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四勇冒険記 〜勇者として召喚された者たちの果てなき旅路〜 【2月以降に次話投稿予定】  作者: K.R.
冒険者編

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第39話「模擬戦」



(うん、………今日はここで食べようかな)



時間は昼過ぎ、ナイフやフォークの音、食材を口に運ぶ音の聞こえる多くの冒険者達で賑わう憩いの場……。

そんなギルド内食堂に姿を見せたのは、先程出入り口付近で数人の男たちに絡まれていたあの人物だった。


(………って、なかなか混んでるな、どこか空いてる席は無いか、と………)


彼が食堂に来た頃には既に多くの席が満席だった。

その為か煩わしそうな表情をしつつ、誰も使っていないテーブル席を探し出そうと考える。


(………お、あったあった。あの黒髪の暑苦しそうな奴の隣の席に座るなんて……なんかちょっと癪だけど、あの席しか空いてなさそうだから仕方ないか)


すると黒髪で学生服を着た太眉の青年……東洋と、桃色髪の魔法使い……ミセアが使っている席の右隣が丁度空いていた。

なので彼は東洋に関し愚痴を零しつつもその席を利用する事にした。


(よし……、じゃ早速何か選ぶかー)


二人の隣の席に座りメニュー表を取って、早々と自分の頼みたいメニューを選ぼうとするが……。


「それにしても凄いなミセア! 魔法使いだなんてッ! 俺そんなの初めてみたぞ! はははははッ!!」

(…………。うるさいなあ、もう少し小さい声で喋れよ全く……)


隣の席でミセアと談話中の東洋の話し声が大きく、彼の声に少なからず腹を立てる。


(ん? よくよく見たらアイツ……何か見たことない服着てるな………。髪も黒いし……、転移者かな。一応調べてみよう(・・・・・・)……)


だがその東洋の外見をよく見てみると、アルメシアでは珍しい黒髪に学生服を着ていた。

もしかしたら別の世界からやって来た"転移者"かもしれないと思い詳しく調べようと考え、次の瞬間……。


「"鑑定"…………」


小声で彼は呟き、東洋へ視線を集中させた。すると、


(へえ、この名前………やっぱ転移者だったか、初めて見たよ)


彼の脳内に、東洋のステータス等の関連情報が記載されたウィンドウが表示された。

そこから何の遠慮もなく名前や年齢、職業、そして総合力といった項目を本人に気付かれないまま閲覧し始める。


(後は、………! この総合力、Lv(レベル)1にしてはかなり高い……、転移者だからかな? ……いや、だとするとなかなかの強さだね………)


東洋が転移者であると知ると、ステータスウィンドウに表示された項目を確認していく。

すると、総合力の項目に思わず目が止まり彼の現在のLv(レベル)を再確認する。

レベルは7と表示されており、それを終えると彼がここまで高い総合力を持っているのは転移者だからかと推察。

少し驚いたような顔で東洋の能力の高さを讃えた。


(さて、次はスキルだな。……ん? 技能殺し(スキルイーター)? 何だこれは?)


彼の総合力に感心した後、再びステータスウィンドウの情報を確認した。

すると、ウィンドウの下部に表示されたスキルの項目に技能殺し(スキルイーター)が記載されている事に気付く。

見た事も聞いた事も無い不可解なソレを、首を傾げながらも詳しくその詳細を確認しようとした。

だが……。


(!? な……、いくら念じてもスキルの説明文が開かない……! いつもだったら少し念じるだけで説明文が読めるっていうのに! 一体どうなっているんだっ!?)


何度スキルの説明文を表示するように念じても全く開かなかった。

それどころか、技能殺し(スキルイーター)の項目自体が次の瞬間ステータス画面からぱったりと消えてしまったのだ。


(消えた!? 何なんだこのスキルは!? ステータス欄から急に………。あいつはこんな得体の知れないスキルを持っていたのか……!)

(ふ………、ふふふふっ! 面白いじゃないか!)


