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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
騎士団入団編

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第74話「総隊長」

今週は三連続投稿します!



「………"総隊長"?」



講座を終えた北本たち四人は、ダクターの先導で騎士団の訓練場へと向かっていた。

道すがら、ダクターはいつものように、四人に唐突に説明を始める。

その内容は勿論、騎士団についての話だ。


「ああ、このフィブリア騎士団にはな、それぞれ階級があってな」

「まずは、一番下が”一般騎士”……まあお前らみたいな新入りどももここに入る。その上が”分隊長”、さらに上が”部隊長”になる。そして、もう一つ上に”隊長”という役職がある」

「んで、さらにその上、騎士団内でもたった"5人"しかいない、全部隊を束ねる資格を持つ――それが”総隊長”だ」


レアーノ基地の正門近くを歩きながら、彼は眠気を引きずる四人に、総隊長とは何たるか、および団における階級ピラミッドを叩き込んでいく。


「な、なるほど……、たしか聞いたことがあります……。この団には、団長以外にもナンバー2が複数いる、と……」

「"もしオレがその”総隊長”になったりしたら……! 給料どんだけ跳ね上がるんだ!? はぁ〜ワクワクするなぁ〜!」


そう言えばといった表情をしながら、セシルは腕を組んで納得したように頷いた。

また、二人の話を聞いたネイヤスは、目を輝かせ願望丸出しで期待と憧れを膨らませる。


「ネイヤス、あんたってホント金に目がないのね」


その様子にディローザは呆れ、肩をすくめた。

北本は、そんな会話を横目に見ながら、なんとなくイヤな予感を覚えていた。


「で、ダクター。今から向かう訓練場には……、その総隊長たちがいるってことか?」


嫌々ながらも彼はダクターに確認を取る。


「そもそも総隊長ってのはな、お前らがこれから配属される騎士隊(・・・)を取りまとめる役目を持っている」

「挨拶も無しに隊へ入り、現場に出させるわけにはいかんだろう?」


新人なら同じ組織の上司に顔を合わせるのは至極当然、といった感じにダクターは返答した。


騎士隊(・・・)……。団員およそ1000人ほどで構成される大隊……、"第1"〜"第5"の五つあるというアレか……」


"騎士隊"という言葉に反応し、セシルが小声で呟く。


(やっぱそう来たかよ。マジかー、あぁ面倒だなあ……。何で初日からいきなり新人社員とかがする挨拶回りみてぇな事をやんなきゃならねぇんだよ全く……)


北本は無言でため息を吐きながら、ダクターとセシルたち三人の後を、重い足取りで追いかけるのだった。



◇ ◇ ◇



「着いたぞ。ここに総隊長の…………って、ん? あいつら……、まだ来ていないようだな」



少し移動した後、北本たちは訓練場へ到着する。

だが………、そこにあるべきはずの総隊長たちの姿は、どこにもなかった。

想定外の出来事に、ダクター以外の全員が困惑した顔でしばらく立ち尽くす。


「……っ! あー、そうだった」


少し間を置いてから、ダクターがハッと思い出したように目を見開きぽんと手を打つ。


「今朝からあいつら護衛任務に出てたんだったな。この時間だと、戻るまであと二時間はかかるな」


どうやら総隊長達は皆、王侯貴族の護衛任務で忙しい身のようで、時間には間に合えていないとのこと。


「え……、じゃ、じゃあ……総隊長たちは……?」


それを知ったセシルが呆然と尋ねる。


「……まだ仕事中ってわけだ」


この言葉に、ダクターは首を横に振るだけだった。


「う、ウッソだろー!?

 オレらここで……二時間も……待機すんの!?」


ネイヤスも両手をバタバタさせながら叫ぶ。

当然だが、5人とも今から来れるはずもない。


「あと二時間……、ってことは、総隊長たちと顔合わせる頃には、九の刻を回るわね」


そしてディローザは、彼らが戻ってくるまでにかかる時間を静かに計算。

いかに長い事待つことになるか、それを痛感させられる。


(うわ、まじかよ……。だりぃ……)


北本はうんざりとした様子で頭をかきながら、周囲を見回す。

目に入ったのは、訓練場の端に設置された、少しばかりくたびれた休憩用の長椅子。



(はあ、面倒くせえなあー。けど仕方ねぇ……。どうせ待つならあのベンチに座って待つか……)



彼女達の話を聞いた北本は、疲労感と煩雑さの入り混じった複雑そうな印象を受ける面持ちで深いため息を漏らす。

ダクター達の会話を終えると、ふらふらと静かに歩き出し無言で長椅子に腰掛けた。


 (……ふぁぁ……。初日からコレかよ。やってらんねぇっての)


空を見上げると、うっすらと朝焼けの名残が漂っていた。

北本は長い長い待機時間の始まりを、迎えることになるのだった。


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