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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
冒険者編

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第47話「グリードの仲間たち」



「よーし、着いたぞ伊村っ! ここで俺の仲間たちが待っているんだっ!!」



グリードが伊村を連れギルドを出てどれくらい経ったか……。

彼らはギルドから離れ、高台に位置する市街地の中心部へ来ていた。


「や、やっと止まりましたか……。ここは一体何処なんです?」


グリードが走り続け漸く足を止めた場所。

そこは正面に大きく"大海"と漢字で書かれた看板が立て掛けられている建物の前。

その建物の前で伊村は質問ついでに、辺りをキョロキョロと見回す。


「この建物は……、もしかして"宿屋"ってやつですか……?」


そうして推測できたのは、この施設が宿泊所だという事だ。

ガラス窓から見えるベッド等から、伊村は宿屋と予想をしてグリードに聞いた。


「おう! そうだぜっ? "大海(おおみ)"っていう名前の宿屋だ! ………お前、よく分かったなぁ?」


やはり正面の建物は"宿屋"だった。

看板の漢字の読みを教えながら、言い当てた事を褒めるグリード。


「いや、あの………窓から見れば大体分かるんですが………」


それに対し伊村は分かって当然という反応で両側の窓を指す。

そこには大きなベッドが見えており、それから予想しただけだと話した。


「はっはっは! そうか! ……まぁ言われてみりゃあ、確かにその通りだなぁ!」


グリードはそれを聞いて大笑い。

教えられた窓を確認した後、彼の言う通りだと説明を肯定する。



◇ ◇ ◇



「さあ伊村! ここから真っ直ぐ階段まで進んでそのまま2階へ上がって行くぞっ!」



大海(おおみ)に二人が入ると、速やかにロビーのカウンターでチェックインを済ませる。

そして、グリードが宿屋内の奥にある階段を上がるように促すと、伊村を連れて再び歩き出した。


「あ、あの………グリードさん? 本当におれをパーティに入れてくださっても良いんですか……? 冒険者になったばかりのこんなおれを………」


宿屋の2階へ続く階段。

その道中伊村がグリードへ問う。

冒険者登録した初日からいきなり他人の冒険者パーティに加入しても良いのかと不安混じりに彼に尋ねた。


「んっ? 俺のパーティに入るのは嫌か? 伊村?」


伊村の自信の無い言葉に反応したグリードは足を止めると、逆に彼から本音を聞き出そうとする。


「えっ、い、いやその………別にそこまで嫌ではないんですが……。ただ、おれは一人で、『ソロの冒険者』として活動したかったなって思いも一応ありまして……」


伊村自身あまり嫌だとは感じていないが、実を言うと一人で依頼をこなす、つまり"ソロの冒険者"になりたかったようだ。


「そうなのか……すまんなっ! 無理にここまで連れ回して! だが、今はとりあえずついてきてくれっ!!」


ここまで聞いたグリードが一旦無理に連行した事への謝罪を挟むと、伊村を置いて早足で階段を駆け上がる。


「あっ!? ちょっと!? グリードさん もう少しゆっくり……! はぁっ……はぁっ……!」


またもや付いて行かざるを得なくなった伊村。

やむ無く彼は宿屋二階、先を進むグリードの背中を追って行く。


「おいおい………、階段を上がるだけでそんな疲れてるようじゃあ強くはなれないぞっ?」


階段を登った先のT字路を曲がり、通路の最奥にある部屋の前に着いた二人。

一足早く到着していたグリードは少し退屈げな表情で待ち構えていた。


「はぁ………、はぁ………。い、一体、誰のせいで……、こんなにバテたと思ってるんですか………。グリードさん……、あなたがおれを置いてっ………、一人で先に階段をのぼって行くからですよ……」


やっとの思いで合流を果たした伊村は、大きく息を切らして不服を唱える。


「はははっ! 確かにそりゃそうだなっ! なら俺がお前の手を引っ張りながら行きゃ良かったかもなぁ!!」

「いや……、またおれにそんな事をする気だったんですか………。そんなんなら自分で歩いて行った方がまだマシですよ……」

「それに、そういうのを一日に何回もされると………、流石におれもう死んじゃうかもしれないですよ……?」


大笑いしながら伊村の言葉を肯定するグリードの発言に、半ば呆れた顔で突っ込みを入れる。


「本当かよ!? 体力ねえなお前ー! はははははっ!」


息切れを交え笑えない言葉を零す伊村。

その返事を聞いたグリードはまたしても大笑い。

彼の低すぎる体力をいじった。



◇ ◇ ◇



「戻って来たぞ! 待たせたなお前らっ!」


伊村とグリードは満を持して扉を開ける。

部屋に入ったグリードは伊村にも早く入るよう手を使い促す。

そうすると、室内の誰かに向かって挨拶を行う。


(……ん? この部屋にグリードさんの仲間がいるのかな? もし居るのなら二人くらいだったりして?)


