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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
騎士団入団編

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第71話「戦兵の儀」

5連続投稿三発目です!



「入団試験に合格した者たちは皆、今夜22の刻から行われる”戦兵の儀”に参加する決まりだ。無論お前達も出てもらう」



ダクターは、合格を告げて安堵していた北本たち四人に向き直り、このように告げた。

何やらこの後、儀式のようなものに参加する事になるらしい。


「んお? "戦兵の儀"って何すか?」


その話を聞いた北本の同期・茶髪の青年ネイヤスが首を傾げ、やや飄々とした態度で尋ねる。


「このフィブリア王国の軍や我が団に入った兵士や騎士が参加する、国王陛下直々に取り行われる神聖な儀式だ」

「……これから団へ入団するお前たち新人に厄払い、つまり、災いを遠ざけるためのものだな」

「国王様がオレたちにはない特別な力を使って、お前らの運気を高めて下さるんだ。これを受けずに入団など許されんぞ」

「え、え……? こ、ここ、国王………様ぁ!?」


ダクターは簡潔に、しかし重みのある口調で説明した。

話によれば、儀式は国王自らが主導して北本たちへ祈願をしてくれるようだ。

それを聞いた途端、ネイヤスが態度を一変、顔を強張らせる。


「じゃ、じゃあその儀式が行われる場所は、つまり………?」


ネイヤスの隣で話を聞いたディローザが、恐る恐る尋ねる。


「ああ、儀式は"レブル王城"で行われるという事になっている」


ダクターは頷きながら答えた。

戦兵の儀を行う場所……それは"レブル王城"。

なんと、騎士団の基地などではなく、王の住まう城の中で行われる事になっていた。


(う、うわ、マジかよ。また移動しなきゃならねぇのか……、しかも城の中て………。やるってのは分かるが、何でここで行わねぇんだ……?)


その言葉に四人全員が驚愕した。

否、北本の方は、むしろ儀式を会場か基地でせず、王城で行うという事について相当な煩雑さを感じていた。

とは言え文句を垂れつつも、儀式を行うことの重要さは彼も十分理解している。


「ま、まさかぼくたちが国王様に会えるだなんて……!」

「騎士団が国王直属の王都防衛組織だって聞いたことあるが、ほ……本当だったとは………」


対照的に、ダクターの言葉を聞いた他三名は驚愕と共に興奮を抱いている。



「まあとにかく……、今日の夜22の刻から戦兵の儀は行われる。それまでに各々心の準備をしておくようにな?」



一言、ダクターが四人へ言い残すと、先んじて会場を後にする。

それを皮切りに北本達も会場を出て、儀式が始まる時刻近くになるまで待つ事になった。



◇ ◇ ◇



(デッケェ城だな……、一人で来たら絶対に迷うヤツだろコレ)



それから数時間後、北本たちは王都カルアーノの中心部、レブル王城に到着していた。

夜の城は明かりが灯され、荘厳な雰囲気を放っている。


「この城の二階に国王陛下はおられる。分かっていると思うが、くれぐれも粗相のないようにな」


ダクターを先頭に北本、セシル、ディローザ、ネイヤスの順で一列に通路を歩く。

国王の拝謁を前にして、先頭を歩くダクターが改めて四人へ念を押した。


(国王か……。一体どんな奴なんだろな……)


わずかな緊張を覚えながら、北本はダクターに続く。

城の通路を歩き、一行は時折衛兵に挨拶を交わしつつ、国王のいる場所を目指す。



◇ ◇ ◇



「よくぞ来たな……、新兵達よ……」



城内を進む北本達、彼らは玉座の間へ到着。

そこで深々と座る初老の男ーー、国王と対面した。


「わたしの名は"ファーロンド・オルス=トリアン"。見ての通り、この国の国王だ」

「君たちが入団試験に合格した事は知っている。見事あの難関の審査をクリアし、実力を認められたものだな」


国王の彼は深い蒼色の髪と髭をたくわえ、王冠を戴き、白い毛皮付きのロングコートを纏った、まさに”王”と呼ぶにふさわしい威厳を漂わせている。

彼は目の前で立て膝をつき跪く北本達四人に自己紹介を行うと、彼らの才覚と功績を称えた。


(す、すげえな。オレが想像した通りの奴だった……)


ファーロンド、と言った国王のその容姿は、正に北本の想像と合致する王様像。

その事に北本は少なからず驚く。



「………国王陛下、早速ですがこの四人に戦兵の儀をお願い致します」



ダクターは四人の様子を見てから、ファーロンドに一礼し、儀式の開始を願い出る。


「ふむ、よかろう。……皆、我が側へ」

「「……はい!!」」


ダクターの申し出を受け、ファーロンドがゆっくりと立ち上がる。

そして、北本達へゆったりと手招きする。

北本以外の三人が応じ、彼の近くへ集う。


(そろそろ始まるのか。果たしてどんな儀式なのか……)


北本もそんな思いを胸に、三人に続き玉座の前に向かった。



「んんっ! この者たちに輝かしき躍動を! 邪悪なる災厄を寄せ付けぬ強運を!! …………はっ!!」



すると、ファーロンドがコートの中から取り出した杖を天へ掲げ、力強く詠唱を始める。

直後、紫色の宝石が光を放ち、眩さに思わず目を瞑る四人を包み込んだ。


「…………これで戦兵の儀は終わりだ」


少しして、杖の光が収束し、ファーロンドが短く告げる。

その合図を聞いて、北本たちは目を開けて彼へ視線を向けた。



「……ふっ! ふはははっ! 意外に早く終わったと思うだろう?」



再びファーロンドの顔を見た四人はまたもや驚く。

彼の表情は笑顔、先ほどまでの威厳と堅物さはどこへやら、唐突に笑い出して口角を吊り上げながら儀式の短さに言及する。



「実はな……この儀式、運気を高めるのは確かだが………、逆に悪運の方はどうやらそのまま残るらしい。だからあまり過信しない方が良いぞ?」



続けて運気について語り出す。

今の儀式の効果、幸運も悪運も寄せ付けてしまうようだった。

最後、注意を促すも、儀式の後から言われてもどうしようもない。



「「え……、ええぇーーーーーっ!?」」

「はあぁーーー!?」



当然と言うべきか、ダクター以外の四人は声を揃えて絶叫した。

側から見ても分かる通り仰天し、苦笑いするファーロンドを置いて王城内に彼らの叫びが響き渡った。


何はともあれ……こうして、北本たちの戦兵の儀は、無事?に終了したのであった。


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