彼はこの超常的な現象を体験して、逆にこんな意味不明なスキルを持っている東洋に益々興味が湧いたようだ。


(よし、あいつに直接聞いてみるかな……)


ニヤリと笑みを浮かべ思い立った彼は、ステータスウィンドウを閉じて席を後にした。

東洋へ接触を図る為に。



* * *



「………。俺の注文した料理は、まだなのかーーーッ!」



東洋とミセアは話を終えて、お互いが注文した料理が来るのを待っている。


「まだ注文してから10分も経ってないから当たり前よ。……ていうかあなたの声ちょっと大きいわ、もう少し声量下げたらどうなの?」


彼らが頼んだのは数分前なのでメニューが来ないのは当然とミセアは指摘した後、声量が大きくて迷惑だと苦言を呈した。


「そ、そうかッ! それは悪かった!」


その一言に東洋は素直に謝罪、これから留意すると頭を下げる。



「話してる途中で悪いけど、ちょっと良いかな?」



すると、彼は突然何者かに声をかけられた。


「んッ? 誰だ、俺に何か用かッ!?」


東洋は声をかけられた方へ振り向きながら何か用事があるのかと聞く。


「まあね、キミに少し聞きたいことがあるんだけど……、取り敢えず先にボクの名前を教えるよ」

「ボクは"エイツ・ラルデント"って言うんだ。………こう見えて冒険者でね、随分前から活動してるのさ。まあよろしく頼むよ」


東洋に話しかけた人物は名乗った。

そして、自身が冒険者として活動している事も彼に明かして何が可笑しいのか口角を釣り上げる。


「え……あ、ああよろしく、って、んッ?」

(ぼ、冒険者……? にしては子供のような姿だなッ? 果たして本当なのか? ………いやちょっと待てよッ!? さっき奴は"随分前"からとか言ってなかったかッ!?)


