第81話「誘拐の経緯」
今回も3回投稿します!
「セルフィス王が………連れ去られた、だって……ッ?」
アリアナの沈痛な一言に、東洋は思わず声を上げた。
目を見開き、理解が追いつかないまま、椅子の背に手をかける。
「はい……。三日前のことです」
王妃アリアナは、ゆっくりと口を開いた。
「突然、正体不明の男たちが城内に侵入し……多くの兵士たちを殺害した後、セルフィス様を拐っていきました」
「その際、私とオルベンスは敵の放った無属性魔法――“スリープ”を受けて眠らされ、抵抗すらできなかったのです……」
語るうちに、アリアナの声が震える。
彼女は悲しげに目を伏せ、オルベンスは悔しさを堪えきれず、唇を噛みながら視線を逸らした。
「……そんな……ッ!」
東洋の拳が膝の上でぎゅっと握られる。
「俺が……もっと早く気付いていれば……ッ! クソッ……!」
唇を噛み、東洋は自分を責めた。
どこかに異変の兆候があったのではないか。それを見落としていた自分が、許せなかった。
「東洋さん……!」
アリアナが身を乗り出す。
その瞳には、切実な願いが宿っていた。
「あなたの実力を信じています。どうか、どうかセルフィス様を助けてください……!」
「……………」
東洋は一度、深く息を吸い込む。
そして、はっきりと顔を上げて――
「……分かった! 絶対に、セルフィス王を助け出してみせるッ!!」
その言葉に、アリアナとオルベンスは一斉に安堵の息を漏らす。
「あ、ありがとうございます……!」
「本当に……頼もしい……!」
そして、東洋はすぐさま立ち上がり、問う。
「で、奴らはどこへ逃げたッ!?」
「西方だ! 王城から西に向かって逃走した。……その先には我が国の国境がある。恐らくは、越境して国外へ逃げるつもりだ!」
オルベンスがすかさず答える。
情報が本当なら時間が無い。一刻を争う状況だ。
「なにッ!? なら尚更急がねえと……!」
その話を聞いた東洋はより表情を引き締めると、即座に部屋から飛び出す。
「待ってろよセルフィス王ッ! 必ず俺が助け出してやる!!」
扉が音を立てて閉まる。
アリアナとオルベンスはその背中を見送りながら、静かに祈るように呟いた。
「……どうかご無事で、東洋さん……」
「頼んだぞ、東洋君! 王を……我が君を連れ戻してくれ……!」
◇ ◇ ◇
……因みに、今の東洋のステータスは以下の通りである。
【名前】 東洋 五郎
【性別】 男性
【種族】 人間
【職業】 冒険者
【年齢】 18歳
【体調】 健康
【Lv】 21
【HP】 476
【MP】 13
【ATK】 395
【INT】 32
【RES】 207
【DEF】 273
【SPD】 228
【CHM】 186
【MOT】 160
【LUK】 234
【DEX】 167
【総合力】 2,025
冒険者としての活動を始めてから約一ヶ月。
幾多の魔物と戦い、剣を振り続けてきた結果、東洋の実力は驚異的な速度で伸びていた。
ご覧の通り、今や彼はLv23。総合力も2000を越え、実力者としてギルド内でも一目置かれる存在に成長していた。
その為……「自分なら救える」と、彼は迷いなく思えるようになっていたのだ。




