


「……。では、早速だが始めよう」


「私とリーフは空き部屋の掃除を手伝います。あなた達二人はお友達を手伝ってあげなさい」


「え、俺がミラの部屋に⁉」


「いいよ、おいで」


「ユウお前な……」






 冗談はさておき、クリスの部屋予定地へ。


ここは元・俺の部屋だ。ミラは元・アイシャの部屋を使うようだ。


リビングに積まれたクリスの荷物の運搬を手伝った。




「ふう、これで全部か?」


「おう、サンキュー」




部屋を一瞥した後、窓から景色を見てクリスは言った。




「良い部屋だな、ここ」


「そうか?」


「ああ、そっか。お前は配属後いきなりここだったんだよな」




そう。だからどうしてもこの屋敷が基準になってしまう。




「兵舎は酷いもんだぜ」


「へえ……。どんな?」


「まず個人部屋なんて言うのは上官の特権さ」


「その時点でもう絶望的だが?」


「普通は大体三人から四人くらいのルームシェア状態だな」




すでに聞きたくない。




「隙間風はすごいわ、あっちこっち軋むわ、トイレは汚いわ」


「散々だな……」




そんな劣悪な場所と比べれば、ここは確かに楽園のような場所だ。


兵舎からの解放記念として、何かプレゼントをしてやりたいが……。




思いつくのはこれくらいだ。




「おね……班長に、コーヒーと紅茶を少し置いて行くように頼んでみるよ」


「え、本気で言ってんの⁈ ……おね?」


「魔特班は騎士団から片足はみ出てるし、王直属だからちょっと贅沢が出来るわけ」


「ずりぃな……」


「今からでも目指せるだろ、頑張れよ」




騎士になるには、資格を得る必要がある。


普通資格で騎士になり、それぞれの班に配属される。


上級資格を得ると一から四の少数班に入るか、伝令の人や


受付の人のような公務を受け持つことが出来るようになる。




上級資格保持者のほとんどが公務にまわって


生活の安全を確保しているのが現状だ。


そして、更なる試験に受かれば魔特班の仲間入りだ。




「いや、やめておこう」


「なんで?」


「毎日お前とアイシャのイチャイチャを見せられちゃ堪ったもんじゃないからだ‼」




——ごめんなさい。



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