第70話「入団試験の結果」
5話連続投稿二発目です!
模擬戦・第四試合は北本の勝利で終わった。
ダクターは北本たち受験者"四名"を、訓練場から試験の説明を行った場へと集合させている。
試験開始当初は大勢の人衆で盛況していたのも、場内に残るは6、7人と極僅かしかいないせいで閑散としている。
「……入団試験はこれにて終了とする。まずはお前たち、ご苦労だったな」
集まった四人に、ダクターが入団試験の終了を告げる。
(やっと終わったか。はあ、なげえ試験だったなぁ)
北本は大きく息を吐き、二階の演説台を見上げながら思った。
「たった今、この場に残っているお前たち、つまり三つの審査全てをクリアした受験者のみが、我がフィブリア騎士団へ入団する事ができるという事だ」
「……まあ、そのお陰で何百人もいたお前たち以外の受験者は、ほぼ全員が失格となってしまったが」
ダクターが改めて北本達に向けて、試験のシビアさを語る。
三段階に分けて進行した入団試験……、それら全てを潜り抜けたのが今こうして彼の話を聞いている四人なのだ。
だが、この厳しい難易度のせいで、大量に失格者が出てしまった、と少しばかり悔やむ表情を浮かべる。
(……そうか、オレ含めて"四人"しかいねえのか)
北本は辺りを見渡し、自分たちがいかに少数であるかを実感する。
「だが、入団試験とは本来こうあるべきなんだよ」
「なぜなら…… このカルアーノの治安を守る”フィブリア騎士団”は、アルメシア有数の実力と名声を誇る騎士団だからだ!」
ダクターの声が広場に響き渡る。
フィブリア騎士団――その名に恥じない者だけが、ここに立つ資格があると目の前の全員へ思い知らせる。
「………お前たちにもう一度問おう、我がフィブリア騎士団に入団する覚悟はあるか!?」
入団するだけで相応の実力と才能があるか問われる騎士団、それに入団する気でいる北本達に対し、ダクターが真剣な面持ちで聞く。
「「はい!!」」
間を置かずして、四人は声を揃えて広場に響き渡る程の大声で応えた。
声量から、その覚悟の深さをダクターへ伝える為だ。
(あー、恥ずかし……。他の奴らに合わせたけど、敬語とかマジ落ち着かねえ……)
その際、北本も他の三人と同様に敬語で返答した。
だが普段敬語など使わない彼にとってかなり羞恥を覚えたらしく、終始 目線を逸らしつつ、小洒落た返答にむず痒さを覚えたという。
「……よし、良い返事だ。お前たちは立派な騎士になれるだろう」
「――ところで、まだ名前を聞いてなかったな。……全員、教えてもらおうか」
ダクターは微笑みながら、ついでとばかりに受験者たちへ名乗るよう促した。
◇ ◇ ◇
「ほう………皆、なかなかいい名前だな」
四人それぞれの名を聞き終え、ダクターは感心したように頷いた。
(オレも名乗ったけど、転移者関係で何か言われるかと思ったら、特に何もなかったな……。受験者連中も別に興味なさそうだし)
四人が名前を明かした際、北本も名乗った。
彼が転移者だという事に驚かれるか、と思いきやそれに関してはほぼ言及がない。
聞いた時の反応も逆で、ダクターからは捻った名前だなと言われるのみに留まった。
深く考えても仕方ないと内心で肩を竦め、一旦その疑問を頭から追い払う。
(えーっと……オレの隣の金髪が”セシル・ランバート”、その隣、茶髪でチャラそうな奴が”ネイヤス・ウィークレイ”、一番端の赤髪の女が”ディローザ・キャルラス”……だったか)
また、このとき知った同期たちの名前を頭の中で繰り返し、忘れないように刻みつけた。
「よし。お前たちの名前は把握した。――では、いよいよ試験の結果発表だ」
ダクターは少し間を空けて、次の言葉を紡ぐ。
「全員――合格だ!」
「!」
「よって、明日より正式に、フィブリア騎士団の団員として職務に励むように!」
その言葉に、広場に緊張と歓喜が入り混じった空気が広がった。
北本もまた、その一員として新たな門出に立たされていることを実感し始めた。
北本の騎士としての道が、今ここに始まるのだった。
次は9時10分に投稿します!!