"エイツ"と名乗った彼は、エメラルドグリーンの髪に鮮やかな紅色の瞳、中性的な顔立ち、極め付けに全体が黒系の色で統一された服を着ている。

一見すると子供っぽく幼い印象を受ける容姿、東洋はそれを見て彼はただ嘘をついているのかと感じた。

だが、疑うと同時にエイツが口にしていた言葉が引っかかった為それを聞いてみる事にする。


「お、おい、……エ、エイツッ! お前はさっき随分前とか言っていたがッ! それは一体どのくらい前の事なんだッ!?」


やや慌てつつも、東洋は冒険者としていつから活動しているのかを問いかける。


「……うーん、覚えてないなぁ。まあ大分前になるからね」

「けど、そうだなぁ。少なくとも四百年(・・・)ぐらい前からやってるかなぁ、……ってヤベッ、口が滑っちまったぜ。ゴメン今の聞かなかった事にして?」


するとエイツは少し悩んだりはしたが、当時を振り返るように彼に明かした。

その活動年数は、実に約400年。

人間が生きられる時間を遥かに超越した数字、揶揄うにしてもこのような嘘を言って何になるのか………

直後、彼は自身の口を押さえやってしまったといった顔で先程言った事を忘れるよう東洋へ頼んだ。


「よ……四百年前!? あんた、そんな前から生きてるの!?」

「ど、どういう事なんだッ!? 今のハッキリ聞こえたぞッ! ……嘘だろう!? な、何故お前……そんな前からッ!?」


エイツが口走った四百年前という言葉。

言わずもがな東洋、ミセアの二人は衝撃を受け当然ながら彼へ尋ねた。


「えー? しょうがないなぁ、じゃあ驚かないでね? ボクは、"人間"じゃない。実は……"魔界"出身の"魔人"なんだっ」


なんとエイツが明かした事、それは自分が普通の人間ではなく"魔界"生まれの"魔人"という事実だった。

二人にこれを教えると、声を詰まらせ激しく動揺し少ししてから口を開く。


「………お、お前がッ……、"魔人"だとッ? 信じられない、どう見ても普通の人間の子供にしか見えないぞッ! なぁミセアッ!」

「ええ、そうね……確かに意外だわ……。こいつが、あの"魔人"だなんて」


エイツから魔人だと告げられた東洋は、愕然としながらも何度見ても普通にしか見えないと言い放つ。

東洋に話を振られたミセアも、彼と同様にその情報を知ってかなり意外に感じたと語る。


「…………。信じてもらえないか。なら、本当に魔人かどうか知ることができるとっておき(・・・・・)の方法があるよ?」


二人から完全に信用してもらえていないと知ったエイツは残念そうに肩を竦める。

が、自分が正真正銘魔人である事を確かめる良い手段があると彼へ教えた。


「んんッ? えッ……!? ち、ちょッ………!?」


と言い終わったその直後、急に彼の手を掴んだかと思えば次の瞬間食堂の外の方まで駆け出してしまった。


「……!? 東洋! ……突然消えた。しかも二人同時に……? 一体何があったというのかしら」


エイツが起こしたこの一連の行動………、なんとミセアには、二人が突如としてその場から姿を消したようにしか見えなかったという。



◇ ◇ ◇



「………よし、着いたね。"訓練広場"」


ギルドの食堂入口隣の通路を進んだところにある、冒険者たちが戦闘での実戦を想定した訓練等を行う為使われる広場。

既に多くの冒険者達が来ている中、エイツと連れ出された東洋の二人は食堂からものの十数秒でそこに辿り着いた。


「んん……? ………ッ!? どッ、何処だここはッ!? おいエイツッ!?」


エイツに手を引かれた状態で一気に全力疾走された東洋は、多少くらくらしつつもどういう場所か聞いた。


「冒険者訓練広場だよ。キミはここでこれからボクと戦うんだ……」


ニヤリと何処か楽しそうな表情を浮かべ、現在地を教えるエイツ。


「なッ!? おいおい!? これからお前と戦うのかッ!? 何故だ!? 何故さっき出会ったばかりの奴と、理由も無しで戦わなければならないんだッ!?」


彼の発言を耳にした東洋は驚愕、何故戦う理由も無いのにそんな事をしなければならないのかと問いただす。


「うーん、厳密にはガチの戦闘では無いかな……。あくまでもこれからやるのは所謂……模擬戦(・・・)さ。別にキミと殺し合いをするって訳では無いんだよ?」


だがエイツは首を傾げながらこれから行う戦闘は、本気の殺し合いでは無くただの試合のようなものであると知らせた。


「そ、そうなのか……! 確かに………模擬戦というのは、冒険者同士がやる戦闘の実戦訓練だと聞いたことがある……!」

「はッ!? ……まさかそれが、お前が魔人かどうかを確かめる方法だと言うのかッ!?」


その説明を聞き、東洋はあくまで冒険者の訓練が目的である模擬戦であれば命の危険は無いだろうと納得する。

また、それを行う事こそ最善の手段なのかを問う。


「あぁ、そうさっ。それとキミへのボクの用事ってのは、……実はキミの能力とかがどういうものなのか、確かめたかっただけなんだ。だから、丁度良いだろう?」


この質問をエイツは肯定した。

彼の用事というのは、東洋自身の強さ、能力等を知るということ。

模擬戦はそれに丁度良い理由付けであることも教えた。


「俺の能力だとッ? スキルとかかッ!?」


しかし途端に東洋は、彼の言った能力という言葉に反応し再び問いかける。


「そうさ、キミはどことなく強そうだからね。………さあ! もう待ち切れないよ! ここがフィールドだから、ボクの反対側まで来て! さっさと始めようか!」


エイツは話を切り上げてその場から移動。

広場の中央部にある大きな四角の枠の中に入ると、東洋を急かす。


「あ、わーッ! い、今すぐ移動するから待ってくれよッ! ……って、あぁぁーッ! 腹がァァァッ!!」


その促しに応じ、東洋も行動しようとするも腹が大きく鳴る。

自らの空腹もとうとう限界が近付いてきたのだ。

彼は耐えかねて顔を顰めるも、どうにか重い足で枠の中まで進んで行った。


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