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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
騎士団入団編

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第67話「完走」

三連続投稿二回目です!



「ふっ……ふっ……ふっ!」



第2審査が始まってから少しして、北本は訓練場に延びる土の道を一定のペースを保ちながら走っていた。


(……本当ならもっと早く走れるんだが、もしそうした結果、逆に他の奴らよりも目立っちまったら面倒な事になるしな)

(取り敢えずは……、前の連中がくたばるまでこのペースで走るか!)


実はどうやら彼は、今より早く走る事が可能なようだ。

しかし、もし走行ペースを上げすぎた場合、他の受験者らよりも目立ってしまい後々面倒事になりかねないと考え、彼はある程度スピードを抑えて走っているのだという。


「……はっ! はっ! ………!!」


北本が速すぎず、遅すぎずの安定したペースで道を走っていると、彼の前方を行く受験者たちの足取りが急に鈍くなってきた。


「も、もうダメだ……。限界だ……!」

「これ以上走るなんて……、む、無理!」

「く、苦しい……肺がぁ……! ギ、ギブアップ!!」


そしてそのうちの三人が、一様に苦悶に満ちた顔を浮かべ、動かしていた足を止める。

彼らは悲鳴を上げると共に、道端一定距離に各一名配置されている試験官へ、審査のリタイアを申し出た。


(もう失格者が出たか……。早いな、オレはまだ5周目だぞ)


それを目にした北本は、試験の厳しさを感じつつも彼らの横を通り過ぎて行く。

自分も同様に落とされないよう、むしろ気を引き締めて走りに意識を集中させる。



「ふっ! ふっ! はっ……!」



第2審査が始まり、さらに一時間は経った。

結構な距離を走っている筈だが北本は全く疲弊した様子も無く、序盤から常に速さを維持し、安定した走りを見せていた。


(随分と減ってきたな……、最初ん時はオレの後ろに数十人くらい居たはずだが、今はもうほぼいねぇじゃねえか)


ふと、彼は道の後方をチラリと見る。

本来なら彼以外の他の受験者もいるところなのだが、そこにはたった二人しかいない。

走行ペースも低めで、次第に距離が空きつつある。

この事実を知った北本は少し不憫に思う。


(そういや今……、何周目だっけか?)


しばらく道を進みがてら、今の周回数を一度頭に入れておこうとする。


(んーーと、……あ! だいたい思い出した、もうこれで"38周目"くらいか!)


足を止めず走り、中間地点へ差し掛かったところで、今まで何周したかを北本は大まかにだが思い浮かんだ。

あと残り12周で審査が終わる。彼はもうそこまで来ていた。

そうなると俄然やる気が沸いたのか、ペースを早め、他の受験者らよりも先に進み始めた。



◇ ◇ ◇



「……ん? やっときたか。あの受験者は確か……」



第2審査が始まってから、さらに二時間が経った。

団長ダクターは、試験管と地平線を見据えている。

北本達がスタートした地点、その場所から誰が来るかを待つ。


すると、真っ直ぐ延びる道の彼方から、こちらへ接近する人影が現れる。

と思えば、その者はあっという間にゴールまでの道を駆け抜け、一気にスタート地点へ到着した。



「ふぅー、終わったー」



一体誰だ……、とダクターが見てみれば、その受験者は誰あろう"北本"であった。


「おぉ、誰かと思えばお前か! ……ほう、どうやらこの審査で一番最初にゴールしたようだな」

「……んあ? 団長か、おいおい……俺が一番目って事か?」

「そういうことだ、とはいえお前が誰よりも早く完走するとは思いもしなかったが」


一息つき、道端へ移動して呼吸を整える北本。

そんな彼にダクターはふむふむと感心した様子だ。

それもそうだろう、北本がゴールしたのは決して普通の事ではない。

彼以前に完走を果たした者は一人もいない。つまり一番乗りである。

他の追随を許さぬ独走状態で、試験を最後までやり切った。


「へえー、ま、オレは本気で走ってた訳じゃないんだけどな」


だが彼は、この第2試験において、あまり本気を出していなかった。

実際のところ、汗をだくだく流しているかと思えばそうでもなく、呼吸は荒いどころか走った直後だと言うのに終始落ち着き払っている。


「……!! はっはっは! 驚いたな、……まさかこの審査を余裕で突破できる者がいたとは」


そんな北本の言葉を受けて、ダクターは大笑いする。

よほど彼のような受験者が珍しいのだろう。



「大袈裟だぜ団長、確かにオレはまだ余力を残してるけどよ……、流石に少し疲れたわ」

「ほう……、そうか、取り敢えずは他の受験者逹が完走するまで、この辺りで休め。恐らくもう少し時間はかかるだろうが……」

「ああ……、わかった」



こうして、北本との話を終えたダクターは再び地平線へ顔を向ける。

シンプルに体力勝負となる二番目の試験……、次なる合格者はいつ来るかをダクターは待つのだった。


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