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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
騎士団入団編

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第63話「擦れ違い」

お待たせしました!

今回から日曜の朝8時30分に投稿します!



「おい、マリバ!  "フィブリア騎士団"ってのはこの辺にあるんだよな?」



シレーノから王都へ到着し、賑やかな街道を歩き始める北本とマリバ。

王都カルアーノ……フィブリア王国の中心として、ここには数えきれないほどの人が住み、店を構え、活気に満ち溢れている。

繁栄を極めるこの街に、「騎士団」なる組織があると聞きつけ、シレーノから馬車で遥々やってきたわけだが、この「騎士団」へ入団を目指すのが今回の北本の目的だ。

さっそく、彼はマリバの先導に任せて、騎士団の拠点へと向かう。


「ええ。この道をまっすぐ進み分かれ道を曲がれば……、王都の中心・ロッキーズ広場に出ますよ。で、さらに西に進んで行くと、団の宿舎や訓練場、そして入団希望者が『入団試験』を受ける会場に着きます!」


マリバがその問いに応じ、道の奥を指さして丁寧に説明する。

なるほど、目的地は本当に街の中にあるようだ。


「なるほど、そんなに遠くはなさそうだな。で、その『入団試験』ってのは何やるんだ?」


目的地はそこまで時間がかからない距離だと知り、北本が納得を示す。

だが、説明の中で入団試験と聞き、彼は首を傾げ疑問を投げる。


「『入団試験』は、総合力が『300』以上の人が受けられます。騎士としての素質や能力があるかを確かめる試験ですね」


マリバが淡々と答える。

説明によると入団試験は、総合力が"300"を超える者が受けられるらしい。

騎士としての能力や適性を測り、団に有益な人材かどうかを確かめる為に行う。

マリバは試験の趣旨を説明した。


「ほぉ、そんなのがあるのか。面倒くせぇな……」


その説明を聞いて、北本は視線をちらっと横に逸らし、煩わしげにつぶやく。


「もちろん、北本さんも受けますよ! この試験をやらないと入団なんて無理ですからね!」


マリバがニヤリと笑ってその言葉に補足を入れる。

北本が試験を避けようとする気配を感じ取ったのか、彼を逃がさないように釘を刺した。


「はぁー、やっぱそうなるかぁ……。ちくしょうめ」


北本はわかりやすく肩を落とし、大きなため息をついてうなだれる。

面倒そうな顔で小さく舌打ちし、渋々受験の覚悟を決めた。


「ん……! 16の刻29針……。北本さん、急ぎましょう!  試験開始まであと30針しかないみたいです!」


すると、マリバがふと西の方角を見上げた。

その目線の先にあるのは王都中心に建つ時計台。

時刻は長針と短針がそれぞれ4と6の近くを指している。

現実世界ならば今の時間は16時20分過ぎ、しかしここは異世界。この世界固有の呼び方があった。

時刻の表現は"時"が刻、"分"が針だ。

マリバはその世界式の呼称を用いて今の時刻を口にすると、その途端歩みを早くして焦り出す。


「あ? 試験って17の……17の『刻』からなのか?」


その言葉に北本は思わず日本で使う「17時」と言いかけそうになり、慌ててアルメシア固有の言い回しに訂正して聞き返す。


「そうです! 少し走れば間に合いますよ。会場の近くに市場があるので、そこまで急ぎ足で移動しましょう!」


彼の疑問にマリバが答え、頷く。

そして、試験会場はほど近いと知らせ、速やかなる移動を推進し街道を突き進む。



◇ ◇ ◇



「……! マリバ、あの市場の近くに会場があるんだよな?」



街中を走り続け、北本とマリバは息を切らせながらも、ようやく入団試験の会場近くにある市場街にたどり着いた。


「はい! あそこからさらに奥に進んだ先に会場があります。行きましょう、北本さん!」


市場は人で溢れかえり、出店では商人が武器や食材、服などを並べて大声で売り込んでいた。活気にあふれるその光景は、見ているだけで圧倒されるほどだ。

ただ、その賑わいのせいで道が狭くなっている。

しかしマリバはそんなことを気にする余裕はないとばかりに市場の奥が目的地だと言い残し、人混みを掻き分けて早足で進み始めた。


(はぁ、人がめっちゃ多いな……。マリバのやつ、大胆すぎだろ。ちっ、面倒くせえけど俺も行くしかねぇか!)


北本は市場の喧騒に眉をひそめつつ、マリバが躊躇なく突き進む姿に呆れ半分に思う。

しかし悠長にしてはいられない。彼の後に続き人混みの中へ突入して行く。


「結構美味しそうだから買おうよ〜」

「いやいやいや! それ以上はダメですって! 買いすぎですよ!!」


市場を進む北本の耳に、男女二人の楽しげな声が飛び込んでくる。

マリバを追いながら、ついその声の方向に目をやった。


「そんな多くは買ってないよ、オラは〜?」


そこには、スキンヘッドで穏やかな笑みを浮かべた高身長の巨漢が立っていた。見るからに目立つ存在感だ。


「明らかに爆買いしてます! もうこれくらいにしておきましょう!!」


その隣には、透き通るような金髪に赤いハンチング帽をかぶった美少女が、やや呆れた声で彼をたしなめている。

二人は串に刺した肉を売る出店で買い物を楽しんでいるようだ。



(……! って、もうマリバがあんな先に! 急ぐか!!)



その二人に一瞬気を取られた北本だったが、ふと視線を戻すと、マリバの姿がすでに遠くに小さくなっていることに気づく。

慌てて思考を切り替え、二人から目を離して試験会場へと急ぐ。


まさか、のちに彼ら二人と実際に会う事になるとは、この時の彼はまだ知らなかった。


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