表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
狙われた若王編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/269

第88話「決着」



「ヒャアアァーッ!!」

「うおおぉらあぁッ!!」

ギィンッ! ギィンッ! ガキィンッ!!



――幾十合を重ねた刃と刃の交錯。

東洋とランバルトの死闘は、もはや執念と執念の衝突に変わり果てていた。


互いの肉体はすでに限界を超え、腕には裂傷、腹部には血の筋が幾重にも刻まれている。


「はあ……ッ! はあ……ッ! どうしたんだ!! もうそれで限界かッ!?」


東洋が叫ぶ。長斬刀を両腕で受け止め、剣圧に耐えながらランバルトを煽るように挑発した。


「へはははァ! そういうお前こそ! そろそろ自分の身体が持たねぇんじゃねぇのかァ!?」


ランバルトは狂気を孕んだ笑顔のまま、短剣を交差させて押し返す。


「へッ、人のこと言えんぞ! 血だらけじゃないかッ!!」

ガキィンッ!!


東洋は気合いを込めて斬刀を振り抜き、相手の間合いから身を引く。


「次の一撃で……終わりにしてやるッ!!」


言葉の裏には覚悟と、決して揺るがぬ意志が宿っていた。


「……あァ、そうだな。なら、オレも全てをぶつけてやるよ。これで死んでも、文句は言えねえぞォ!!」


二人は再び、地面を踏み締める音と共に突き進む。



「"瞬火天烈斬"!!」

「"鋭刃滅殺"!!」

キン! キン! バキィンッ!!



衝突。

東洋の剣が紅を描き、ランバルトの肩から腹部へと深々と裂いた。

一方で、ランバルトの短剣が東洋の胸部、心臓のすぐそばを容赦なく貫通する。


「が……ッ!! ぐはッ!!」


血飛沫が夜の森に舞い、二人の戦士は同時に崩れ落ちる。


「へ、へへ……どうだ……これで……お前も……ぶはッ!!」


勝ち誇ろうとしたランバルトだったが、次の瞬間、膝から崩れ落ち、白目を剥いて沈黙する。

間違いなく戦闘不能だ。そのまま彼は動かなくなった。



「………はあッ、……か、勝った……。お、俺は……こんなところで……ッ、倒れる訳にはいかんッ……!!」



東洋は、血に染まった足元を見下ろしながら、フラつく足取りで森の奥へと戻っていく。


熾烈を極めたこの戦いに勝利を収めたのは、東洋だった。



◇ ◇ ◇



その頃、廃屋の内部では………


ミセアとリンカ、近衛兵たちがスキンヘッドの暗殺者、グレン・トゥルスを包囲していた。



「ふはははっ! お前ら………何をする気だ? 武器じゃオレに勝てないってこと、もう分かってるだろ?」



グレンは肩を揺らし、余裕たっぷりに笑う。


「そんな事、わかってるわよ」

「私たちは、魔法だけであなたを倒す」


ミセアが一歩前へ出る。杖を構え、目に宿るのは冷ややかな炎。


「はっ……魔法だと? そんなもんオレに……」

バシュゥンッ!!

ドゴォン!!


グレンが言葉を言い終わるより前に、風を切る音と共に薄緑色の魔力弾が彼の頬をかすめる。

血が一筋、顎を伝って落ちた。

一瞬の出来事に、思わず目を丸くするグレン。


「なっ……! う、動きが……鈍っ……!?」

「ふふ、意外と効くみたいね。リンカ、ありがとう」

「うん、任せて」


リンカが少し汗を滲ませながら頷いた。

何が起きたのかを理解したグレンは、顔をしかめながら足を引く。

どうやら二人が彼へ魔法を放ったらしい。

特にリンカの方は、視覚的にわかりにくい種類のものをかけた模様。


「な、なるほど……魔法使いだったか。だが、そんな小細工で……オレに勝てると思うなよ!!」

「あら、それはどうかしら」

「…………!!」


しかしミセアがそれに対して冷たく呟く。

次第に杖の先に小さな炎が灯っていく。

それを目にして、グレンは前のめりになる。


一方で、近衛兵たちは指示もなく自然と動き出していた。

二人の兵士が物陰から回り込み、グレンの死角へと入り込む。


「今だ……!!」

ガシッ!!


すると突然、彼らは自分の命を省みずに、グレンの両足首を掴むように飛びかかる。

二名の近衛兵が、彼に武器の無い状態で足元を抑えにかかった。


「なっ!? て、テメェら! 何しやがるッ!!」


いきなりの事に驚いたグレンだが、いくら足掻こうとも二人はその手を離さない。

しかもリンカに魔法をかけられたせいで、余計に身動きが取れない。


「ミセア! やれ!!」

「こいつは……オレたちが押さえる!!」

「……分かったわ。準備は整った」


グレンの足を掴んだ彼らは、ミセアへ託すように呼びかける。

率先して危険な役回りをこなす事を選んだ彼らの覚悟。

それを承諾した彼女の杖には、既に直径一メートルの火球が完成していた。



「"火球(ファイアーボール)"……。逃がさないわよ」

「待っ……! そいつらも巻き込む気かァ!!」



彼女の放つ魔法は"火球(ファイアーボール)"。

辺りを照らす灼熱の火炎の球体が、杖の先から生成されたのだ。

しかし、それを目にしたグレンは、命乞いより前に味方をも巻き込みかねない状況に驚いている。



「ふふ……だからこそ、リンカがいるの」

「"救出(レスキュー)"!」



だが、彼の疑問に答えるかのようにミセアが告げた。

薄く微笑み、まるでリンカを信頼するかのような笑顔を浮かべて。


ボウッ!


瞬間、ミセアの杖から火球が勢いよく放たれた。

だが、放たれた直後、リンカの魔法が発動。


着弾する寸前のところで近衛兵たちの姿が一瞬にして掻き消え、火球の直撃範囲から脱出した。


「ば、馬鹿なあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

ゴオオオオォォォッ!!

ドシュゥーーーンッ!!


火球がグレンに直撃。

黒煙と炎が天井を焦がし、大広間が一瞬で灼熱に包まれる。


そして……その中心にいた彼は、一人黒焦げとなって崩れ落ちた。


「…………終わった」


ミセアが息を吐き、杖を下ろす。


「リンカ……よくやったわね」

「うん、なんとか……。でも、MPも体力も限界……」


リンカは少しふらつきながらも、笑顔で応えた。

そう、これが彼女達みんなで思いついた作戦だったという訳だ。



「……さあ、あとは国王様を救い出しましょう」



ミセアは静かに言うと、鎖に繋がれたままぐったりと項垂れるセルフィスへと歩み寄る。


戦場と化した大広間には、ようやく静寂が戻っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