この言葉を耳にした伊村はグリードの仲間かもしれないと予測した後、続けて自分も部屋へ入った。


「やっと帰ってきたかグリード……。ってオイ、誰だそいつはっ?」

「……………」


部屋には目つきの悪い茶髪の青年と、薄紫色の髪の物静かな少女がいた。

二人とも置かれた椅子に楽な姿勢で座っていて、青年の方が伊村を指差して怪訝な反応を示す。


(……やっぱり! 二人いた! はっはっはっ! すげぇよ! おれ、あっさり当てちゃったよっ!!)


グリードの仲間と見られるその二人を一目見て、予想が的中したと伊村はある種の優越感に浸る。


「ああ! こいつの名は"伊村綾太"で転移者なんだ!! ………伊村、お前もこの二人に一言挨拶しておくんだ」


茶髪の青年の問いにグリードが答えた。

先んじて名前を明かすと同時、伊村にも自己紹介を促す。


「……お、おれは伊村です。よろしくお願いします!」


催促された伊村も二人の前で緊張しつつも名を名乗り、軽く挨拶をしお辞儀する。


「……"転移者"っ!? そんなのがなんでこんなところに!?」


すると、途端に茶髪の青年が驚愕。

どうやら転移者という言葉に驚き、伊村ではなく彼を連れてきたグリードへ視線を向けた。



「まあ転移者と言っても訳ありなんだが………」



グリードは事の経緯を、伊村の総合力が普通よりとても低いことを青年に伝えた。


「………、総合力が47しかないだと? いや、いくらなんでも低すぎるだろ!? 転移者ってのは確か……、ステータスが平均よりも高くなっていると聞いたことがあるんだが!?」


その話を耳にした青年はやはり驚く。

信じられないといった表情で椅子から立ち上がり、本当かどうか疑った。


「そう思うだろっ? だがこれが本当なんだ……。ギルドの受付も言ってた事だ、信用できねぇならギルドまで言って確認して来いよ?」


しかしそう言われても事実は事実。

ギルド側も伊村も言っている事なのだから、疑うのも分かるが仕方ないとグリードは答えた。


(………あぁ、完全に疑われてる……。どうするんだ一体………)


とは言え真偽を疑われているこの状況。伊村の緊張感は最大値に達する。


「………、わかった。そんなにソイツの総合力って低いんだな」


辺りに流れる静かな時間……。

その無音を断ち切ったのは青年。

グリードの言う伊村の総合力について、彼はどうにか理解を示してくれた。


(……よかった! 信じてもらえたみたいだ!)


青年の言葉を聞いた伊村も安堵し、ほっと胸を撫で下ろす。


「…………、伊村、だよな? 俺は"レオス"。"レオス・オールリング"だ。グリードがリーダーをやってるグリーンズってパーティに入ってる。まあグリードの仲間ってやつだ」


そうして青年は自己紹介を行う。

自らの名を明かすと、所属するパーティ名も明かした。

伊村の推察通り、彼はグリードの仲間だったようだ。


(パーティ……? あぁ! "冒険者パーティ"か!!)

(………! そうか、一応返事をしないと!)

「レオスさんですね、こちらこそよろしくお願いします!」


レオスの言葉を受けほんの僅かに硬直する伊村。

すぐに何のことかを理解したが、返事を何もしていないと気付きこちらも挨拶する。


「んで、あそこにいんのは "テレフィ" って言うんだ。あいつ殆ど喋らねぇけど………、まぁ気にすんな」


レオスは相槌を打つと、ついでに椅子に座って外の景色を見ている少女の名も彼に教えた。

人前では全く話をしない、と付け加えて。


「……さてと、お前らに知らせたい事がある!」


全員の自己紹介が終わったのを見たグリードは、一区切りつけて語る。

両腕を腰に当てて彼はその場にいる三人に声をかけた。


「今日からこの伊村は! 俺らグリーンズの四人目のメンバーに加入させる事にしたっ!!」


次の瞬間、彼が表明したのは伊村の仲間入り。

それが意味するのは、自身の冒険者パーティへの加入だった。


「……………、!? はあぁぁぁぁーーーっ!!?」


彼の発言はテレフィ、ではなくレオスが聞いて驚愕。

思わず目を見開いて叫んだ。


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