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【完結】宣誓のその先へ  作者: ねこかもめ
【十二話】扶翼と反抗。
128/269

(128)学年別模擬戦闘大会

 二年生の夏。毎年夏に開催される学年別模擬戦闘大会。


ルールは簡単。


あの時の模擬戦とまったく同じ。

ただし、能力の使用は禁止。

あくまでも剣術の大会だからね。


いくつかのブロックに分かれて、トーナメント形式で優勝者を決める。


「次、決勝か~。頑張ってね、ノエル!」

「うん。絶対勝ってくるよ。アタシは、こんなところで負けてらんないから」

「ふふっ、いい顔」

「じゃあ、行ってくるね」


マイに背中を押され、アタシは決勝戦の舞台に出た。


「さあ、対戦者がそろいました!」


拍手、歓声、指笛。色んな音がアタシを出迎えた。


こんなに注目される人間になれたんだ。


「選手を紹介します! 昨年度の技能成績学年三位! 無尽蔵にも思えるスタミナで相手をじわじわと追い詰める! シン!」


一時静かになっていた音たちが、再び会場を揺さぶる。


「対するは! 昨年度の技能成績はなんと一位!スピード、パワー、スタミナ、動体視力。それら全てが高水準! 見た目に反して優等生! ノエル!」


また会場が騒がしくなる。

さっきまでの声に加えて「フゥ~」なんて声も聞こえる。


それが静まると、司会者がまじめなトーンになった。


「それでは、そろそろ決勝戦を始めたいと思います」


会場は静寂につつまれる。


「これより模擬戦、シン対ノエルを開始します」


兜を着けて、剣を構える。


「第一試合、始め!」




 二年生の全試合が終わった。

アタシはどこを歩いても優勝者として祝いの言葉を浴びせられた。


「やば、ノエル有名人だね」

「なんか恥ずかしいなぁ……」

「堂々としなって」



 毎日のように歩いていた中庭への道。こんなにも華やかなのは初めて。

ふと先の方を見ると、男の人が一人立っていた。


同学年で、決勝戦の相手だったシンくんだった。


「ノエルさん、おめでとう」

「ありがとう、シンくん」

「すごかったね。完敗だよ。まさかストレート負けするなんて思わなかったよ」

「えっへん!私の親友ノエルの力、恐れ入ったか」

「ちょっと、マイ」

「ああ、恐れ入ったよ。きっとすさまじい努力をしたんだろうね」

「まあ、それなりに」


 アイシャ先輩に大敗したアタシは考えた。

どうしてあんなにも圧倒されてしまうのか。


答えはすぐに出た。


アタシが剣を習い、先生と呼んで手本にしていたのは、騎士でも何でもない人。


そんなんじゃ先輩には手も足も出ない。


そう思ったアタシは、ユウ先輩の訓練や模擬戦をひたすら見た。

何度か講義をサボっちゃったけど。自主トレの量も増やした。

そんなことをしてたら、戦闘技能の点はうなぎ登り。


失いかけてた自信も取り戻せた。


「また今度、リベンジさせてほしい」

「えっ……うん、待ってるね」


驚いた。


アタシがアイシャ先輩に言えなかった言葉を、こんなに簡単に……。

心の中で感心しながら、マイといつものベンチに向かった。




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