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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
騎士団入団編

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第76話「総隊長の自己紹介」

これで最後です!



「えっ!? ド……竜喰い(ドラゴンイーター)!!?」



竜喰い(ドラゴンイーター)と自ら名乗った黒髪の総隊長。

するとその時、彼の言葉を聞いた北本以外の三人は、雷に打たれたように目を丸くし、硬直した。


「……? どうした、お前ら何でそんなに驚いてんだよ?」


しかしそれは、北本にとっては訳が分からない。

ぽかんとした顔で彼らに問いかける。


「きっ、北本くん!? ………知らないのか!?」

「はあ? 何を?」


セシルが驚愕した表情で聞き返すが、北本は全くピンと来ていない。

その様子に、セシルは視線を逸らして何故か頭を抱えた。


「おいおい!? いくら転移者だからってアレ(・・)ぐらい知ってなきゃおかしいって!?」


ネイヤスも目をひん剥いて叫ぶ。まさにあり得ない、といった様子で。

どうやら彼らにとっては常識レベルの話らしい。


「……いや、だから何が? お前らもっと具体的に言えよ」


北本は三人の反応の大袈裟さにやや苛立ちつつも、きちんと問い返す。

彼らに一体何が言いたいのか、といった風に聞く。


「"竜喰い(ドラゴンイーター)"よ! レブル王国の国民なら誰もが知る英雄の異名(・・)! ホントにあんた……何も知らないの!?」


今度はディローザが身を乗り出すようにして訴えかけてきた。

その熱量に、北本もようやく話のスケールに気付く。


「うわー、マジか……そんなすごい称号だったんか。“竜喰い”って」

「ほ、本当に知らなかったなんて……」


北本が感心したように口を開いた。

彼は完全に初耳だったが、逆にここまで有名だと知ると、無知を通り越して面白くなってきた。

北本のそんな返しにディローザは呆れ半分、驚き半分の声を漏らす。


「………、どっ、ドラゴンイーターさん! あ、あなたは……本当に、かの有名なレブル王国の英雄……、なんですか!?」


そんな中、セシルがやや震えた声で本人に直接尋ねる。



「……いや、たしかにそうだが、それはもう昔の話だ。……それに、私はそれほど優れた騎士ではないさ」



だが、彼……ドラゴンイーターは淡々と、しかしどこか寂しげに答えた。

自分自身を決して高く評価せず、抑え目な声色で控えめな自己評価を下す。


「ええ? ど、どういう事っすか?」


二人の会話を聞いていたネイヤスは、困惑したように口を挟む。


「………確かに私は、君たちの言う通り、先の戦で多くの凶悪なドラゴンを斬り伏せた」

「結果……その戦果が評価され、竜喰い(ドラゴンイーター)という呼び名を与えられた」


さらりと語られた言葉だったが、北本の頭にはその一節だけが妙に引っかかった。



(……おいおい。今、さらっと”ドラゴンを斬った”とか言ったよな……? そりゃあ”竜喰い”なんて異名も付くわけだよな……)



あまりに現実味の無い話の内容に、思わず北本はドラゴンイーターの顔を二度見する。


「……だが私は、騎士になる以前の記憶がないんだ。本名も、生まれた場所も、家族も……何一つ分からない」


ドラゴンイーターは静かに、話を続ける。


「つまり、“竜喰い”と呼ばれる前まで、私は名前すら持たなかったということになる」


この言葉を口にしたと同時、場が一瞬、静まり返る。


「な、名前が、無い……!?」


セシルが思わず絶句する。


「うぇーー!? マジっすか!?」

「う……嘘、でしょ……?」


ネイヤスとディローザも、思わず同時に声を上げた。


(記憶喪失……ってやつか。この感じ、嘘ついてる感じじゃねぇな……)


北本はドラゴンイーターの表情を見つめながら、その言葉が本心から出たものだと感じ取っていた。


「……だから私は、“名無し”と同じようなものだ」


フッと笑みをこぼし、自嘲気味に彼は呟いた。


「そ、そんな……」


セシルが言葉を失う。


「でも、今はこうして騎士として剣を握っている。過去が無かろうと、名が無かろうと――誇りを持って生きているつもりだ」

「名など何の苦にも感じていないから、もはやそれで十分だと、私は思っているよ。……では、改めて。明日から共に戦う仲間として、よろしく頼む」

「「はい!!」」


北本以外の三人が、揃って元気よく返事をする。



(ふぅ。………すげぇ奴がいたもんだ)



◇ ◇ ◇



「ーーさて、これで全員の自己紹介が終わったな」



ダクターが声をかけ、全員の視線が自然と集まる。


(……ふう、やっと一通り終わったか。にしても総隊長ってのは、どいつもこいつも……濃いな)


北本は、他四人の総隊長達の自己紹介を回想する。

彼らもドラゴンイーターに負けない、否、それ以上の個性的な面子である。


(まず………紫髪の死人みてえな顔色した奴。第2騎士隊の総隊長“ウラド・ミラーヴィス”。……あれ、完全にアウトだろ)


最初に、総隊長の一人、紫髪のヴラドという男は自ら「魔物解剖が趣味」と言い放つと、周りを気にせずにたりと笑っていた。

大方まともな感性ではない。


(いや……“サイコパス”って単語、久々に脳内に出てきたぞ……)


次に浮かんだのは、藍色髪の目つきの悪い青年。

名は”スレイン・リンクベイ”、第3騎士隊の総隊長だ。


(あいつ………オレらのこと、ガチで見下してたよな……)


彼は「総合力が1000以下なんて論外」や、「お前ら本当に騎士になる気あるのか?」など、矢鱈と北本達四人を煽り蔑むばかりだったという。


(煽り性能高すぎだろ……オレより余裕でひねくれてるとか、マジ勘弁してほしいんだが)


(他の二人はオレが知ってる奴らだな、まず左端にいたデb……、スキンヘッドの巨漢は“ケイオス・バーミリオン”、第4騎士隊の総隊長って言ってたが)

(あれは……一言でいうなら、デカくて優しい)

(「同じ隊になったら飯奢ってやるからな〜」と満面の笑顔で言っていたが、むしろそっちの方がこっちの胃を圧迫してくる)

(……そのまんま、太っ腹ってか。文字通りな)


(最後、一番右に立っていた金髪の美形騎士。“ルト・メイラー”、第5騎士隊の総隊長らしいが)

(いや……あれは見た目が完全に女だった。おとなしめで、礼儀正しくて、声も顔も、完全に”それ”だったわ)

(だが………、「実は……僕、こう見えて男なんです」と言われた瞬間、全員が固まった)

(いやいやいやいや……騙された。あれはもう、反則だろ……!)


と、総隊長についてまとめると、北本は額に手を当て、心の中で叫んだ。



(……ほんとに総隊長ってのは、ろくな奴がいねぇな!!)



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