表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十五話】再会と同盟。
172/269

(172)純白の馬

と、帰投準備中の事。


「ん?」

「……? あれ、馬ですね」

「やけに大急ぎだな」


騎士の乗った馬が、数匹こちらへ向かってきているのが見えた。

その速度は、何かに慌てていることを示している。


「漏れそうなんですかね」

「……まさか」


やがて俺たちの目の前まで来て、止まった。


「何かあったんですか?」

「おお、魔特班か。ちょうどいいところに居てくれた」

「班長を呼んできてくれ」

「……? 分かりました」



 基地に入り、カミュ司令官に報告をしているお姉ちゃんを発見。


「あら、どうしたの?」

「事情は分からないんですけど、慌てた様子の騎士たちが、班長を呼んでくれ、と」

「何事かしらね」

「では、報告はここまででよい」

「かしこまりました」



 司令官の部屋を後にし、再び外へ。


すると、さっきの騎士たちに追加で、

見慣れない装飾の馬車が停まっていた。


全体的に白く、牽いている馬は白馬だ。


「魔特班班長、ルナです」


お姉ちゃんが名乗ると、先頭にいた騎士が寄り、小声で話し始めた。


「伝えたいのは、この馬車に乗っている人たちの事だ」

「はあ」

「単刀直入に言う。落ち着いて聞いてくれ」


馬車の色合いを見た俺は、事態をなんとなく察した。


「乗っている人と言ったが、本人たち曰く、人間とは違うらしい」

「えっと、では、魔物という事ですか?」

「いや、魔物とも違うようだ」


——やっぱり


「見ての通り、白旗を掲げている」


馬車の色のせいで目立たないが、確かに旗がついている。

つまり、戦う意思は無いという事だ。


敵じゃない、か。


アイツの言っていた通りだ。


「王に会いたいと言っているんだ」

「……え?」

「我々は急ぎ王都に報告へ向かうから、彼らを案内してほしい。お前たちなら、もし暴れてもなんとかなるだろ」

「それは……構いませんけど」

「じゃ、頼んだぞ」


急いでいるからか、強引に役割を押し付けて、騎士たちは王都へ向かった。


「人間でも魔物でもない、ねえ」

「つまり、ユウが言ってた白い連中って事か」


いつの間にか、異変を察知したメンバーが全員集合していた。


「そういう事よね、きっと」



 ここで話し込んでいても仕方ない、という結論になり、

とりあえず白馬の主たちに声をかけることに。

もし例の連中なら、会話をすることが可能だとお姉ちゃんに伝えた。


座席車のドアを数回ノックする。


「失礼します。お話は伺っております。ここから先は、我々が案内を——」


お姉ちゃんの言葉はそこで途切れた。

戸が半分ほど開き、隙間から真っ白な老婆が覗いていたからだ。


《そうですか。では、よろしくお願いします》

「我々の馬車が先導します。えっと、そちらの馬車の馭者もこちらから——」

《馭者は必要ありません。馬があなた方について行くので》

「は、はあ……。では、早速ですが出発しましょう」


何が何だか分からないまま、王都に向けて馬車を出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